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すずめ
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桃柊冬呉
49
桃源暗鬼夢小説
「水面に咲く小さな鬼 」
第1話「ちっちゃな転入生」
羅刹学園・午前8時30分。
いつも通り、騒がしい教室。
四季「だぁぁ!!だから俺じゃねぇって!!」
迅「お前以外に誰がいんだよ。」
四季「はぁ!?!?」
帆稀「ふ、二人とも落ち着いてぇ……!」
いつもの光景。
そんな教室に、一人の教師が入ってきた。
無陀野「……うるさい。」
四季・迅「…………。」
一瞬で静まり返る教室。
無陀野「今日は転入生が来る。」
四季「転入生!?マジか!!」
無陀野「入れ。」
ガラッ。
扉が開いた。
そこに立っていたのは――
水色のサラサラした髪。
薄紫色の大きな瞳。
左右につけられたヘアピン。
そして、制服の上から羽織った、袖が手をすっぽり隠すほどぶかぶかの水色ジャージ。
身長は、たったの145cm。
???「こんにちはぁ!!」
教室に元気な声が響く。
瀬奈「鈴鹿瀬奈ですっ!!よろしくお願いしまーす!!」
にぱっ!
四季「…………。」
迅「…………。」
四季「……ちっさ。」
瀬奈「えっ!?」
四季「いや、めっちゃちっせぇな!?」
瀬奈「なっ!?!?失礼だよぉ!!」
ぷくーっと頬を膨らませる瀬奈。
四季「お、おう……悪ぃ。」
帆稀「か、かわいい……!」
皇后崎「……騒がしい奴が増えたな。」
瀬奈「えへへっ!よろしくねぇ!」
無陀野「……鈴鹿。席につけ。」
瀬奈「はぁーい!」
とてとて。
小さな歩幅で席に向かう。
その様子を見て、四季は思った。
(なんか……小動物みてぇ。)
しかし。
無陀野だけは違った。
(……鬼機関戦闘部隊隊長、鈴鹿瀬奈。)
(しかも、四季と同じ鬼神の子。)
(なぜ、こんな奴がここに……。)
無陀野「…………。」
その視線に気づいた瀬奈は――
瀬奈「?」
こてん、と首を傾げた。
無陀野「……なんでもない。」
第1話・後半「ちぃ?」
昼休み。
四季「なぁなぁ!瀬奈!」
瀬奈「んー?」
四季「お前ってさ、なんか戦えんの?」
瀬奈「えっ?」
四季「いや、ここ羅刹学園だしよ!血色解放とか!」
瀬奈「ん〜……」
瀬奈は少し考えるように指を口元に当てた。
瀬奈「んふふっ、ひみつ〜!」
四季「はぁ!?なんだよそれ!!」
迅「別にいいだろ。言いたくねぇんだろ。」
瀬奈「そーそー!迅くん正解っ!」
迅「……名前覚えんの早ぇな。」
瀬奈「えへへ!」
四季「じゃあさ!今度手合わせしようぜ!!」
その瞬間。
瀬奈の笑顔が、ほんの一瞬だけ止まった。
瀬奈「…………。」
手合わせ。
戦闘。
訓練。
脳裏に、昔の施設の白い壁がよぎる。
『間違えたら、お仕置きだ。』
瀬奈「…………っ」
四季「……瀬奈?」
瀬奈「……あっ!」
ぱっ、と笑顔に戻る。
瀬奈「いいよぉ!でも私、弱いから手加減してねっ!」
四季「おう!!任せろ!!」
迅「……お前が手加減できるとは思えねぇ。」
四季「なんだと!?」
瀬奈「あはははっ!!」
笑う瀬奈。
けれど、その笑顔の裏に何が隠されているのか。
まだ、誰も知らなかった。
放課後。
誰もいない廊下。
瀬奈「ふぅ〜……!」
今日は楽しかった。
新しい友達もできた。
それに――
瀬奈「四季くん、おもしろいなぁ……!」
くすくす。
その時。
廊下の角に、ぶかぶかの袖が引っかかった。
瀬奈「わっ!?」
ビリッ。
袖が少し破れ、指先に小さな傷ができる。
瀬奈「……あ。」
ぽたっ。
血が一滴、床に落ちた。
すると。
ぽふんっ!!
小さな猫が現れた。
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「……ちぃ!」
ぱぁぁっと表情が明るくなる。
瀬奈「もぉ〜!出てきちゃったのぉ?」
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「えへへっ、かわい〜!」
しゃがみこんで、ちぃをなでる。
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「……今日ね、楽しかったんだぁ。」
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「明日も楽しいといいなぁ……」
その時。
???「……おい。」
瀬奈「…………え?」
振り向くと――
そこには、無陀野が立っていた。
無陀野「……鈴鹿。」
瀬奈「あっ!先生!」
無陀野「その猫はなんだ。」
瀬奈「…………。」
瀬奈の笑顔が、すっと消える。
ちぃ「ぽふっ……」
無陀野「……血色解放か?」
瀬奈「…………。」
数秒の沈黙。
そして。
瀬奈「……先生。」
さっきまでの明るい声とは、まるで違う。
静かな声。
瀬奈「それ、聞かないでくれる?」
無陀野「…………。」
瀬奈「……お願い。」
無陀野は少しだけ目を細めた。
無陀野「……わかった。」
瀬奈「……ありがと。」
すると、瀬奈はまたいつもの笑顔に戻った。
瀬奈「じゃーね!先生っ!」
ちぃ「ぽふっ!」
とてとてと走り去っていく小さな背中。
無陀野「…………。」
(……何を抱えている。)
(あの年齢で隊長にまでなった理由も……。)
(俺は何も知らない。)
窓の外。
夕日が、廊下を赤く染めていた。
第1話 完
次回「初めての実戦訓練」
四季から手合わせを申し込まれた瀬奈。果たして、実力を隠し通せるのか――?
次回予告!
四季「おー瀬奈!おはよ!」
瀬奈「……はよ」
四季「えっ?」
四季「怒ってる?」
瀬奈「怒ってない」
四季「じゃあなんで…」
瀬奈「……質問多い。黙って」
四季「……はい」
コメント
1件
ああ〜〜もうめっちゃ良かった!!😭💕 瀬奈ちゃんちっさくて元気いっぱいで可愛いすぎるんだけど、四季との掛け合いも微笑ましくて尊い…!でも無陀野先生に問い詰められたときの一瞬の空気の変わり方、めっちゃ気になる!!「それ、聞かないでくれる?」の声、想像しただけで胸がぎゅってなったよ…。それにちぃ(ぽふっ!)登場も可愛すぎて悶えた!続きが待ちきれないです、姫野めるさん最高です!!🌸