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もはや訳が分からないという表情をしているヴィトである。
・・・まあ、無理はない。
「え~?覚えてないの・・・?私だって。ララだって。」
「ララ・・・あぁ!ってえぇっ?何で王様に!?」
「ふっふっふ・・・それを話したかったから呼んだんだよ。とりあえず、そこの椅子に座って。」
おとなしく座るヴィト。
まあ、ヴィトの中でなんで女王に・・・?どいう疑問が渦巻いていたからなのだが。
「よし、じゃあ、私の話からだな。」
「うん。」
「えっとね・・・ああ、あれからでいいか。ここはちょっと前までは別の国で、少し遠くにある国と戦いをしていたんだよね・・・」
「なるほど・・・」
「で、その二国間の争いがあったところにちょうど私が通りかかって、適当にこの国を勝たせて戦争を終わらせたわけ。」
「ふむ。」
「そしたら、女神みたいに崇められちゃったから、仕方なく固有スキルの『森林化』を使って豊かな国へと変化させて、かつ知られないように結界を張った・・・って感じ。」
「へぇ~・・・って、あれ?それ、いつの話?」
「大体一年前。」
「じゃあ、セーフ判定になるのかな?」
「・・・だと信じてる」
ほとんどの人が分からない会話を二人でしているので、どうツッコミやナレーションをすればいいのかわからない状況である。
まさにナレーター殺しである。
これは酷い。
「こっちは・・・特にいうことないかな。旅をしてるだけだし。」
「相変わらずだね~」
「そういえば、相変わらず胸、盛ってんの?」
「ゴフッ・・・そ、そっちこそ相変わらず小さいじゃないか」
・・・以下、色々と小説にできない会話が続いていきますので割愛させていただきます。
友人とはいえ、女王と旅人でする会話じゃないわ。何やってんだ。
コンコン
「失礼します。ご夕食の準備が出来ましたのでご移動を・・・え?」
思わずヴィトと女王を呼びに来た兵士は固まった。
なぜなら、女王であるララがヴィトにくすぐられていたからである。・・・くすぐられていたからである。
女王の威厳がなくなりそうな光景を目にした兵士は・・・
「シ、シツレイシマシターッ!」
「おい、ちょっと待てぇぇぇ!」
兵士を大声で呼んで呼び戻したララである。
・・・女王ってなんだっけ。
で、呼び戻された兵士はというと・・・
「いいな?絶対に他言するなよ?もししたら・・・わかっているよな?」
「はいっ!了解しましたっ!」
ララに脅されていた。
・・・哀れ、兵士。ただ職務を全うしただけなのに。
その後、目的を思い出した兵士に連れられて別室に行き、現在夕食を食べている状況である。
「・・・というかさ?ララ、かなり猫かぶってるんだね。」
「言い方!・・・そして、それ、ここにいるメンバー以外の前で言わないでね?」
ちなみに、今回ここにいるメンバーは、ヴィト、ララ、騎士団長、各大臣である。
・・・逆を言うと、これらの人はララの本性を知っているのである。
まあ、だからこそ国がまとまっているのかもしれないが・・・
「それにしても、女王様にご友人がいらっしゃったとは・・・」
「ちょっと、私を何だと思ってんのよ。」
・・・・・・
「・・・泣いていい?」
なお、ヴィトがいない時もこんな調子らしいです。
愛されてる・・・んでしょう。きっと。
そして、夕食後・・・
「え~・・・行っちゃうの~?」
「だ~か~ら~・・・四日後だってば!」
「けど四日たったら・・・」
「私は旅をするのが目的なの!」
この国に永住させたいララと旅をしたいヴィトでもめていた。
でまあ、その結果・・・
「よし!この城にはかなり空き部屋があったはずだから、そこに泊まって!」
この城が宿泊地になったようです。
・・・この城の使用人などの皆さん。お疲れ様です。
で、二日目の朝です。
朝食を食べた後、一人の使用人が隠し通路を教えてくれたので、そこから街に出たヴィトです。
ちなみに、この隠し通路は、非常用とかいう大層な目的であるのではなく、ララがお忍びで町に出るときに使う通路らしいです。
・・・やはり、使用人の皆さんはララの無茶に慣れているということなのだろう。
それで、ヴィトは何をしているのかというと・・・
「こっちかな・・・いや、でもこっちか・・・?」
武器屋に入り、武器を探していた。
