一歌「…じゃあ、出てってくれる?今からしたいことがあるの」
話が終わったのなら、もう言うこともない。
穂波「分かった。咲希ちゃん、志歩ちゃん。行こう」
咲希&志歩「うん」
バタンと音を立て、屋上の扉が閉まる。閉まった途端に、なんだかバカバカしく思えてきた。
一歌「あははw私、何やってるんだろ。味方なんて、このセカイにはいないのになぁw」
もう、いいか。いいよね。
一歌「今なら、私がタヒんでも誰も悲しまない。悲しむ人がいても、そんなの関係ない。私が、したいようにするだけ」
ガシャと音と共に私の体はフェンスの外側にあった。
一歌「ここから落ちればいいの。ただ、それだけ。それだけで、救われる」
呼吸を整え、飛ぶ覚悟を決めた。次の瞬間、私の体は空へと飛んだ――はずだった。
?「駄目だよ!!」
誰かが私の体を掴んだ。この声は――
一歌「朝比奈、先輩…?」
まふゆ「だめ。飛んじゃ駄目。やめて?駄目だよ…星乃さん…」
今にも泣きそうな顔をし、私の体を必死に掴んだ先輩の手は…とても冷たかった。
一歌「………っポロポロ」
私は、泣いた。そして、朝比奈先輩がフェンスの内側へと私の体を戻した。
まふゆ「星乃さん、大丈夫。大丈夫だよ。私が…ちゃんと救うから…」
救う?ちゃんと?もう、嫌だったのに…聞きたくないのに…ここにいたい…
?「一歌ちゃん!」
スマホを片手に持って、涙を流している桃井先輩が来た。
愛莉「何してるの?一歌ちゃん!ポロポロ」
一歌「…だって…」
自分の想いを言えない私に、朝比奈先輩が言う。
まふゆ「…星乃さん、学校抜け出そう?」
一歌「…え?」
学校を抜け出す…⁉そんなこと知られたらお母さんに…!
愛莉「その方が良いわ。一緒に行きましょう?一歌ちゃん」
そう言って手を差し伸べる桃井先輩は、とても優しい笑顔だった。恐る恐る手を重ねると、グン!と引っ張られ、私の体が屋上から、飛び出していた。
まふゆ「いってらっしゃい!」
朝比奈先輩は、温かい笑顔で見送ってくれた。私と桃井先輩は、走りながら言葉を交わす。
愛莉「今、ちょうど学校を抜け出した子から連絡が来てね。だから、その子と一緒にいてほしいの。その子は一歌ちゃんの味方だからね」
味方…学校を抜け出す…人?別の学校っぽいけど…神山高校かな。
一歌「一緒に…ですか?」
愛莉「えぇ。私も一緒だから大丈夫よ」
桃井先輩はいつもの力強い笑顔でこっちを向いた。胸が暖かくかるのが分かった。
コメント
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まふゆちゃん ナイスタイミングすぎる…✨ 続きめっちゃ楽しみです!