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白子=脳みそ思ってた 😇
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上野文
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#探偵
橘靖竜
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盗賊村長の手からナイフが落ちると、しばらく時が止まったように静まり返った。
「親分!」
「村長~!?」
やがて残った盗賊たちも悲鳴を上げて、その場にへたりこむ。
やれやれ、これで終わりか。
「ふぁああ……あれ? なんなんスか? この状況……?」
ようやくボウズが起きて来やがった。
のんびりした野郎だ。
「話はあとな。コイツら盗賊だから拘束しとけ」
「へ、へえ……」
そういうワケで、寝ていたぶん後処理はぜーんぶボウズに任せた。
◇
後日。
ギルドのロビーで、俺とさと子は並んで座っていた。
「玲斗さまは受付へ行かないんですか?」
「今回の仕事はライラのものだからな。俺たちはあくまで付き添いだ」
「ニャ……ほとんど玲斗さまがやった気がしますけれど」
「いや。オマエもよくやったよ」
そう言って頭をなでてやると、さと子は「エヘヘ……」と嬉しそうにしっぽを振った。
「待たせたな」
そんな時、鎧の硬質な金属音が聞こえる。
ライラがギルドの受けつけから戻ってきたのだ。
「ああ、お疲れさん。どうだった?」
「うむ。今回は調査料と共に盗賊団の殲滅報酬も出るそうだ」
「そんなのも出るのか?」
「もちろんだ。百人規模の盗賊団を潰したのだから、調査の域をはるかに超えている」
そう言って、一つ小袋を取り出す。
「殲滅報酬の方はそなたに渡そう」
「いいのか?」
「もちろんだ。事実、殲滅はそなたが行ったではないか」
そう言うので、俺は遠慮なく小袋を受け取った。
中には金貨がジャラっと入っている。
スゲー。
「今回もそなたに助けられたな」
「いや、ライラには世話になったし」
「私はなにもしていない……」
揺れる金髪の下で目を伏せるライラ。
「……何かお礼ができればいいのだが」
「いいよそんなの」
「そうはいかない。そなたの頼みであれば、なんでもするぞ」
ライラは水着型アーマーの胸の前に乙女らしく手を当て、こちらを見つめていた。
なんでもする……か。
「本当に何でもいいの?」
「もちろんだ」
「じゃあ……」
彼女の瞳を見つめて言いかけるが、やはり憚られる。
「いや、やっぱヤメとこ」
「な……なんだそれは!」
「どうせ断られるし」
「断らないから言え!」
立ち去ろうとする俺の腕にしがみついて引き止めようとするライラ。
女戦士の力強い腕と、アーマーの乳房型の装甲の圧でみっちりホールドされて振りほどけない。
「じゃあ言うけど……」
俺は意を決して言った。
「……強化魔法を教えてほしいんだ」
「なんだと……!?」
やっぱり無茶な頼みか。
「やっぱりダメか?」
「い、いや。ダメではないが……うまく教えられるかどうか」
「指導方針には従うよ」
そう言うと、ライラはため息をついて答えた。
「わかった。よいぞ」
「マジ!?」
「しかし、私は来週には王都へ行くのだ。もし、共に来てくれるなら仕事の合間に教えよう」
言ってみるもんだなあ。
しかし、王都というのがどうも厄介だ。
聞けば、王都までは馬車で3日。
往復1週間はかかるらしい。
ライラに強化魔法を教わっていたら、どうやってもバイトへ行けない。
「玲斗さま……」
ふと隣を見ると、さと子がジッとこちらを見つめていた。
そうだ、そもそも……
俺はこれからも、この世界のいろいろな魔法を学んでいこうと考えているんだよな。
ひいじいさんと同じ道を歩もうとは思わんけど、この幻想性の残る世界でさと子と暮らしていった気持ちの方には興味があるんだ。
そう思うと、たかが往復一週間の王都へすら行けないようでは、魔法なんて学んでいけないような気もする。
「……わかった。出発は来週だよな」
「行けそうか?」
「わからない。でも何とかしてみるよ。無理だったらまた言う」
「うむ。ではまたギルドで会おう」
そう言って、ライラは水着型アーマーのお尻をぷりっとさせて去っていった。
◇
「わかった。じゃあ今から行けばいいんだな?」
俺は電話を切った。
そしてクローゼットを開け、会社勤め時代のスーツに手を伸ばしかけたが……
やっぱりヤメた。
ちょっとした成金が着るようなブランド物など、逆に恥ずかしいだろう。
Tシャツにスウェット、そしてスニーカーを履くとスクーターに乗った。
――スポポポポ……
「掘り出し物が見つかったとか?」
金と銀質店へ行くと、本物のスーツに身を包んだ本物の上流階級の男が待ち構えていた。
前園である。
「ええ。蔵をあさっていると、ひいじいさんの記録が一部出てきましてね」
俺は霊力を魔力へ変換させる術について話してやった。
もっとも、源蔵の話のすべてを話すつもりはない。
「霊力を魔力に……」
「そうです。ただ、日本人が変換した魔力を体内に溜めていては害になるので、ひいじいさんは使う魔法のぶんだけ魔力に変換し、使い切っていたようです」
「なるほど、そういうことだったのですか!」
前園は立ち上がりいたく感激したらしかった。
この様子を見ると、ひいじいさんの異世界での活動もまったく知らないというワケではないのかもしれない。
さすがは大日本オカルト研究会といったところか。
「あとは魔道具というものもあるらしいです」
「それも蔵に?」
「いいえ。しかし、そのエネルギー源らしきモノをお持ちしました」
俺はそう言って、紫いろの石を取り出した。
「これは……?」
「魔石というものです。これがあれば魔力を扱えなくても、魔道具を用いることができるそうです」
倒したオーク・メイジの魔石である。
こいつは換金しなかったのだ。
金貨にするよりも魔石の状態の方が前園にとっては価値があるだろうと思ってのことである。
「……いいでしょう。買いましょう」
やった!
