コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
さて、障害物も何もかもを吹き飛ばし荒れ地と化したこのフィールドでやり合えるわけなのだがさっきの話『反射』について。これは確実にこの戦闘で使われるだろう。しかし聞いた話だと私が使ってるビーム系統を弾く対ビームコーティングと同じ原理だと思われる。もしそうならただの地面に撃ったところで反射は発生しない。あいつの話では出力次第で反射するかどうかを決めれると言っているがそれはあくまで『反射可能なものがあるとき』という条件付きだ。事実、通常の弾丸でも地面に撃って跳弾するかと言われれば答えはノーだろう。確かに岩やら瓦礫なら跳弾はするだろうがそれは実弾だからできるのでありビーム兵器は岩に撃とうが瓦礫に撃とうが反射せずそのまま砕けておしまいだ。出力が調整できたとしても着弾時弾けておしまいだろう。ではなぜあいつはその話をしたのか?それは至ってシンプル……。この何もない場所で『反射させることが可能』だからだろう。でも、それを可能とする方法が今の私には想像できない。警戒することに越したことはないがそれよりも先に私があいつを倒せばそれで終わりだ。さっさと倒してハナカの行動パターンを見極めないと……。
「私が戦いやすいようにフィールド調整したし速攻で片づけるけどいい?」
「真っ向勝負は確かに分が悪いけどそれでも負けるなんて思ってないから私」
「短期決戦で行かせてもらう。」
ブースターを一気に点火し距離を詰めて得意レンジに持っていくリナだがそれを予測していたカカリナは即座にビームライフルを構え向かい来るリナに狙い定めて乱射する。だが、さすがに機動力メインで強化しているリナにはかすりもせずどんどんと距離を詰められていき、遂には得意レンジにまで持ち込まれてしまう。
「この距離は私の距離だけどどうする?」
「そんなの真っ向から行くに決まってるでしょ!!」
ラージシールドから即座にサーベルを取り出し鍔迫り合いが始まる。
(私が使っている直剣は対ビームコーティングしているけど効力はそれほど強力じゃない。だからこういった鍔迫り合いができるが特別こちらが有利になるわけではない。あくまでビーム系統に対抗できるというだけ。あとは己の技量で決まるだろう。)
「くっ……!?こいつ!!」
「やはり私の方が技量が上のようだな?」
(実力は拮抗してるかと思っていたがやはりこんなピーキーな構成にしているだけはある。この状況に持ち込むまでの流れがあまりにもきれいすぎる。ランクの偽りはできないわけではないがそれをやる理由は基本ない。そんなことをすれば大会から良くて注意悪くて出場停止そして最悪の場合は戦姫の停止という択もある。だが、こいつはそのランクの偽りというのはしていないだろう。理由は明白……以前ニュースになっていたミライソフトの騒動。その被害者として彼と彼女の姿がメディアに一瞬だが映っていた。これは私の予想でしかないが彼女のこの実力はその騒動に巻き込まれ生死を彷徨ったこと。それが彼女の強さに直結してる。私らのような遊びではなく企業を相手にした戦姫大戦をしてる。だからピーキーな装備もここまで巧みに扱えてる。だけど、私らだって負ける気はない。遊びに本気になったっていい。遊びだから本気になれる。真っ向からは勝ち目がなくてもそれでもい私は真っ向からこの戦姫……。カナを否定してやる!)
「あまり私をなめるなぁぁぁぁ!!」
拮抗していた鍔迫り合いはカカリナが勝利しカナの剣を大きく弾く。そしてゼロ距離からのライフルを数発カナに掃射し距離を作り出す。
「ぐっ……。なかなかやるじゃん。」
「ピーキーな装備のあなたにはこの攻撃は致命的なはず。格下だと侮ってるみたいだけど残念ね?自分事を過信した結果こうして反撃をもらってるんだから。」
「……。確かになめてたけど、次はこうはいかない。私も出し惜しみはやめよう。」
すぐに立ち上がり再度同じように真っ向から向かってくる。そしてそれを同じようにビームサーベルで受け止める。
「さっきこれであんたは私に負けてる!もう一回敗北を味わうといい!」
「私の好きなことの一つに、相手が一度でも有利に立った土俵を崩すことがあるんだよね。それを今から見せてあげる!」
その言葉通り今度はカナが勝利し腹部に思いっきり蹴りを入れられ後方に大きく飛ばされる。受け身をとりすぐに構えるのもつかの間、今度は遅れて斬撃がカカリナを襲いそれを防ぐためにラージシールドを犠牲にしさらに距離をとる。ラージシールドは遅れた斬撃によって切り刻まれ爆散。破片があちらこちらと散らばっていく。
「今のは一体……。」
「ちょっとした私の特技ね。スキルでも装備による効果でもなく、私の技量によるものよ。」
