テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
冷凍食品
【メガネ】
🦈「……え、なにそれ」
こさめは、思わず足を止めた。
教室の窓際。
いつもの席にいる――すち。
ただ、いつもと違うのは。
🦈「……メガネ?」
黒縁のそれを、何事もない顔でかけている。
すちはちらっと顔を上げた。
🍵「ああ、これ?コンタクト切らしてて」
🦈「……へぇ」
🍵「そんな珍しい?」
🦈「……いや、別に」
即答したのに。
心臓は、やけにうるさい。
(なにこれ……)
なんか、違う。
いつものすちなのに、ちょっとだけ大人っぽくて。
距離が近いのに、遠く見えるみたいな。
🍵「……こさめちゃん?」
🦈「っ、なに」
🍵「さっきから固まってるけど」
🦈「固まってない」
🍵「いや固まってる」
🦈「固まってないってば」
言いながら、視線を逸らす。
でも、どうしても気になって――また見てしまう。
レンズ越しの目が、ふとこっちを向く。
🍵「……そんな見る?」
🦈「見てない!」
🍵「いや見てたよね今」
🦈「見てない!」
🍵「……顔赤いけど」
🦈「赤くない!」
🍵「赤い」
🦈「赤くない!」
完全に言い合いになっているのに、すちはどこか落ち着いている。
それがまた、悔しい。
🍵「……なに、そんな変?」
少しだけ不安そうに、すちが聞く。
その表情に、こさめは一瞬詰まって――
🦈「……変じゃない」
🍵「じゃあなんでそんな反応」
🦈「……」
言えない。
かっこいいとか、似合ってるとか、ドキドキするとか。
全部、言えない。
🦈「……なんでもない」
小さくそう言って、席に座る。
すちは少しだけ不思議そうにしながらも、それ以上は聞かなかった。
でも。
(……ずるい)
こさめはこっそり頬を押さえる。
(あんなの、反則でしょ……)
放課後。
🦈「……ねぇ」
こさめが、ふと思い出したように言った。
🍵「ん?」
🦈「こさもメガネかけてみたい」
🍵「え」
すちが一瞬止まる。
🍵「なんで急に」
🦈「いいじゃん、ちょっとだけ」
🍵「度合わないよ」
🦈「いいから貸して」
半ば強引に手を伸ばして、すちのメガネを奪う。
🍵「ちょ、待って――」
言い終わる前に。
こさめは、それをかけた。
🦈「……どう?」
くるっと振り向く。
その瞬間。
すちの思考が、完全に止まった。
(……は?)
いつもの、あざとい笑顔。
でも。
メガネ越しに見るその表情は、どこか無防備で。
少しだけ、幼く見えるのに――妙に色っぽい。
🦈「……すち?」
🍵「……」
🦈「なんか言ってよ」
一歩、近づいてくる。
距離が、縮まる。
レンズ越しの瞳が、まっすぐこっちを見る。
🦈「似合ってる?」
🍵「……外して」
🦈「え?」
🍵「今すぐ」
声が、低い。
こさめはきょとんとする。
🦈「なんで?」
🍵「……いいから」
🦈「やだ」
にやっと、悪い顔をする。
🦈「さっきの仕返し」
🍵「……へ?」
🦈「すちもさっき、こさめ困らせたでしょ」
🍵「……困らせてない」
🦈「困ったの!」
ぐいっと、さらに距離を詰める。
🦈「ねぇ、どう?ドキドキする?」
🍵「……」
その一言で。
――完全に、切れた。
🍵「……するに決まってんでしょ」
🦈「え?」
腕を引かれる。
一瞬で距離がゼロになる。
🦈「ちょ、すっち――」
言い終わる前に。
🍵「それ以上やるなら、覚悟して」
耳元で、低く囁かれる。
🦈「……へ」
さっきまでの穏やかなすちは、どこにもいない。
🍵「遊んでいいライン、超えてる」
🦈「……っ」
初めて見る表情に、こさめの方が固まる。
心臓が、今度は違う意味でうるさい。
🍵「……外す?」
ゆっくりと聞かれる。
こさめは、一瞬迷って――
🦈「……やだ」
小さく、でもはっきり言う。
その瞬間。
すちは、はぁ、と息を吐いた。
🍵「……ほんと、後悔しても知らない」
次の瞬間、メガネを外されて――
代わりに、ぐっと近づけられる距離。
🦈「ど、どうする気……」
🍵「さあ」
ほんの少しだけ笑う。
🍵「さっきのお返し」
🦈「……っ」
こさめは何も言えなくなる。
さっきまで自分がしていたことが、全部返ってきている。
しかも、数倍で。
🍵「……ねぇ、こさめちゃん」
🦈「なに……」
🍵「今、どっちがドキドキしてる?」
🦈「……知らない」
視線を逸らす。
でも逃げられない距離。
すちは少しだけ満足そうに目を細めて、
🍵「……ならいいや」
ぽん、と軽く頭を撫でた。
🍵「今日はこれくらいで許す」
🦈「……なにそれ」
こさめは頬を押さえながら、ぶつぶつ言う。
でも。
(……ずるいの、そっちでしょ)
さっきよりも、ずっと。
心臓がうるさかった。
バーチャル姿でメガネかけてるの🍵様👑様好きです
コメント
1件
黄さんのやつ大好き 。