「おいくらほどで?」
金貨の10万よりは高いといいなあ。
4、50万いけばだいぶ目途が立つが……
「300万で買います」
「そうですか」
って……
「はい? ええっと、300万って聞こえたんですけど?」
「不服ですか?」
「い、いえ。300万って……金貨が10万だったのに、そんなに?」
「魔石そのものの価値より、情報を評価しました。もっと出してもよいくらいです」
前園は小切手を出して『300万』と書いて寄こした。
マジか……
これだけあれば、しばらくはバイトしなくても心配ないぞ。
「まだ情報やアイテムは見つかりそうですか?」
「え、ええ。ただ、次はしばらく時間がかかるかもしれないんすけど……」
「構いませんよ」
前園は紳士的だが少しおそろしい感じでほほ笑む。
「蔵を調べるのにも時間がかかるでしょう」
そう残して、質屋を去っていった。
◇
「いらっしゃいませー」
鴉丸家最後の末裔である俺は、ショッピングモールでモップを握っていた。
時給は1090円で、内容はモール内の清掃。
今日も大勢のファミリー、アベック、グループ交際などなど明るい市民たちが、王家の神殿も真っ青なほどの光沢をたたえた広い床を行き来していた。
俺は同僚の外国人労働者たちに混じって、そんな床をピカピカに保っているというワケ。
「ぁ……」
ふと、向こうから知った女が歩いてくる。
遠藤ユカだ。
しかも、となりには身ぎれいな男がいる。
彼女は彼の腕にそっと触れつつ歩調を合わせていた。
……でも、どうしてだろう。
まったく羨ましく思えないのは。
恋人たちはとても幸せそうに歩いているけど、本当のところは二人しか知らない。
俺はモップを握り、過ぎ去っていく彼女たちの背中を見送っていた。
「鴉丸くーん、上がっていいよ」
やがて、社員の人にそう声をかけられる。
俺はふーっと息をつくと、一礼して答えた。
「今日までありがとうございました」
「あ、キミ。今日までだったっけ?」
「……はい」
「そうかあ。元気でね」
俺はロッカーの私物で忘れ物がないか確認すると、裏の駐輪場へ出た。
「うーん! 終わったなー」
伸びをして、つぶやく。
そして、スクーターのエンジンをかけようと鍵を出した、その時。
「玲斗さま!」
「え?」
そのスクーターの影に、セーラー服の少女が潜んでいたのである。
「さと子!」
「ニャ、お迎えに上がりました」
おかっぱ頭のネコ耳がピョコっと跳ねる。
「ダメじゃん。こっちの世界に来ちゃ……」
「少しくらい大丈夫ですよ。それに、これでバイトは辞めなんでしょう?」
「ああ、そうだけど……」
「帰りましょう、異世界に」
俺はため息をつくと、さと子をひょいっと持ち上げてスクーターの後ろへ乗せる。
「……そうだな。帰ろう」
そしてエンジンをかけると、大型ショッピングモールを去っていくのだった。
コメント
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うわ、第11話読み終わった!バイト辞めて異世界に帰る流れ、ちょっとグッときたわ。なんか現実でユカとすれ違ってもピクらない主人公の成長も感じるし、さと子がセーラー服でお迎えってかわいすぎか。そして300万の小切手! 前園さんマジ有能。次は強化魔法編か…楽しみ!🔥