TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

名前のない約束

一覧ページ

「名前のない約束」のメインビジュアル

名前のない約束

13 - 第13話 やさしい檻

♥

13

2026年01月25日

シェアするシェアする
報告する

 冷たい水の感触で、ノアは目を覚ました。
「……ここ……どこ……」


 天井は、見たことのない石造り。

 淡い魔法陣が、部屋全体を包んでいる。


 体は、ほとんど動かなかった。


 ――生きてる。


 その事実に、なぜか何も感じなかった。



 ドアが、静かに開く。


 入ってきたのは、

 黒髪の青年だった。


「……目、覚めたか」


 声は、穏やか。


「……私は……捕まった?」


「……保護した、が正しい」


 青年は、椅子を引いて座る。


「……君、谷から落ちただろ。

 普通なら、死んでる」


「……そう」


 ノアは、天井を見る。


「……失敗したんだ」


 青年の眉が、ピクリと動く。



「……名前は?」


「……ノア」


「……俺は、ルカ」


 ルカは、微笑む。


「……安心しろ。

 ここは、黄昏の徒じゃない」


 ノアの目が、一瞬だけ揺れる。


「……その名前、知ってるんだ」


「……君が狙われてる理由もな」



 数日後。


 ノアは、簡易的な治療を受けていた。


 不思議と、敵意は感じない。


 ルカは、毎日様子を見に来る。


「……逃げないのか?」


「……逃げる理由、ない」


「……生きたい気持ちは?」


「……分からない」


 ルカは、黙り込む。



 夜。


 ノアは、夢を見る。


 カイが、笑っている夢。


「……ノア、生きろ」


 目を覚ます。


 枕が、濡れている。


「……なんで……」


 理由の分からない涙。



 翌日。


 施設の奥に、連れて行かれる。


 巨大な水晶。


 中に、黒い霧が渦巻いている。


「……それ、何」


「……“核”だ」


 ルカが言う。


「……世界の異能力を歪めてる元凶」


「……それ、私と関係ある?」


 ルカは、少し迷ってから言う。


「……大ありだ」



「……君の魔力、

 この“核”と同じ波長だ」


 ノアの胸が、ズキッと痛む。


「……だから……

 黄昏の徒は、君を欲しがってる」


「……私……何なの……」


 ルカは、静かに言う。


「……“鍵”だ」



 その夜。


 ノアは、施設の屋上にいた。


 星空。


「……私は、

ただの被害者じゃなかったんだ」


 カイの顔が、浮かぶ。


「……あなた、

 これ知ってたの……?」


 答えは、ない。



 一方。


 別の場所。


 レイヴンは、剣を振っていた。


 血まみれで。


 無言で、魔物を斬り続ける。


「……ノア……」


 その名前を、何度も呟きながら。



 アイリスが、必死に止める。


「……もうやめなさい!!」


「……やめられるかよ……」


「……あなた、死ぬわよ!!」


 レイヴンは、歯を食いしばる。


「……あいつ、一人で泣いてるかもしれないんだぞ……」



 ラスト。


 ノアは、ルカに言う。


「……私……

 ここに、いていい?」


 ルカは、少しだけ微笑む。


「……いい。

 君が自分の答え、見つけるまで」


 ノアの胸が、

 ほんの少しだけ、温かくなる。


「……私は、

生きる理由を、

敵の手の中で探し始めた。」


 遠くで、

 黄昏の徒の紋章が、また浮かぶ。


この作品はいかがでしたか?

13

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