実家から 自宅マンションに帰り、4人の生活が始まった。
1歳半と生まれたばかりの赤ちゃんと過ごすのは、 やはり大変なこと。
2人共、同時に眠ってくれると助かるが、
蓮くんが寝ていても、ここちゃんが起きていると、 一緒に遊んであげないと…出産前から少し、 ここちゃんは、赤ちゃん返りをしている。
1人遊びが上手だったのに、出産後は、蓮くんに手がかかることもあり、すぐに「ママ〜」と後追いをする。
トイレに行くにも付いてくる。
困ったものだ。
でも、今だけだから、
たっぷり愛情を注いであげないと…と、美優も一生懸命だった。
しかし、来月9月には、新居が完成する予定だから、 引っ越し準備もしないと…
少しずつ荷造りを始めた。
洋平は、業者さんに任せるから大丈夫だと言うが、 要らない物は、処分して行きたい。
やらなければならないことが増えた。
時には、グズグズ言う、ここちゃんにイライラして しまう。
キツく言ってしまい、我に返る。
「ここちゃん、ごめ〜ん」と、抱きしめる。
「ママ、ダメダメだね〜ごめんね。」
このままじゃダメだ。
さすがに、母に連絡して、手伝ってもらうことにした。
洋平も早めに帰って来てくれるようになり、
荷造りをしてくれる。
でも、やはり昼間は、1人で2人の面倒を見ながら、 荷造りは、無理だ。
しばらく、母は通ってくれて、ここちゃんと遊んでくれる。蓮くんは、まだ、ほとんど寝ているから、 その間に少しずつ片付ける。
もともと、あまり荷物を持たないようにしていたが、 やはり、子どもが出来てからは、おもちゃなど、ここちゃんの荷物が増えている。
それに、子育てスタイルになり、全く着なくなってしまった洋服など…処分する時期が来た!と、思い切って処分することに…
少しでも、荷物を減らして引っ越したい。
洋平には、「無理するなよ!」と言われているが、
「必要な物だけを持って行きたいから…」
「美優〜ごめんな、こんな時期に引っ越すことになって…」
「ううん、新しい家は、私も嬉しいから…」
「美優!」と抱きしめる洋平
「カラダが心配だから…もう、引っ越してから、ゆっくり仕分けようよ。」
「もう、ほとんど処分したから、あと少しなの!」
完璧主義の美優。意地になっているように思う洋平。
「じゃあ、週末に一緒にしよう。2人の方が早いから…」
「う〜ん…」
頑固な美優だから、納得していないのが分かった。
「美優!心配だから…お願い!」と、抱きしめる。
「うん、分かった。」
「ごめんな、ありがとう」
優しくキスをする洋平
そんな気分じゃないのか、簡単に交わされる
もう一度、ぎゅーっと抱きしめた。
ようやく落ちついたのか、ジッと抱きしめられている美優。
「私…意地になってたね。」
「うん」
「ここちゃんにもキツく当たっちゃって…悪いことした。だから、母に来てもらって手伝ってもらうことにしたの。」
「そっかーその方が良いよな。ここちゃんも蓮が生まれて不安だろうし…どうしても、美優は蓮に手がかかるからな。もっともっと俺がここちゃんを抱きしめるよ。」
「うん、私も蓮くんが寝てる間は、ここちゃんに寄り添うようにする。」
「ママを独り占め出来て、喜ぶと思うよ。」
「だよね〜今は、蓮くんのことをライバルだと思ってるのかなあ?」
「だと思うよ。」
「分かった。ここちゃん起きたら、まず抱きしめよう。」
「うん、ハグされると嬉しいと思うよ。」
「うん」
「俺も…」と、ジッと見つめる洋平
「ふふ〜」チュッ
ようやく美優からキス
「良かった♡」むぎゅー
新しい家族が増え、それぞれが不安を抱える。
カリカリしないで、愛を持って接する。
皆んなが成長する機会だと分かった美優。
それからは、ここちゃんとハグする機会が増えた。
いよいよ、新居が完成した。
引っ越し前に、中に入って確認させてもらう。
洋平は、何度も見に行っていたが、綺麗に仕上がってから、中に入るのは初めて。
「うわ〜綺麗〜!新築の匂いがする〜思ったより広く感じるね。」
「そうだなぁ〜荷物を入れると狭くなるかなあ」
「だから、荷物を減らしたかったのよ。なるべく外に物を出さないで全部収納しちゃおうと思ってるの」
「子ども達のおもちゃは、無理でしょう?」
「なるべく、子どもでも片付けやすいように考えて、おもちゃの定位置を作ってあげようと思うの。 今は、ここちゃんの女の子用おもちゃばかりだけど、そのうち今度は、蓮くんの男の子用のおもちゃも増えるし…」
「そうだね。」
美優は、以前から興味があった、整理収納の勉強をしたい!と思い、育児の合間に、整理収納アドバイザーの資格を取っていたのだ。
「うわ〜とうとう完成したんだ!すごいね〜洋平! 収納するの楽しみ〜!」
「ふふ、俺たちの家だよ。お好きなように…」
「うん、新しいキッチン嬉しい!最高だね、ありがとうね〜」
