テラーノベル
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にゃーにゃ
やがてマンションに着き、佐久間くんの後に付いて中に入る。リビングに通してくれた佐久間くんは「散らかってるけど」なんて言ってたけど、忙しいと荒れがちになる俺の家より全然綺麗だ。
佐久間くんが淹れてくれたコーヒーを前に、2人ソファに並んで座る。
ここまで何も考えずに来ちゃったけど、佐久間くんの話って何だろう。もしあの人の話だとしたら、嫉妬が顔に出ないように覚悟をしてから聞かなくちゃ。
コーヒーを飲みながら、佐久間くんが話してくれるのを待つ。
「…急にごめんな。何ごとかって思うよな」
「それは、うん。でも大事な話なのかなっていうのは何となく分かる」
「大事な…そうだな。大事な話だよ。俺にとっては」
少しだけ俯いた佐久間くんが、そう呟いた。まるで自分に言い聞かせるような口調で。
「…俺さ、あの人のこと結構長く好きだったし、これからも好きなんだろうなって思ってた。失恋はしたけど、それでも気持ちは消えなかったし」
「うん…」
知ってるよ、ずっと見てたから。
佐久間くんの片想いの歴史は、俺の片想いの歴史でもあるんだよ。
「けどさ…最近、変わらないものなんてないんだなって思ってて」
「…何か変わったってこと?」
「うん。失恋してもあの人を好きな気持ちは変わらないって思ってたのに…違ったんだ。気付いた時には、もうあの人のことは吹っ切れてた」
そこで言葉を切って、ふと佐久間くんが俺を見上げた。そして優しい目で小さく微笑む。
「それはさ、蓮のおかげもあるんだけど」
「え、俺?」
「うん。俺の話、いっぱい聞いてくれただろ? たくさん吐き出せてすっきりしたっていうか」
「俺で役に立てたなら、良かったけど…」
お礼を言われるようなことはしてないと思う。
ただ話を聞いてただけだったし。本音を言えば佐久間くんの側に俺がいたいって、ただそれだけだった。
だからそんな風に言われると、何だかバツが悪い。
俺のそんな葛藤に気付くはずもなく、佐久間くんは言葉を続ける。
「ん、でもそれだけじゃなくてさ…何て言うか、本題はこっからなんだけど」
そこまで言って、ふいっと視線を逸らした。
少し俯き加減になったその横顔は相変わらず綺麗で。ついじっと見入ってしまう。
よほど言い難いことなのか、「えっと、その…」と何度も佐久間くんが言い淀む。その度に頬の赤みが強くなっていって、それすらも綺麗だなって呑気に思ってた。
「佐久間くん、ゆっくりでいいよ?」
今度は耳まで赤くなってきたものだから、つい口を出してしまう。何を話すつもりかは分からないけど、俺はちゃんと待ってるから。
その言葉に、少しだけ泣きそうな佐久間くんの目が一瞬向けられた。
「ほんとお前、そういうとこ…」
「え? どういうとこ??」
「も、蓮お前ちょっと黙って」
何だか理不尽なことを言われたけど、邪魔をするのも悪いかと思い素直に従う。
佐久間くんは大きく息を吸ってから、意を決したように俺の方に顔を向けた。真っ赤に染まったその顔は、すごく可愛い。
そのままゆっくりと口を開く。
「…俺、お前のこと好きになっちゃった…」
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続きが気になりすぎる終わり方ー😭😭😭