(やっぱりこの戦姫このランク帯に居ていい戦姫じゃない。少なく見積もってもC帯過度に見積もればB帯の平均当たりの力を有してる……。これが彼女のポテンシャルなのかはたまたそのトレーナーである彼の技量なのか……。もしかするとその両方って線もあるのが怖いところね。)
「盾も消し飛ばしてあんたの武装はライフルと今手に持ってるサーベル、あとあれば小型ミサイルとかファンネルとかだろうけどどれも決定打には欠けるね?それでもなお私とやる?」
「強がってるけどあんたもきついでしょ?さっきの鍔迫り合いでENを消費してそのうえ今の攻撃。貴女の力量でやったとはいえ二度目の鍔迫り合いは一度目より推進力に力を入れてたからカツカツなはず。更に、けん制用のサブマシンガンも弾薬に限りがあるから多用はできない。燃費の悪い装備だから似たような状況が続けば先に動けなくなるのは貴女。違う?」
「痛いところを突いてくるなぁ?でも、それで私が引き下がると思ってるなら甘いよ?」
「体が闘争を求めてるのね?」
「それはお互い様だ。」
「私は変わらずあんたのガス欠を狙う。速攻で仕留めに来なよ!」
「言われなくてもそうするわ!」
距離が大きく離れているがその距離を一気に詰めるために再度バーニアに点火する。カカリナは宣言通りライフルを使い一定の距離を保ちながらけん制してくる。
「そんなしょっぱい弾幕で私が引くとでも!?」
「……。それはどうかな?」
カカリナの放つビームを華麗に避けてどんどん距離を詰めていくが突如後ろからビームが飛んできてカナの右足をかすめ、体勢を一瞬崩しその隙に最初に撃ってきたロングレンジ状態のライフルでカナを貫く。
「うがぁ!?」
「いくら経験に差があってもこの奇襲は読めないのね?」
今の奇襲は一体なんだ?あいつはファンネルもビットも何も出していないのに背後から攻撃を喰らった?どんなトリックを使ったというのだ……。私も知らない自立型の小さなロボでもいたのか?もしいたとしたらいつこのフィールドに忍ばせた?それに遮蔽も何もないこのフィールドでそんなロボを運用が難しいはず……。となると、そのロボがあるという説は排してもいいな。残る説のファンネルやビットがあるが、視認できない武装が戦姫大戦にあるとは考えにくい。仮にあったとしてこのランク帯でそんなものがあるとは思えない。なら、あと考えられるのは……。
「どう?理解できない攻撃の恐怖というのは?」
「……。実に不快で苛立ちを覚えるけど、それがいいねぇ。」
「……。不利なのにこの状況を楽しむなんてやっぱりあんたこのランク帯の戦姫じゃないわね?」
「少なくともマインドはどの戦姫よりも秀でてると自負してるからね。」
「でも、そのマインドだけではこの状況は変えられないよ?」
「確かにマインドだけなら変えられないけどもうトリックは見破った。今負けを認めるならあなたに屈辱を与えなくて済む。」
「……。私は降伏するのが一番嫌いだ。」
「……。なら、いいだろう。正面からあんたのすべてを壊してやる!」
再び立ち上がり剣を構える。カカリナもライフルを手に持ち連射するが、対ビームコーティングをされた剣により飛んでくるビームを弾き飛ばして距離を縮めていく。
(コイツ……。本当に対処法を……。)
「避けた結果奇襲を受けたのなら避けずにその攻撃を弾けば何の問題もない。」
「……。トリックはもうバレたのね。」
「事前に『あの』話をしてくれたからね。」
「もう小細工は何もない……。真っ向からやっても私には勝機はないだろう。 負けが分かっているこの勝負ほど馬鹿らしいことはないがそれでも今できる全力を貴様に見せてやる!」
ライフルを投げ捨て残されたビームサーベルを利き手に持ち出力を最大まで上げ対抗する。
「ガス欠はもう難しいならあんたの望む短期決戦でぇぇ!」
「負けるかぁぁぁぁ!!」
その後フィールドに強い衝撃が走り鍔迫り合いから稲妻が発生、土埃によって二人の姿は確認できなかったが時が過ぎようやく見えるようになった時フィールドに立っていたのはカナであった。そして勝者の文字が浮かび上がると歓声が上がる。そこに表記されていた名前は『カナ』という戦姫の名前だった。こうして第一準決勝は幕を閉じた。
「……。あのラージシールドを捨てたのは計算か?」
「あれは斬撃をそらすために捨てただけ。『反射』を利用しようと考えたのはその散らばった破片が視界に映ったからに過ぎない。」
「反射の話がなければ負けていたのは私かもしれないな……」
「どうだろうな……。私にはわかるぞ?まだお前が隠している『何か』が存在していることを。」
「それはそうだなぁ……。いずれ見せよう。」
「それまでには私も強くなろう。」
「あぁ。楽しみにしている。」