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瑞奈が息を飲む。
画面を食い入るように見る瞳には、試合中に見せる落ち着きや情熱を宿らせていた。明らかに何かが切り替わった。その何か――きっと、前向きな気持ちや生きる意志。まさにそれは、春奈さんが俺たちに遺してくれた言葉だった。
生きて 恋して あきらめないで
「晴翔くん」
凪いだ海を感じさせる表情を瑞奈が見せた。スマホの画面を、労るように優しく両手で包んでいる。
「みんにゃに、病気のことを話すよ」
爽やかな風が吹いた。病室の窓もドアも閉まっているのに。
「ああ」
俺は頷く。
「それがいい」
「晴翔くん、いい目してる」
「おまえもな」
瑞奈が死ぬ、二週間前の出来事だった。