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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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仕事終わり、千歳と一緒に紅葉スポットを訪れた。赤や黄色の葉がライトアップされて、夕暮れの紺に映える。同じ事を考える人は多いようで、そこここにスマホで写真を撮る人たちがいた。
『すっごくきれいだ!』
「これがインスタ映えってやつか……」
2人で歩きながら紅葉を撮り、お互いの写真を見せ合い、また紅葉を撮る。それを何度か繰り返したとき、俺は少し離れた茂みがガサガサしてるのに気づいた。なんだろう?
千歳は写真撮るのに集中してるので、おれは千歳に声をかけずにそっと茂みに寄ってみた。
暗がりの中なんとか見えたのは、巨大な黒い塊。そして、黒い毛皮、獰猛な顔、底光りする目。
「く、熊だ!!」
どどどどうしよう、とっさに叫んじゃったけど叫ぶのダメなんだっけ、目を合わせて後ずさりって聞いたことあるけど、こんな近距離で!?
固まってると、千歳が『熊!?』とやってきた。俺は震える唇でなんとか言った。
「く、熊、ヒグマ……」
周りの人が気づいて「熊だーっ!!」と悲鳴をあげる。熊は興奮した様子で、オレに向けて思い切り腕を振り上げた。もはや鎌のような鋭い爪が俺を狙ったが、千歳(巨大な黒い一反木綿のすがた)がガッとその腕をつかんだ。
『ふざけるなよ……こいつをどうにかしていいのはワシだけだ』
千歳はヒグマの腕を絞るように握りしめ、そしてボキッという音がした。折った!?骨!?
ヒグマは咆哮し、もう片方の腕を千歳に叩きつけようとしたが、その腕もまた掴まれる。千歳は、一本背負いの要領で、ヒグマをそのまま地面に叩きつけた。
全然逃げずにスマホでヒグマを撮る人が散見される。千歳はその人たちに向かって『逃げろバカーッ!』と叫んだ。
ヒグマが起き上がる前に、千歳はヒグマを組み伏せた。
『和泉! これ退治したほうがいいか!?』
その方がいい。こんなに人慣れした熊、絶対人間を殺傷する。
「そうして、かわいそうだけど! 中途半端に痛めつけても暴れて人がやられる!」
『わかった!』
千歳は、傍らにある岩にヒグマの頭を叩きつけた。思いっ切り。何度も叩きつけ、しばらくしてヒグマは痙攣して動かなくなった。
ヒグマが完全に動かなくなったのを確認して、千歳はヒグマから離れた。そして二十歳の姿になって俺のところへすっ飛んできた。
『大丈夫か!?』
「おかげさまで……」
千歳の怪力とんでもないな……。
ていうか撮られちゃった、どうしようか……
消してくれって頼もうにもみんな逃げちゃったし……。この場にとどまっても、警察に事情を聞かれたら帰りの飛行機に間に合わないし、千歳が楽しみにしてるお寿司も食べさせてあげられないし……。
……神奈川まで高飛びすれば、逃げられるか?
俺は、思い切った。
「……千歳、今から俺は悪いことをする」
『へ?』
「何もなかったことにして、さっさと帰ろう」
『え、いいのか?』
「関係者として話聞かれても、怨霊がボコボコにしましたって言ったら騒ぎになるだけだから……あと飛行機の時間もあるし」
『そうか……寿司はあきらめるしかないか……』
千歳はしおれた。
「いや、函館空港に寿司屋さんあるからさ、そこで食べよう」
『おっ、やった!』
そういう訳で、俺たちは逃げるようにその場を去った。
空港に着いて、巨大なネタの寿司に驚愕し、食べてみて、関東じゃ味わえないレベルの新鮮さに圧倒され。
『全然生臭くない!』
「魚のおいしいとこだけある……」
うまみも弾力も、神奈川で食べる寿司ネタの比ではない。
それから飛行機に乗って帰って、翌日。
千歳の聞くラジオに、ヒグマのニュースが流れた。
〈函館の見晴公園にてヒグマが現れました。警察が向かうもすでに死亡しており、他のヒグマと争ったことによるものと見られています。警察は、現場で撮られた映像を元に、もう1頭のヒグマを探しています〉
そうか、千歳も黒いからヒグマに見えたのか……ヒグマではないので無駄足を踏ませて悪いが……。
「千歳、ヒグマ扱いされてるよ」
『ワシ、ヒグマより強いぞ?』
千歳は胸を張った。
「うん、それはもう、十分思い知らされたよ」
ヒグマ、怖すぎだろ……千歳がいてよかった。
まあ、千歳はヒグマより強いんだけど、全然怖くはないな。悪意を持って害を与えられたこと、一度もないからな。
コメント
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美月ゆめかです🌸読んだよ〜第846話!もうね、千歳の「こいつをどうにかしていいのはワシだけだ」がイカしてる😭💕独占欲と守る気持ちがドッキングしててエモい…!しかもヒグマを一本背負いで投げるとかどんな怪力なんだよwww 最後のラジオで「もう1頭のヒグマを探してます」に千歳が胸張ってるの、可愛すぎて倒れるかと思った🫠✨ ヒグマより強いけど全然怖くない、っていう和泉くんの信頼感もじーんときたよ…!