「おー!益々、頑張って働かないとな。」
「うん、頑張ってね、課長さん!」
「おー!頑張りますとも…!次は、40歳を前にして、次長になりたいなぁ〜」
「え?もう5年ぐらいしかないよ。」
「うん。3年もあれば大丈夫かなぁ〜」
「えー?そんな人、居るの?」
「40代で部長になりたいから、早めに次長になっておく!」
「なっておく!って、なれる物じゃないでしょ?」
「そんなこと分からないよ。せっかく頑張って最年少課長になったのに、やる時は、やるよ!まだまだ、上を目指すからな!」
「ふふ、カッコイイ顔になった!」
「だろ?また、惚れ直すでしょ?」
「ふふ、いつも、洋平は《《やる》》!って言ったら、やるものね。」
「うん。」
「頑張ってね!ふたりの子どもたちのために…」
「うん、愛する妻のためにも…」
「ふふ」
「何?さっきから美優、笑って誤魔化して〜」
「だって、せっかくカッコイイ顔になってたのに、 また…」
「また?」
「エロい顔になってるもん」
「えー!そんなことないよ〜♡」
「ふふ♡」
当然のように、顔を近づけて…
キスをする洋平
「ふふ、ほら〜」
「ふふ〜」
いつまでも、ラブラブカップルのように
イチャイチャする洋平と美優
「あの〜お取込み中、申し訳ありませんが…」と、 住宅会社のスタッフさんが…
『しまった!忘れてた』
「あ、すみません…」
「すみません…」
『見られた?恥ずかしい…』
「お子様が…」と、ここちゃんが玄関の方へ行っていたらしく、スタッフさんが抱っこしてくださっていた。
ちなみに、蓮くんは、和室で寝かされていた。
「あ、ここちゃん、いつの間に…ごめんなさい。」
「素敵なご家族ですね。僕も今度、結婚するので、 杉野様のような温かい家庭を作りたいです。」
「ありがとうございます。光栄です。そして、今まで本当に色々とお世話になりました。」
「お世話になりありがとうございました。」
2人でお礼を言った。
「いえいえ、私は、何も…完成おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「お引っ越し、楽しみですね。」
「はい、楽しみです。」
そして…
いよいよ、引っ越しの日
美優の両親にも手伝ってもらって、
ここちゃんと蓮くんのお世話をしてもらう。
「うわ〜素敵なおウチが出来たわね〜」
「お〜洋平くん、頑張ったなぁ〜大したもんだ。」 と、両親。
「ありがとうございます。精一杯頑張りました。」
「これから、頑張って払って行かないとな…」
「はい、益々頑張って、働きます!」
「おーもっともっと、出世して行ってもらわないとな、楽しみだな。」
「お父さん、洋平は大丈夫よ!いじめないでよ。」
「いじめてないよ、洋平くんなら大丈夫だよ。そろそろ、ワシのポジションを渡そうか?」
「いえいえ、滅相もないです。」
「それは、まだ早いわよ。順番にね。」
引っ越し業者さんに、ほぼお任せで運んでいただいたので、あとは、細かいところだけ。
美優が使いやすいように収納する。
綺麗に片付けてくださったので、助かった。
両親と一緒に、お昼ご飯を食べて、バイバイした。
いよいよ、新居で、
家族4人だけの生活が始まった。
今度は、実家のすぐ裏。
何かあったら、お互いがすぐに行き来できる。
子どもが小さいうちは、助けてもらいながら、育児をし、両親が歳を重ねたら、介護も必要になるかもしれない。
1人娘だから、洋平が気を使ってくれたのが分かる。
本当に有難いと、美優は、洋平に感謝している。
疲れて、ここちゃんと、蓮くんは、眠ってしまった。
洋平と美優は、ようやくソファーに腰を下ろし、 お茶を飲みながら、一息ついた。
「子どもたちが大きくなったら…お爺ちゃんお婆ちゃんになって、また、こうして、2人だけで、のんびり、お茶を飲むのかなぁ〜」
「そうだなぁ〜ずっとラブラブで居るんじゃない?」
「え〜?お爺ちゃんお婆ちゃんでも、ラブラブなの?」
「そうだよ。美優となら、ずっとラブラブ出来るよ。」
「ふふ、それはどういう?」
「ヤダ〜美優ちゃんったら、何を想像してるの〜?」
「え?だって…」
ぎゅーっと美優の肩を抱き寄せて、
「こうして、ピッタリくっつくの」
「ふふ、そうなんだ。」
「そして、手を取り合って…」
見つめ合う…
キスをする
「やっぱり、するんだ!」
「キスは、いつまでも出来るでしょう?」
「あ、そうだね…」
「俺は、たぶんいつまでも《《出来る》》と思うんだけど…」
「ププッ、《《出来》》ないわよ。」
「そうかなぁ?だから、せめてチューは、しようね。」
「ふふ、うん」
「愛してるよ、美優♡」
「私も…♡」
優しくキスをする…
いつまでも、お幸せに〜
ー完ー
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