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第4章〜新たな一歩。〜
今日は謙也の退院日。今までは別々の家で暮らしていたけど、今日からはお互いに助け合ったり、私が謙也のリハビリを手伝うために同棲することになった。提案をしたあの時は謙也が嫌な顔をするかなー。とか、謙也はそれでもいいのかなー。とか考えていたけど、いざ言葉にして伝えると、全然大丈夫。とかえってきた。案外スムーズだったのでびっくりした。同棲をする上に家具などを買わなければならなかった。今までは目が見えなかったからそんなこだわりとかもなく、居心地良ければ。って感じだったけど、今回からは柄や大きさや見た目を見て決めていこうと思う。シングルベット2つ。洗濯機や炊飯器、食器や棚、机、絨毯など色々と買った。お金がすぐ底を尽きた。でも新たな一歩の前進!と考えるとまぁ。悪くもない。謙也は自分で行動できるようにはなったものの、長距離となれば疲れて歩けなくなる。車椅子は持ってきていないので、疲れた時はベンチや座る場所で休憩。
唯華「お互いの退院祝いということで夜は少しいい所に食べに行かない?」
謙也「あー。うん。いいよ。何が好きかあんまわからないから。任せる」
唯華「んー。焼肉!とか?!」
唯華「記憶ある頃の謙也は焼肉好きだったんだよー。どっかたべに行こって言ったらまず最初は必ず焼肉〜って。毎回断ってたんだけど今回は行ってみない?」
謙也「そうなのか。いいね。行ってみよう。予約はー。」
唯華「あー。やり方忘れたよね。私がやっておくよ。個室ね。」
謙也「ありがとう。」
スマホ。便利だ。目が見えるってなるとやはり世界が大きく広がったなーってしみじみ思う。
私はウキウキな気分で買い物を続けた。服や靴。いやー!楽しい!こんなにも選択の幅が広がるなんて今までの私がバカみたい!
と言っても、今の自分があるのはもしかしたら目が見えないおかげでメンタルが鍛えられて明るくなれたのかもしれない。だとしたら、まぁトントンかな。
謙也は自分の気になるものをじっくりと時間をかけてみていた。
こんなに集中してる謙也は初めて。真剣に何かを見つめては、別のとこ行って、また探して見つめる。何か〜。過去の自分を思い出そうとしているような気もすれば。新しい自分を見つけるために探してる気もする。色々な考えで捉え方も変わる。
謙也が急に動きだし、なにかに向かって走り出した。
唯華「け、謙也〜!?」
無言で去っていく謙也に私はびっくりして器官に水が入った。むせながらも謙也を追いかける。
着いた先は謙也がよく昔にやっていたゲームカセットの前だった。
唯華「これ。欲しいの?」
謙也「いや。なんか、見たことあるような気がして」
唯華「なるほどー?ゲーム機ってあったっけ」
謙也「わかんない。でも見たことある気がする。」
唯華「ゲーム機とソフト買ってみる?なにか思い出すかもしれないし」
謙也「そうしよう。ん〜。どれだっけ。」
謙也は思い出そうと沢山あるゲームの種類からひとつを絞ろうとしていた。
唯華「そんな真剣になって見なくても笑 」
唯華「私は先にゲーム機の方見てくるね?」
謙也「わかった〜」
謙也「どーれーだー。なんか、見た事あるやつはー。これか?……違うか。」
20分後
唯華「けーんーやー!ゲーム機買ったよってまだ選んでたの!?」
謙也「いやー。なかなか思い出せなくて?」
唯華「もう気になるヤツ全て買ってもいいよ笑多分昔の謙也は沢山持ってたんだろうね?」
謙也「なのかなー。なんか全体的に見たことあるからなー。とりあえずこれとこれだけ。」
唯華「お。みんなで出来るやつ。帰ってやる?」
謙也「操作方法わかんない」
唯華「それは思い出せなかったのね。」
謙也はゲーム好きってことは思い出したみたい。しかしまだまだ10%くらいに過ぎない。もう少し思い出してくれないと結婚まで踏み切れないな。
焼肉を食べて家に帰ると。めちゃくちゃ綺麗だし、めちゃくちゃ広い。というか
な・に・も・な・い
唯華「そりゃそーだよねー。まだ届いてないよねー。」
謙也「気長に待とう〜。とりあえずテレビあるからゲームはできる」
唯華「地べただけどね〜」
とりあえず布団は引いて寝る体勢にははいって。お風呂に入って上がってゲームをした。
ベッドが早く欲しいーっと思いつつ敷布団の中で私たちは目を瞑った。
夢の中では謙也が落ちた時の夢が見えた。夢の内容は具体的に覚えてないけど。とても高くて、風が強くて、冷たかった。どうしてあんな所にいたのかすら怖くなってきた。謙也が落ちるあの時。私は恐怖だった。気づけば布団は涙で濡れていた。怖くて汗もかいていた。季節的にはそこまで暑い訳では無い。ただ、汗は凄かった。見たくも無いものを強制的に見せられた気がして嫌な気になった。あさから気分は最悪だ。謙也は優雅に隣で寝ている。寝る姿勢はあの頃と変わらない。
昨日は沢山あるいたから多分謙也は今日夕方まで寝てるでしょう。まぁ仕方ない。明日の朝家具とか届くしその時に手伝ってもらおう。
そう考えているとふと気分が悪くなって、私は倒れた。らしい。