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酷く暑い真昼の今、私は部活終わりで帰っていた。隣には同じ吹奏楽部員の友達二人がいる。怒っているかのように大きい蝉の鳴き声と、お気に入りの風鈴のキーホルダーの音はいつもの事。もううるさいとも感じなかった。
その全てが私の日常。鬱陶しいとか初めは思ってたけど、今は平気。でも夏は嫌い。暑いし学校の行き帰りは汗だくで疲れるし、好きになんてなれない。
「ちょっと葵、大丈夫?さっきからずっとぼーっとしてるけど…。」
「あっ、ごめん!考え方しちゃってて…。」
「そう?大丈夫?」
「うん!ごめんね、心配かけて。」
友達が私に尋ねる。友達が話しているというのに、私はずっと頭の中で独り言を言っていた。心配させていたなんて申し訳ない…。
「そういえばさ、もう少しで青野さんの家じゃない?」
「あー!あの帰宅部の!青野の家の風鈴すごい綺麗だよね!」
そういえばそんな人いたなぁ、と思い私も頷く。去年は同じクラスだったが今は違う。授業の関係で以外話す事はほとんどなかった。でも何か青野さんから凄い視線を感じてたな。私が青野さんの前の席の時、謎に後ろから視線を感じた。あれは一体何だったんだろうか。今度聞いてみようか…。
「そういえば葵はさ、好きな人いるの?」
「確かに私も気になる!葵可愛いんだから恋愛の一つや二つはしてみたらどう?」
唐突な質問に戸惑う。私は好きな人なんていなければ、気になる人さえもいない。
「うーん、今はいないかな。恋愛なんて出来ないよ。したことも無いし。」
「そう?出来たら教えてね!」
軽く口角を上げて頷く。
また明日と言って私は道を右に曲がった。