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私の家には、秘密がある。
決して踏み込んではいけない。
興味を持ってはいけない。
私は、◎◎家の次女です。
この手紙を読んでしまった方は、もう振り返ることはできません。しかし、恒例の行事を終わらせたく、貴方にこの手紙を書く次第です。どうしても読むのが気味悪く思えてきたら、そこで読むのをやめて、金輪際忘れてください。それほどまでに、ギリギリの位置にいるのです。
書物はあまり扱ったこともありませんので、
無礼をお許しください。
さて、私がお話ししたいことは、私の家に代々受け継がれてきた、仏壇のことです。とは申しましても、はたから見れば普通の仏壇のように見えるでしょう。しかし、ところどころ不思議な点がございます。
金の刺繍、金の蝋燭台、金の提灯…
どれもこれも金なのです。
仏壇が置かれているのは、長い長い廊下の突き当たりです。北側の廊下ですから、昼間もあまり日が当たらず、薄暗い廊下となっております。私も少し気味悪く感じ、その廊下は通らないようにしております。それが、あまり日が当たらないにも関わらず、チラチラと光っているのです。子供の頃は、あまりにも不気味で、その場で泣き伏せてしまいましたが。
話を戻しましょう。
お供えするものも、皆さんとは全く異なります。お米や、果物をお供えする家が多いことでしょうが、ここでは、人形なのです。
人形をお供えし、魂を鎮めると言いますか。
ここで少し、昔話にお付き合いください。
明治◎◎年、1人の少女が、とても人形を可愛がっておりました。現代とは違い、自身で作り上げた、簡単な布切れのような物でしたが。それでも肌身離さず持ち歩いて、その光景を微笑ましく見つめる親族。平和の日常の一コマでした。あるとき、その人形を、少女が無くしてしまわれたのです。その当時、布切れを持ち歩く少女のことをよく思わない子供が多数いたそうです。恐らく、隠したのでしょう。
それからしばらくして、その少女は亡くなりました。最後まで、探し続けていたそうです。
それを見兼ねた家の主人が、人形をその子の墓に収めることにしました。しかし…
その家の一族は、衰えていきました。
毎年毎年、長女が病にかかり、若いうちに亡くなってしまうのです。そのおかげで、家は長続きはしません。これは呪いだと騒いで、収める人形に、長女の血を染み込ませました。それは人形収めが始まって間もない頃です。
私は、その儀式をのぞいてしまいました。
掌を切り、それでも足りず手首を切り…地獄のようなことでした。仲も良かった姉を傷つけられ、半狂いました。もうそんなことが起きないようにしたいのです。その人形は、先程お書きした仏壇に保存されます。あの仏壇さえ燃やして仕舞えば、恐らく諦められるでしょう。
それを手伝って欲しいのです。
ですが、流石に人形までは燃やせません。
あの仏壇だけでよいのです。
仏壇だけに、その子の魂を収めたのですから。
私は燃やすための準備をします。
燃やすのは貴方にお願いします。
私はどうしてもその廊下には行けないのです。
住所は●●●●-●●です。
あそうそう。人形を取り出す作業もお願いできますか?仏壇の裏側に、取り出すための引き戸がございます。そこにたくさんの人形があるはずです。そこはとても広いとされています。
どれぐらいの広さなのかは、
ご自身でお確かめください…。
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