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二日目、10月18日。
この日の目玉は、今年開業したばかりの話題のテーマパーク『JUNGLIA(ジャングリア)』だ。
「最新スポット、楽しみにしてたんだよな~!」
沖縄北部の広大な自然を活かしたアトラクションの数々。
大自然の中を駆け抜ける爽快感に、普段は厳しい上司たちも子供のように声を上げる。
その後の美ら海水族館では、巨大な水槽『黒潮の海』を泳ぐジンベエザメの迫力に圧倒された。
尊さんと並んで、ゆっくりと薄暗い館内を歩きながら水槽を眺めていると
まるで深い海の底に二人だけで迷い込んだみたいだ。
青い光が波紋のように俺たちを照らしている。
「…写真で見るより大っきいですね…っ」
「ああ、丸呑みされそうなぐらいにな」
「ふふっ」
隣で水槽を見上げる尊さんの横顔が、水の色を反射して綺麗に透き通って見えた。
その美しさに、俺は魚を見るのを忘れて、彼のことばかりを見てしまった。
◆◇◆◇
夕方、備瀬のフクギ並木をゆっくりと散策。
防風林として植えられた深い緑のトンネルの中、木漏れ日が砂地に斑模様を描き、牛車がのんびりと通り過ぎる。
夜、19時からはビーチサイドでBBQ。
潮騒を聴きながらの宴会と聞いて、俺の脳内は完全に肉野菜で支配されていた。
尊さんに言ったら「単純だな」って呆れられそうだけど、どうしても抗えない。
ビーチに設置されたテーブルを囲み、焼きたての石垣牛や新鮮な魚介を頬張る。
潮風が香る中での宴は格別で、自然と笑い声がこぼれた。
しばらくして、宴もたけなわになった頃。
「皆さんお待たせしました!毎年恒例!ビンゴ大会、始めたいと思います!!」
幹事の太田さんがマイクを握りしめて宣言すると、砂浜に歓声と拍手が巻き起こった。
特設ステージの上には、ライトを浴びた豪華景品がずらりと並んでいる。
「今回のビンゴ優勝者にはなんと!1等にはディズニーペアチケット!2等は黒毛和牛特盛1kg、3等にはハーゲンダッツ&フルーツティアラアイスセットなど!」
「マジで!?」
「うわ絶対欲しい!」
「ディズニー良すぎ!ちょうど彼氏と行きたかったんだよね~」
ざわめきが一気に波及し、全員の目つきが変わる。誰もが本気だ。
会場のボルテージは瞬時に最高潮に達した。
全員に配られたカラフルなビンゴカードを握りしめ、誰もが一獲千金を夢見て前のめりになる。
俺は隣に座る尊さんの反応を伺った。
普段はどんな時も冷静沈着な彼の目も、珍しく輝いている。
(あ……やっぱり尊さんも欲しがってるのかな?)
「さあ行きますよ〜! 第一号は……『33番』!」
司会の掛け声とともに抽選箱から数字が飛び出すたび、悲鳴とも歓声ともつかない叫び声が上がる。
「くっそ…」
「あっ、あたしある!」
カードの丸い枠をパチンと押し、穴が開いていく感覚が妙に楽しい。