もうちょっと細かく言うと、投げる用のナイフと色々なことに使う用のナイフの二種類を探していた。
ちなみに今まで使ってきたナイフは鉄のナイフで、金属系のコーティングや属性付与(いわゆる魔剣になっていもの)すらもしていなかったので、ようやく良い装備を買おうと思った・・・というところらしい。
まあ、いわゆるただのもったいない精神である。
その後、三十分ぐらい迷い・・・
「よし!これに決めた!」
純ミスリルの火属性付きナイフと、鉄の風属性付きナイフを10本買ったのだった。
その後、市場でぶらぶらしていると・・・
「ようやく見つけた!ヴィト様!」
「え?」
あの、ララから脅されていた兵士が呼びかけてきた。
「何かあったの?」
「女王様・・・ララ様がいなくなったんです!」
「・・・大丈夫じゃない?」
なかなかに薄情なヴィトである。
まあ、ララがかなり強いということを知った上での発言なのだが。
「まあ、探してみるか。『魔力探知』・・・ぬ?あ、これがララか。」
「分かったのですか!?」
「まあね。じゃ、ちょっと行くね~『飛行』」
ということで、ララのいるところへ行くことにした様子。
そして、目的地の上空あたりに着き・・・
「よし、スーちゃん、出てきていいよ!」
人目に出さないようにしていた相棒のスーを出した。
ちなみに、ちゃんと出したのには理由がある。
そう、ヴィトの目的であるララが戦っていたからである。
「・・・ん~大丈夫だとは思うけど、ララ、囲まれてるよね~・・・よし、スーちゃん!水属性の大きな弾を作ってもらっていい?」
「ス~!」
その声をスーが発したすぐ後に体から銃弾が出てきた。
水で作られたものだが。
そして・・・
「よし!じゃあ、いっくよ~!」
ヴィトによるララを狙っている敵の暗殺が始まったのであった。
パシュッ・・・バタッ・・・
パシュッ・・・バタッ・・・
「よし・・・そろそろ近接に切り替えてもいいかな?・・・それにしてもかなり多かったな・・・」
ヴィトが着いた時には150人、その後、ヴィトが61人、ララが39人倒し、残りは50人である。
「ん~これは・・・ララと合流しよっか。」
「ス!」
ということで、降りていくヴィト。
ちなみにスーは既に隠れている。
「ララ~!」
「おお!待っておったぞ!ヴィト!」
「で、この人たちは?」
「この国で盗みなどを繰り返している奴らじゃ!」
「よし、じゃあ、いくよ~!」
「「おりゃぁぁぁ!!!」」
ドゴッザクッ・・・
見事なまでに敵をフルボッコにしていく二人。
というか、実をいうと、この二人V.S.この国の騎士団をしても二人が勝つぐらい強いのである。
まあ、そんな二人に勝てるはずもなく。
「な、なんだお前らは!」
「女王ララなのじゃ!」
「その友人のヴィトです~」
「なっ、女王様・・・?」
この人、気付いてなかったのか・・・と思うヴィトと、よし!変装完璧!と思うララと寝ているスーである。
・・・スーのことを書く必要あったか?
「お、お前ら出て来い!逃げるぞ!」
・・・シーン・・・
「あ、そういえば周りにいた人倒してたっけ。」
「・・・ということらしいから、おとなしくお縄につくのじゃ!」
「はい・・・」
観念したらしい。
ちなみにこの男、実際は悪党というわけではなく、弟たちを養ったり、薬を買ってやったりするためにしていた事がいつの間にか大きくなっていた・・・ということらしい。
その話を聞き、貧しい人への支援を進めないとな・・・と言っていたララを見たヴィトは、ああ、やっぱりこの人女王だわ。と思った。
なんだかんだで良い女王であった。
そして、時は過ぎ、最終日である。
「じゃあ、これを使って一週間に一度送るってことで。」
「え~・・・本当はずっといてほしいけど・・・仕方ないか。」
五日目にして、ようやく良い案がまとまった二人である。
その解決策とは、一週間に一度小型魔法陣で手紙を送りあうことである。
そして、その試運転をした後・・・
「いつでもきていいんじゃぞ?」
「まあ、100国ぐらい回ってからね~」
「約束じゃぞ?」
「そっちも王様頑張ってね~じゃあ、また!」
・・・
「む~・・・住んじゃてもよかったんだけどな~・・・」
「ス~?」
そうなの?とスー。
まあ、ほかの国と比べてもトップクラスに良い国なのは確かだが。
「まあ、でもあんなこと言っちゃったから、色んなところ回らないとな!」
そう決意を固めたヴィトは、またバイクで走り出したのだった。