亮平Side
前回の続きより
ふっかの声のおかげで、俺はフリーズの罠に気づいて洗脳を解くことが出来た。
パッと目を開けると、 そこには傷だらけになったふっかの姿が。俺の手には、黒く染まった鞭が握られている。そんな、もしかして俺、ふっかのことを……?!
💜「あべちゃん……!?」
💚「ふっか……!!」
鞭を投げ捨ててふっかに駆け寄る。
💚「ふっか、大丈夫?!ごめん、俺、ふっかにこんな……!」
💜「大丈夫大丈夫。あべちゃんは何もしてないよ」
そう言ってふにゃりと微笑むふっか。大丈夫じゃないはずなのに、ついその言葉に俺は安心してしまう。
しかしそれも束の間。意識が戻った俺に、またあの頭痛が襲ってきた。
💚「うぐっ……うあぁぁぁ!!」
💜「あ、あべちゃん?!どうした……って、お前……!」
倒れた俺を支えてくれたふっかは、俺たちに近づいてきた奴に睨みをきかせる。
「……まさか、こんなにも早く闇から抜け出すなんて。あなたたちの”絆”とか言うヤツは、本当に厄介ですねぇ」
少しずつ薄れていく視界。そんな、せっかく戻って来れたのに……
「私たちが、阿部様を逃がすはずないじゃないですか……今度はもっと、深いところまで堕ちてもらいますよ」
💚「嫌だ……嫌だ……!!」
💜「あべちゃんに手出すな!代わりになら俺が……!」
💚「ダメだよふっか……そんなことしたら……!」
俺を庇うように前に出るふっか。きっとふっかも、奴らとの戦いでほとんど体力が残っていないはずなのに。
💜「お前、マジで許さねぇ……」
ふっかの手に込められていく怒りのサイコキネシス。まさか、今残ってる力全部を込める気じゃ……!
💚「ふっか、やめて……!ふっかが倒れたら、俺たち、もう……!」
俺の抑制も効かず、ふっかは手に全力を込め、フリーズに向かって放った。その攻撃は、真正面から当たったものの……
全く、効いていなかった。
💜「そんな……?!」
「知りませんでしたか?あなたの波動は私たち四人衆とは相性が悪いんです……残念でしたね」
💜「マジ、かよ……」
不敵な笑みを浮かべるフリーズ。フラリとグラつくふっかの体。体力を激しく消耗している俺が支えられるはずもなく、2人重なるようにしてその場に倒れ込んだ。
「お2人は、”ゲームオーバー”ということで……」
薄れゆく視界の中、フリーズが俺たちに近づいてくる。また、記憶を操作されて……知らないうちに、みんなのことを攻撃して……そんなの、嫌だ。
なのに、抵抗しようにも体が上手く動いてくれない。
💚「嫌、だ……助けて、みんな……」
?Side
?「ふっかさん!あべちゃん!」
俺がふっかさんに教えてもらった屋上に着いた時には、2人は倒れてしまって、フリーズの手下に運ばれていくところだった。あと一歩、俺が来るのが早ければ、2人はこんな事になっていなかったかも……
「おや、誰か来たのですか……」
フリーズがゆっくりと俺を振り向く。
「深澤様には、1人で来いと言ったはずなのですが。やはり、あなた方は”連携”というものを取るのですね……仕方ありません。あなたには、消えていただきましょう」
フリーズが俺に向かって術を出そうとした、その前に。俺はふっかさんと話していた『とある作戦』を実行した。
?「なあ。俺を、あんたの仲間にしてくれ」
「……え?」
動きを止め、怪訝な表情を浮かべるフリーズ。これも俺とふっかさんの想定内だ。
?「敵が何言ってんだって思うかもだけど、俺、本気なんすよ」
『本気の眼』という偽りの仮面をつけて、俺はフリーズと対峙する。この仮面が見破られたことは……ない。
「……そうですか。ですが……いきなり敵を信じるというのも、難しい話です」
しばらく見つめ合った後、フリーズは構えていたステッキをおろした。そして俺にこう言った。
「では始めに、あなたのお仲間をワタクシの城まで連れて来てください。ここに『入り口の粒』を残しておきますので……これで、あなたの意志が本物かどうか、確かめさせてもらいます」
?「……分かった」
みんなには、本当に申し訳ない。本音を言えば、こんなことはあまりしたくなかったけど。
これも、みんなのため。
みんななら大丈夫だって、信じてる。
みんなも、俺の……いや、俺たちのこと。信じてくれる、よね?
フリーズ側に回った俺は、偽りの仮面で全員を欺くことを決意した。
(続く)
コメント
4件
遅れました!続き楽しみです!
物語が最高すぎます‼️ めちゃめちゃドキドキしました😂 ?はめめかこーじな気がする😅 続き楽しみにしてます‼️😆