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「猿に服を盗まれた!」

あたしは途方に暮れた。調べてみると、車のキーなんかは残されていた。でもスマホなんかも持っていかれて、助けを呼ぶことも出来ない。車までもどれば、何とかなるだろうか……。しかたない、とりあえず歩いて山を下りよう。あたしはそう決意して、温泉をでて、裸で山道を降りることにした。

しばらく歩いていると、ガサガサという音が聞こえてきたので振り返った。するとそこには猿たちがいた。しかも今度は3匹だ。

「あ、あなたたち!」

3匹の猿たちはあたしの服を手に持っていた。

「返しなさいよ!」

あたしが叫ぶが、猿たちは無視して服を持って逃げていく。

「待ちなさいよ!」

あたしは追いかけた。しかし、猿たちは素早く逃げていくのでなかなか追いつけない。そうしているうちにも、猿たちはどんどん先に行ってしまう。そしてとうとう見えなくなってしまった。

「ああもう!なんなのよあいつらは!」

あたしは怒りにまかせて叫んだが、どうしようもない。

「しょうがないから、いったん車まで戻るか……」

あたしはため息をつくと、また歩き出した。しかし、猿を追いかけたせいで、変な道に迷い込んだようだ。こんなところ、通ったっけ……。

不安に思っているとまた服を持った猿が現われた。そして、その服を、斜面に空いた横穴の中にほおり込んだのだ。

「あっ、ちょっとぉ!」

猿は直ぐに姿を消した。あの穴は、猿たちが宝物でも隠すのに使っているのだろうか? まあどうでもいい。これで服が取り返せる。そう思って穴を調べてみたが、それは思った以上に狭かった。とても全身は入りそうにない。泥だらけになりそうだが、上半身だけ突っ込んで服を取り出すしかなさそうだ。そう思って頭から穴に突っ込んでみたが、中は意外に深かった。服はどこだろう……。

と、そのとき、背後で、キキッ、と猿の声がして、誰かがあたしを押さえつけたのが分った。えっ、これもしかして、猿が押さえつけている? 私は急いで穴から出ようとしたが、穴は狭く、強い力で押さえられていてびくともしない。あたしは穴に上半身を突っ込んで、下半身をさらけ出すという、間抜けなカッコをさせられていた。

「ちょっと! 離しなさいよ!」

あたしはそう叫んだが、猿たちはまったく意に介した様子はない。そして、そのうち一匹があたしのお尻をなで回し始めた!

続く

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