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一ノ瀬ルナ
10
#日記
QuartoMew
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62
フユめん
380
第8話「黒帳の当主」
───黒帳にて
凪「……おい、神崎。」
蓮「ん?」
凪「当主様がお前に会いたいそうだが……行けるか?」
蓮「当主?」
蓮「あぁ、ここの偉い人?」
凪「そうだ。」
蓮「へぇ……。」
蓮「当主って、もっとこう……風格があって、いかにも強そうな人じゃない?」
凪「…………。」
蓮「部下にも厳しくて、近寄りがたい感じの。」
凪「……やっぱりそう答えるか。」
蓮「普通そうじゃない?」
凪「先に言っておく。」
凪「お前が思い描いているような当主像は――」
凪「たぶん、今日で崩れる。」
蓮「……なにそれ」
凪「行けば分かる。」
───
黒帳・当主室。
ガチャッ。
凪「当主様。神崎蓮を――」
??「……ん?」
凪「…………。」
??「…………。」
蓮「…………。」
部屋の奥。
ソファに座り、クッキーを頬張っている男がいた。
口いっぱいにクッキーを入れたまま、こちらを見ている。
??「…………。」
もぐ。
ごくん。
??「あー!」
ぱっと顔を明るくする。
??「君が神崎蓮くん!?」
蓮「そうだけど……何か――」
凪が素早く蓮の口元を押さえる。
蓮「むぐっ!?」
凪「貴様……!」
凪「当主様の前では敬語を使えと言った傍から、何をやらかしている……!((ボソッ…」
蓮「むぐ……」
凪「…………」
凪がゆっくり手を離す。
蓮「……。」
蓮「敬語とか使ったことないし」
凪「だからこそ使えと言っている!」
蓮「……。」
凪「いいか。もう一度だ。」
凪「当主様には敬語を使え。これは一般常識だ」
蓮「…………。」
蓮「くっ……。」
蓮「神崎蓮……です。」
朔羅「あー」
朔羅「そんな緊張しなくていいよー」
蓮「……。」
朔羅「別に当主だからって敬語なんか使わなくていいからね!」
凪「当主様!?」
朔羅「僕、そういう堅苦しいの苦手なんだよね!☆」
朔羅「リラックスしてこーぜ♪」
朔羅「(´ρ`*)ゴホンッ!! ンッ ンッ…」
朔羅「改めて、自己紹介といこうか。僕は神代朔羅。」
朔羅「ここで当主やってる。年齢は33歳。好きな食べ物はクッキーだよ☆」
蓮「…………。」
蓮(待て。)
蓮(この人、本当にここの当主なの……?)
蓮(全然、思ってたのと違うんだけど。)
朔羅「そうだ、蓮くん!記念にさ───」
蓮「何?」
朔羅「じゃじゃーん!クッキー食べなーい?」
蓮「……いらない」
朔羅「えーそんなこと言わずにーーー」
蓮「俺、甘いの苦手だし」
朔羅「でも、クッキーは美味しいんよ??食べまなきゃ損だよ!」
蓮「いや、知らないし…」
朔羅「…………。」
蓮「…………。」
朔羅「ってワケで1個ぐらい食べて僕のお手製なんだから、感想聞かせてよ〜!」
蓮「いや、だから――」
朔羅「はい、あーん♡」
蓮「…お、おい…やめッ」
ぐいっ。
蓮「ん゛っ!?」
朔羅「ほーら」
蓮「ん゛ーーー!!」
凪「…………。」
蓮「…………!!」
朔羅「どう!?」
蓮「…………。」
もぐもぐ。
蓮「……甘い」
朔羅「甘いか〜でも美味しいでしょ??」
蓮「いや、そうじゃなくて!!」
蓮「人の話聞いてたか!?」
朔羅「聞いてたよ?」
蓮「聞いてて何で食わせた!?」
朔羅「食べてほしかったから。」
蓮「理由が子供なんだよ!!」
凪「…………。」
蓮「何で誰も止めたりしないんだよ!?」
凪「……当主様だからな( -`ω-)✨️」
蓮「それで済ませんのかよ!?」
朔羅「榊原は僕の教え子だからね〜」
蓮「(だから、朔羅にこんな感じなのか…)」
───
コンコン。
??「当主様ー」
ガチャッ。
少女が入ってくる。
??「お呼びですか……って。」
