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それはこの河川敷でのことだった。
俺は高2で先輩高3だった。
先輩は背はぐんと高くて高身長、運動はできるし、顔だって高校で一番というほど格好良かった。
でも、そんな先輩にも欠点があった。
それは名前だ。木村拓郎。通称キムタク。
名前だけ惜しい。
俺ならこんな名前…友人、先輩、後輩にも誰からもからかわれそうで、改名したくなりそうになる。
そんな先輩だが、変な名前も吹き飛ばしてしまうほどなにもかも憧れるような人だった。
それに先輩は初めて会った人に名前を聞かれたら、必ず最初は冗談で「キムタクです☆」って言って笑いを取っていた。
だからウチのサッカー部は女子が集まる一方だったし、先輩はたくさんの人からモテていた。
そんな先輩の人柄に惚れていた。俺も高3になったらそんな先輩になりたいと思っていた。
俺がサッカーが上手いからか先輩には良くしてもらっていた。
家の変える方向が同じだったから一緒に帰っていたし、昼ご飯は先輩の友達と仲良くなるほど一緒に食べていた。
それほど俺は先輩に認めてもらえていたんだろう。
3年の先輩たちが引退するときに次の代のキャプテンを決める。
先輩たちが監督と群がって真剣な表情で会話をしていた。そして、監督から後輩たちへと俺の名前が呟かれていた。
俺が次の代のキャプテンだった。
おそらく先輩が推薦したんだろう。先輩は満面の笑みだった。
「よかったな!宙!次のキャプテンだぜ!」
俺を奮い立たせるように俺と肩を組んでくれた。
「ありがとうございます。先輩!」
「俺、先輩の思い繋いでいきます!俺の代では全国大会にも出れるように頑張ります!」
「あぁ、頑張れよ!」
先輩たちとは大学受験の準備のために一緒に帰ることはなくなった。
昼ご飯も一緒に食べることはなくなって、友達と食べることが毎日の日課となった。