テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
367
ライブツアーの最終リハーサル。スタジオ内には爆音の重低音と、メンバーたちの激しいステップの音が響いていた。
「はい、一旦休憩! 15分後、通しやるからな!」
振付師の声とともに、張り詰めていた空気が緩む。目黒は肩で息をしながら、近くにいた向井とラウールに笑顔を向けた。
「めめ、今のステップめっちゃキマってたやん!」
「本当? 康二にそう言われると自信つくわ。ラウール、今のとこの角度どうだった?」
三人は肩を組み、和気あいあいと談笑しながらドリンクを口にする。
目黒の爽やかな笑顔が、スタジオの照明に照らされてキラキラと輝いていた。
だが、その様子を離れた場所からじっと見つめている視線があった。
岩本照だ。
彼はタオルで汗を拭いながら、一言も発さず、ただ目黒の動きを目で追っている。目黒が向井の肩に手を回し、楽しそうに笑うたび、岩本の眉間の皺が深くなった。
「……目黒。ちょっと、こい」
突然、背後から低く響く声。
目黒が驚いて振り返ると、そこには無表情な岩本が立っていた。
「え、照くん? どうしたの……っわ!」
返事を聞く前に、岩本は目黒の手首を強く掴んだ。
驚く向井たちを置き去りにし、岩本は目黒を引きずるようにして、スタジオの隅にある巨大な機材ケースの裏へと連れ込んだ。
「……照くん、痛いよ。どうしたの、急に」
薄暗い機材裏。
スタッフの気配も遠いこの場所で、岩本は目黒を壁に押しつけた。
岩本の大きな体が影となり、目黒の視界を塞ぐ。
「……お前、誰の隣が一番落ち着くか忘れたのか?」
「えっ……何、言ってるの……」
岩本の手が、目黒の細い首元に伸びる。
親指が喉仏をゆっくりと撫で上げ、逃げ場を奪うように圧力をかけた。
岩本の瞳は、リーダーとしての冷静さを完全に失い、一人の男としての「独占欲」で濁っている。
「康二やラウールには、あんなに無防備に笑うんだな。……俺の前では、あんな顔見せないくせに」
「そんなこと……っ。照くんは特別だよ、だから……」
「特別なら、今すぐ証明しろよ」
岩本は目黒の腰をぐいっと引き寄せ、自分の体に密着させた。
鍛え上げられた岩本の胸板と、荒い呼吸がダイレクトに伝わり、目黒の思考が白く染まっていく。
「……俺以外の奴に、その顔見せんな。……お前の全部、俺が管理してぇんだよ」
岩本の唇が、目黒の耳たぶを強く噛んだ。
「あ、っ……照、くん……」
「いい声。……リハの続き、できると思ってる? お前がこんなに熱くなってるのに」
岩本の手が目黒のTシャツの裾から忍び込み、熱い肌を直接なぞる。
目黒は抗おうとするが、岩本の圧倒的な体格と力にねじ伏せられ、次第に力が抜けていく。
「……目黒。お前を一番愛してるのは、誰だ?」
「……っ、ひかる、くん……」
「よく言えました」
岩本は満足そうに口角を上げると、目黒の唇を塞ぐように深く、激しく口づけた。
外ではメンバーたちが「めめー? 照兄ー?」と二人を探す声が聞こえる。そのスリルが、さらに二人の熱を高めていった。
「……っ、ん……はぁ、」
深く、抗えないほどに激しい口づけからようやく解放されたとき、目黒の瞳は潤み、唇はわずかに赤く腫れていた。
機材の影から覗くスタジオの照明が、あまりにも眩しく感じる。
「照くん、みんなが……呼んでる、から……」
「わかってるよ。……でも、その顔で戻るな」
岩本はぶっきらぼうに言いながら、自分の親指で目黒の唇に残った銀糸を拭った。
その手つきは、先ほどまでの強引さが嘘のように丁寧で、かえって目黒の動悸を激しくさせる。
「Tシャツ、捲れてるぞ」
岩本が目黒の裾を整え、ポン、と軽く肩を叩く。
その瞬間、彼はいつもの「頼れるリーダー」の顔に戻っていた。
だが、去り際に目黒の耳元で囁いた声だけは、低く、熱を持ったままだった。
「……続きは、ホテルでな」
スタジオに戻ると、向井が
「どこ行っとったん! 探したで!」と駆け寄ってきた。ラウールも不思議そうに二人を見つめている。
「ごめん、ちょっと振り付けの確認してて」
目黒は必死に声を整えて答えたが、隣に立つ岩本から放たれる圧倒的な「所有権」を主張するようなオーラに、肌がチリチリと焼けるような感覚を覚えていた。
リハーサルを終え、各々の部屋に戻ったはずの深夜。
目黒の部屋のチャイムが、短く二回鳴った。
ドアを開ける前から、それが誰か分かっていた。
「……入るぞ」
入室するなり、岩本は迷いなく目黒を抱き寄せ、ドアに背中を預けさせた。
カチリ、と鍵が閉まる音が静まり返った室内に響く。
「リハの時、康二と目があっただろ。……あいつ、お前の異変に気づいてたぞ」
「えっ……嘘、」
「嘘じゃない。……お前が俺以外の男に、あんな隙を見せるのが気に入らねぇんだよ」
岩本の手が、目黒のナイトウェアのボタンに手をかける。
露わになった鎖骨に、岩本は迷うことなく深く、赤い痕を刻みつけた。
「あ、っ……! 照、くん……そこ、明日……っ」
「いいよ。衣装で隠れる。……それとも、わざと見えるところに付けて、お前が『俺のもの』だって全員に知らしめてやろうか?」
独占欲を隠そうともしない言葉に、目黒の思考は白く染まっていく。
岩本の指が、目黒の熱を帯びた肌をなぞり、腰のラインへと滑り落ちる。
鍛え上げられた岩本の胸板が、逃げ場を奪うように目黒を押し潰し、二人の心音が重なり合って、スタジオの重低音よりも激しく脳内に響いた。
「……目黒。今、誰のこと考えてる?」
「っ、ひっくん……照くんのこと、だけ……っ」
「よく言えました。……ご褒美に、たっぷり可愛がってやるよ」
岩本は満足そうに口角を上げると、目黒を軽々と抱き上げ、ベッドへと沈めた。
柔らかなマットレスに体が沈み込む感覚と、その上に覆い被さる岩本の圧倒的な質量。
「逃がさないからな。……明日、ステージに立てなくなるまで、愛してやる」
暗闇の中で、岩本の瞳が獣のように光る。
目黒は、その強すぎる愛に溺れることを、どこかで望んでいる自分に気づきながら、岩本の首に細い腕を回した。
コメント
3件
めっちゃ嫉妬深いーひーくんじゃん! めっちゃでも最高です! 次のペアも楽しみです🎶