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第7話 黒帳
――神崎家にて
蓮「…………。」
父親「蓮」
蓮「なに?なんの用?」
父親「今日、少し付き合え。」
蓮「……どこに?」
父親「来れば分かる。」
蓮「…………。」
蓮「それ、だいたい嫌なところに連れていかれる時の言い方だよね。」
父親「余計なことを言うな。」
蓮「はいはい。」
蓮はため息をつきながら、父親の後ろを歩く。
しばらくして。
蓮「……暗いし、今にも嫌な予感するけど大丈夫なの?」
父親「心配要らん。お前がこれから世話になる場所だ。」
蓮「…………。」
蓮「俺、引っ越すの?」
父親「違う。」
蓮「じゃあ何?」
父親「仕事だ。」
蓮「…………仕事?」
父親「お前もそろそろ、自分が何をする人間なのか理解しておけ。」
蓮「…………。」
その言葉に、蓮の表情が少しだけ曇る。
蓮「……コロシ屋のこと?」
父親「ああ。」
蓮「…………。」
父親「お前を、正式にあそこへ入れる。」
蓮「…………。」
蓮「……俺に相談する気、最初からなかっただろ」
父親「必要ない。」
蓮「……そっか。」
蓮は小さく笑った。
蓮「まぁ、別にいいけど。」
父親「…………。」
蓮「俺、もう逃げる気ないし。」
父親「そうか。」
――やがて。
二人は、一つの扉の前に辿り着いた。
父親「ここだ。」
蓮「…………。」
扉が開く。
――ギィィィ……。
その先には、見知らぬ青年が立っていた。
青年「……来たか。」
父親「息子だ。」
青年「そうか。」
青年は蓮をじっと見る。
青年「最初に俺から名乗るな。初めまして俺は榊原凪だ。」
凪「ここは――『黒帳』」
蓮「…………黒帳?」
凪「ああ。」
凪「コロシ屋の組織だ。」
蓮「…………。」
凪「お前は今日から、ここに正式に所属してもらう。」
凪「もちろん、貴様の親から了承を受けた上でだ。」
蓮「…………。」
蓮「……親父」
父親「なんだ。」
一ノ瀬ルナ
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フユめん
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蓮「俺、聞いてないんだけど。勝手にしやがったな?」
父親「今聞いただろ。それでいいだろう」
蓮「…………。」
蓮「……はぁ」
凪「大丈夫だ。問題ない。」
蓮「いや、問題しかないと思うけど。」
凪「お前には才能がある。」
蓮「……へぇ。」
凪「それをここでで使え。」
蓮「…………。」
蓮は周囲を見回す。
薄暗い部屋。
妙に静かな空気。
そして――
凪「おい。」
??「…………。」
凪「出てこい。」
??「えっ!? 俺ですか!?」
凪「他に誰がいる。」
??「ギャアアアアア!!」
蓮「…………。」
蓮が一歩だけ後ろへ下がる。
??「そこにいるいかにも強そうな彼は誰ですかぁぁ!!!!!攻撃しないでくださいぃ!!!」
蓮「いや、そんな事しないからな?」
凪「貴様。」
凪「此奴に挨拶しろ。」
??「は、はい……!」
青年が蓮の前に立つ。
ガタガタ震えながら、深々と頭を下げる。
??「は、初めまして……」
蓮「…………。」
??「ですよね……?」
蓮「……そうだね」
??「ですよね!?」
蓮「…………。」
青年「俺は……」
青年「黒瀬――」
青年「…………。」
青年「……あ。」
青年「違いました…」
蓮「…………?」
青年「俺はゴミです。」
蓮「…………。」
青年「すみません…」
蓮「…………。」
青年「……あっ…」
青年「でも名前も言わないとダメですよね!?」
蓮「じゃなきゃ俺困るので」
青年「俺は黒瀬伊織です…」
伊織「……あ、でも!!」
伊織「こんなゴミみたいな俺が名乗っていいのかな!?」
蓮「…………。」
伊織「いや、ダメですよね!!」
伊織「すみません!!」
伊織「俺みたいな人がコロシ屋なんて、やっぱり向いてないんデス!!」
伊織「こんなゴミ、さっさと死んでしまえって言われるんだ……!」
蓮「…………。」
蓮は完全に固まっている。
伊織「…………。」
伊織「……?」
蓮「…………。」
伊織「れ、蓮くん……?」
蓮「…………。」
伊織「どうしました?」
蓮「いや……。」
蓮は少しだけ伊織から距離を取る。
蓮「……大丈夫?」
伊織「えっ。」
蓮「その……。」
蓮「いろいろ。」
伊織「…………。」
伊織「大丈夫じゃないです。」
蓮「…………だろうね、(こうゆうタイプの人ってどう接するのがいいの?)」
伊織「俺、いつもこうなんです。」
蓮「……そっか」
伊織「はい。」
伊織「ゴミなので。」
蓮「それ何回言うの?」
伊織「…………。」
蓮「…………。」
伊織「すみません!!」
蓮「…………。」
凪「此奴の性格は、この通りだ。」
蓮「…………。」
凪「だが――」
凪の声が低くなる。
凪「コロシ屋としての才能は、黒帳でも随一だ。」
蓮「…………。」
蓮は伊織を見る。
伊織「…………。」
蓮「……本当に?」
伊織「た、多分……。」
蓮「…………。」
蓮「自信ないんだね…ならまだ俺が認めるのは早いか」
伊織「ないです!!あっても俺はすぐ折れちゃいますから…」
蓮「即答だし、更に自分の自信をなくしてない?それ」
伊織「だって俺ですよ!?」
蓮「…………。」
蓮は小さく息を吐く。
蓮「…やっぱ俺って運悪いのか…最近変なやつばっかと関わる事増えたし…」
伊織「えっ!?な、なんかすみません!!!!俺の聴力が悪すぎて1度で聞き取れなくてすみません!!」
蓮「いや、勘違いしてるって…俺そこまで言ってないから」
伊織「今、絶対変な人って言いましたよね!?」
蓮「言ってない」
伊織「うわぁぁ絶対言われたァァ」
凪「……貴様、少し静かにできないのか」
伊織「はい!!すみません!!」
蓮「…………。」
蓮は思った。
――この場所。
――絶対、まともな奴いない。
そして蓮はまだ知らない。
目の前で騒いでいるこの青年が――
後に黒帳で、
『涙眼の狂人(狂刃)』
と呼ばれることになることを。
――
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第7話読み終えたよ……。 蓮くん、ついに「黒帳」に連れて行かれちゃったね。父親との会話の「相談する気なかっただろ」「今聞いただろ」って、あの冷めた感じ、蓮くんの距離感がすごく伝わってきた。 伊織くんの登場は予想外だったな〜。自己肯定感がバラバラに崩れてるのに「才能は随一」ってギャップが気になる。あの「ゴミです」連発からの、最後に『涙眼の狂人』って呼ばれる伏線……これから怖くなる予感。 蓮くんが「この場所、絶対まともな奴いない」って思う気持ち、めっちゃ分かるよ(笑) 次話も楽しみにしてるね🌙