テラーノベル
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家に帰った瞬間から、違和感はあった。
「…まろ?」
返事は少し遅れて、ふわっとした声。
「んー…おかえり、ないこ」
視線が合わない。
頬が、ほんのり赤い。
「……お酒、飲んだの?」
「ばれたかぁ……」
へにゃっと笑って、ソファに身を預ける。
「ちょっとだけや。
久しぶりに、あいつらと」
(ちょっとだけ、じゃないよね)
そう思いながらも、
ないこの胸は、別の意味でざわついていた。
今日は、チャンスかもしれない。
まろはいつも理性が強くて、
距離を守ってくれる。
でも今は、
少しだけ隙がある気がした。
俺は意を決して、隣に座る。
「…まろ」
「んー?」
距離が近い。
いつもより、体温が伝わる。
「……今日は、その…」
(言っていいのかな)
「シャワー浴びてくるからさ、その後…」
まろは一瞬きょとんとして、
次の瞬間、分かりやすく顔を赤くした。
「……っ」
視線を逸らして、耳まで赤い。
「ないこ、それ……」
「だめ、かな…」
すると、まろは困ったように笑った。
「だめやない、むしろ嬉しい」
そう言ってから、
額に手を当てる。
「でも今日は、あかん」
「え……」
「今日は、調子が悪い」
「こんな状態で、ないこに何かしたら……
絶対後悔する」
「……ごめんな」
「ううん」
「……ちゃんと考えてくれてるって、分かったから」
まろは少し驚いた顔をして、
すぐに柔らかく笑う。
「…ほんま、かわいいな」
「う、うるさい…可愛いって言うなぁ」
まろは、そっとないこの手を握る。
「ないこ 」
指が絡まる。
それだけなのに、
心臓が早くなる。
「んっ…ぁ…」
(お酒の味….俺も酔っちゃうかな)
「続きはまた今度、な」
その一言に、
小さくうなずいた。
(……待つのも、悪くない)
コメント
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主さんの物語内での感情の表現がものすごく心に刺さりました!