少女は部屋を見渡す。
そして、蓮を見る。
少女「…………。」
蓮「…………。」
少女「……アンタ誰?」
蓮「え、まだいたんだ…(めんどそうな奴が)」
少女「うぇ……。」
少女「何こいつ」
少女「クールを演じてるタイプ?」
蓮「演じてないけど」
少女「カノジョできたことなさそうね」
蓮「……それ今言う?」
少女「だってそう見えるし。」
蓮(……やっぱここに来てもロクなことない。)
蓮(振り回されっぱなしだ……。)
少女「まぁいいわ。」
少女「自己肯定感低男と陰キャ男がいるのは分かってたけど」
少女「アンタは?」
蓮「神崎蓮。」
少女「神崎……?」
少女「神崎って……昔、ここを仕切ってた人の姓じゃない?」
蓮「…………。」
少女「もしかしてアンタ、その人の息子?」
蓮「……そうだよ」
蓮「クソ親父のね……」
少女「…………。」
朔羅「朱音ちゃん〜」
少女「なんですか?」
朔羅「クッキー食べない?」
朱音「あー……。」
朱音「いや、いらないですかね~…」
朱音「最近お菓子食べすぎてて…。」
朱音「セーブしなきゃなので…」
朔羅「クッキー1つぐらい食べてもバチ当たんないって♡」
朱音「クッキーもカロリー高いんですよ…??」
朔羅「…………」
朱音「…………」
朔羅「はい、あーん♡」
朱音「聞いてました…!?」
朔羅「はーい口を開けなさーい」
朱音「いや、いらないって…さっき言いましたけど…!?」
朔羅「あれ?言ってたっけ?」
朱音「………」
朔羅「食べてほしいからさー俺のお手製だよぉ?」
朱音「だから――」
朔羅「はい♡」
朱音「ちょ、待っ――」
ぐいっ。
朱音「んぐっ!?」
蓮「…………。」
朱音「…………。」
もぐもぐ。
朔羅「どう!?どう!?」
朱音「…………。」
朱音「……美味しいけど。」
朔羅「よかった♡」
朱音「よかった♡じゃないですよ!!」
蓮「…………。」
蓮「いや…」
蓮「お前ら何してんの?」
朱音「ウチに聞かないで」
蓮「当主も何で普通に食わせてんの?」
朔羅「だって美味しいよ?食べて欲しかったんだモーン」
蓮「そういう問題じゃないだろ!!」
凪「…………。」
凪「神崎。」
蓮「何?」
凪「お前、今日一番よく喋っているな」
蓮「…………。」
蓮「…感想とか聞いてないし…言わなくていいから」
朱音「ふっ。」
蓮「……何笑ってんの」
朱音「いや」
朱音「アンタ、意外とツッコミできるんだなって…でも、まだ認めた訳じゃないから」
蓮「……信用されるようにできるだけする」
朔羅「じゃあ、じゃあ蓮くん、もう一枚――」
蓮「絶対食わない」
朔羅「えー」
蓮「腹いっぱいだし」
朱音「ウチももう食べませんから〜お腹いっぱいでーす」
朔羅「二人とも冷たいなぁ…( ˘•ω•˘ ).。oஇ」
凪「それは当主様が強引すぎるだけだと…それはご自覚で?」
朔羅「そう?俺そんな強引!?」
蓮「満場一致でみんな「YES」って言うと思うぞ」
朱音「それに関しては同感ね」
朔羅「…ってあれあーれ??…二人とも息ぴったりじゃ〜ん」
蓮「…………。」
朱音「…………。」
蓮・朱音「それに関してはみんな息揃う思うけど/息揃いますよ」
朔羅「あはは!すごっ息ぴったり!」
───
その日。
蓮は知った。
黒帳という組織は――
自分が思っていたよりも、ずっと変な場所だった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第8話、読み終わりました…! 当主様、めっちゃ可愛い人ですね…!クッキーを無理やり食べさせるシーン、思わず笑っちゃいました(笑)蓮くんのツッコミが冴えてて、朱音ちゃんとの息の合い方も良いなって思いました。 「黒帳は思ってたよりずっと変な場所」って蓮くんの心境、すごく伝わってきました…。重い話かと思いきや、コミカルな掛け合いが多くて、でもちゃんと核心に迫る伏線もあって、一気に引き込まれました。 次が気になります…!