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#怪異
イキリ火の玉
1,443
村長の奥原を先頭に村人はほぼ全員が集まっていた。手には松明、そして奥原の側近達は手作りの槍や弓矢で武装している。中には刀を持っている男もいた。争うつもりはないのか、ただ持っているだけで誰も構えてはいない。
「ようこそ、チダ村へ。これであんたらも村の一員じゃ」
奥原は満月に照らされた顔でニヤリと笑った。
「全部知っていたのか?」
梶は睨みながら訊いた。
「そりゃあ知っておるわ。ワシが村長になってからでも、あんたらの前に3回ほど狭間人は来ておるからの」
「そうか……」
「まあなんじゃ、これからのこと。そして、この村のルールについて話し合おうかのう」
集会所には奥原と四人の村人が入ってきた。他の村人は外で待っている。
「おう、梶、なにがどうなってやがるんだ?」
親分が凄みを効かせて訊いてきた。
「どうやら悪い状況です……この村に連れて来られた原因はその女です」
梶はちぃこを指差す。ちぃこは答えるようにニコッと笑顔を見せた。
「てめえっ!」
「待て」
梶はちぃこに掴みかかろうとする沢村を止めた。
「梶さん! なんで?」
「折角の眷属だ。知っていること総て吐いてもらおう」
梶は冷たい目でちぃこを見て言った。
「長岡、お前が尋問しろ」
「ぼ、僕ですか? ど、どうして?」
梶からの返答はなかったのでため息を吐くと、ちぃこに顔を向けた。
「ちぃこ……ちゃん」
「ちゃんはなくていいよー」
何故かちぃこは無闇に明るい。
「えっと、まず、ち……ちぃこは、その、人間なの?」
「そうだよー」
「でもアオ様の使いなんだよね?」
「うーん、神社の巫女さんみたいなものだよー。巫女さんも人間だよねぇ?」
「なるほど……どういう経緯でケツシになったの?」
「頭の中にねー、声が聞こえてきたのー」
ちぃこは素直に答えているが本当のことを言っているのか確かめようがない。だが色々な情報を持っているのは確かで、それは聞き出さなければいけない。
「まあまあ梶さんや、使い様との話しは後にしてまずはワシの家で話をしようかの。若いの、お前も来るといい」
奥原が割って入り努にも声をかけた。
「……安田。お前がちぃこを監視しろ。沢村と木村はオヤジさん達を頼む」
梶は手早く指示をすると奥原とともに外に出たので努も後を追った。
「梶さん、安田さんってちぃこに惚れているみたいですが、いいんですか?」
小声で梶に訊いた。この村にきてからちぃこと安田はいつも一緒にいて、特に安田はちぃこにメロメロの様子だ。
「ちぃこを拘束したり他の男に監視させたら安田が暴走しかねないだろ」
「なるほど……」
限られた人数の中で梶は効率よく計算していた。
「ちぃこって本当に人間なんですかね?」
「どっちでもいい。問題はどうやってこの村から出るかだ。長岡、ちぃこのことどう思った?」
またいつものように訊かれた。
「は、はい。まだたいした情報は訊けなかったですが、ちぃこ自身は人間だと思います。でもどこか変というか何というか。梶さんたちに拉致されたときもこの村に来たときも怯えた様子が全然なかったですから」
話しながら昨夜の月光に照らされた不思議なちぃこを思い出していた。
「そうか……」
梶は黙り込んで何かを考えていた。そうして奥原の家までやってくると奥原は努と梶を中に招いた。
コメント
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おお、第24話「ニエビト」読んだわ! 村長がまさか全部知ってた上で迎え入れてたのは予想外だったな…「3回ほど狭間人が来てる」ってのが不気味すぎる。そしてちぃこの「ちゃんはなくていいよー」って軽さが逆に怖い。人間って言い張るけど全然怯えないの、何か裏ありそうでゾクゾクするわ。 安田がメロメロになってるのを梶が逆手に取って監視させてるのも渋い。限られたリソースでちゃんと計算して動く梶の判断、好きだわ。逃亡ルートどうなるか気になる!