テラーノベル
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※高校生
※snjnとは別でクラスメイトがでてきます> < ՞
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「仁人って本当、いつも楽しそうだよね」
放課後の教室。夕暮れの赤い光が、机の上に長い影を落としている。クラスメイトの男子が笑いながら僕の肩を叩いた。
「そりゃあ毎日楽しいよ。みんなといるの、最高だしさ」
僕はいつものように、完璧な角度の笑みを浮かべて返事をする。
みんな僕と仲が良いと思っている。みんな僕のことを、何でも話せる親友だと思っている。僕が誰にでも良い顔をして、すんなり自分の内側に招き入れているように見せかけているからだ。
彼らは満足そうな顔をして、僕の領域に土足で踏み込んでくる。僕のことなら何でも知っているような、全能感に満ちた顔で僕の隣にいる。
――誰も、何も知らないくせに。
僕の心の中には、絶対に誰にも踏み込ませない、冷たくて分厚い壁がある。自分で作ったその壁の奥で、僕はいつも一人で膝を抱えている。
誰もその壁に気づかない。入ろうとすらしてくれない。
そんな周囲の鈍感さを恨めしく思いながら、同時に、誰かがこの壁をめちゃくちゃに壊して、僕を引っ張り出してくれるのを、狂おしいほどに望んでいた。
「じゃあな、仁人。また明日」
「うん、また明日ね」
クラスメイトたちが帰り、教室に一人きりになる。
その瞬間、顔の筋肉の力を抜いた。笑顔が消え、冷え切った表情が剥き出しになる。疲労感で息を吐き、鞄を掴んで立ち上がろうとした時だった。
「やっと、お面が外れた」
低く、抑えられた声がした。
心臓が跳ね上がる。振り返ると、教室の後ろの席に、まだ一人の男が座っていた。
――勇斗。
クラスの中では、特に目立つわけでもなく、かと言って孤立しているわけでもない。一見すると、どこにでもいる普通の男子高校生だ。
けれど、勇斗のあの目は違っていた。
勇斗は机に頬杖をついたまま、じっと僕を見ていた。
その瞳は、僕が必死に隠しているはずの闇を、 濁りのないガラス越しに覗き込むように、真っ直ぐに見つめてきている。
「……何、残ってたんだ。気づかなかったよ」
僕は一瞬で、いつもの「良い顔」を貼り付けようとした。声のトーンを上げ、微笑みを作る。
しかし、勇斗は笑わなかった。ただ、僕の顔から首元、そして胸のあたりへと視線を滑らせる。まるで、僕の胸の奥にある分厚い壁の存在を、その手で直接触って確かめているかのような視線だった。
「無理して笑わなくていいよ。それ、全然笑えてないから」
勇斗の声には、憐れみも、嘲りもなかった。ただ、冷徹な事実を告げるような静けさがあった。
「お前さ、いつもみんなに囲まれてるけど。本当は、誰のことも中に入れてないだろ」
心臓の奥が、冷たい針で刺されたように痛んだ。
僕の壁を見つめる勇斗の目は、静かで、暗く、どこまでも深い。
僕がずっと、誰にも見つからないように隠してきた孤独。
それを、勇斗だけがじっと見つめていた。
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