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side未緒
目を開けると、やっぱりそこは知らない場所だった。 でも、前のところよりあったかいし気持ちいい。 もう十分寝たし、怪我した足もほとんど痛くない。 それより、お腹が空いた。
ベッドの横に私の靴が置いてあったので履いて、部屋のドアを開ける。 ドアから外を覗くととっても長い廊下が続いていた。
どうするか迷ったけど、探検してみることにした。
とりあえず右側の廊下を進む。
部屋がたくさんあって廊下などに飾られている装飾品はとても綺麗だ。
いつのまにか大きなドアの前に来ていた。
押してみたが開かない。 鍵がかかっているみたいだ。 空に向かって両手を前に出して力を入れる。カチャっと音がして扉が開いた。
ちょっと嬉しい。
未緒だってこのくらいならできるのだ!
空いた扉の隙間から部屋を覗く。 そこには何人かが長机に座っていて何か話している。
しばらく覗いて、なんの話をしているのか気になったから扉の隙間に耳を近づけた。 すると、話し合いが終わったのか数人が席からたって扉の方にくる。
覗いてるってバレちゃう!
どこか隠れる場所を探して辺りを見回すが隠れられそうなところはない。 後ろを向いて走ろうと思った時、扉が開いた。
「・・・!誰だッ!」
後ろを向いてるから今怒鳴った相手がどんな顔をしているかわからないけど 怒鳴ってる時点で怒ってる。 怒鳴り声につられて数人が部屋から出てきた。
どうしよう。
「あー・・・ストップストップ」
聞いたことのある声が聞こえた。
後ろを振り向くとやっぱりそこには狼冥さんがいてその後ろからひょこっとのんが顔を出した。
「もー。部屋から勝手に出ちゃダメでしょ〜?」
迷子になっちゃうよー?と近づいてきたのんに優しく頭を撫でられる。
「どうしたー?何かあった?」
「・・・あっ。お腹すいた」
のんを見上げて首を傾げる。
「あ〜そうか!ごめんね気づかなくて」
のんは振り向き後ろにいる何人かに「あ〜」と気まずそうに顔を向ける。
「ごめん。この話は一旦後で、、、」
「りょうかーい。センパーイ!私資料整理しとくから時間空いたら教えにきてね」
間髪入れずにそう答え、いかにも強気そうな声が早足に部屋を出ていく。
目を向けるとそこには圧倒的に目が惹かれる色白の美少女がいた。この少女は他の人とは比にならないくら目鼻口のパーツ全てが整っていて、白にピンクがかった色の艶のある長髪がとても似合っている。身長は160弱といったところか。目は薄い黄色で、ガラスみたいだ。いかにもギャルという感じでワイシャツにセーター、ギリギリを攻めている黒いスカートから白く細い脚が伸びている。と、ここまできてその顔にどこか見覚えがあることに気づいた。
誰かと似てるような・・・
「部屋戻る前に未緒に自己紹介してあげて〜」
「オッケー」そう言い自然な様子で振り返る。
「二宮御 叶だよー キアノース情報管理部最高責任者でーす。 よろー」
叶はニコッと笑ってこちらを見た。
気が強そうだが、悪い人ではない。そう感じた。
「じゃあバイバーイ」そう言い残して、叶は廊下の先へ消えていった。
「ねぇ先輩、話戻るけど僕ってどうすばいいの?」
そうのんの背後から声をかけたのは翠色の瞳に藍色のショートカットの少年。灰色で大きめのバケットハットを被っている。オーバーサイズの裾がひらひらな黒色の長袖で、背中にはよくわからない穴の空いた葉っぱのような模様が書いてあった。少し着崩していて、左肩が見えている。ズボンにはダメージが入っていた。狼冥さん、のんと比べたら年下だと思う。顔立ちがまだ幼いように感じられる。
「あー、、、そうだね。まだ特にこれしてとかはないかな。把握だけしててほしいって感じ」
「わかった。」
パチッと目があった。
「えっと・・・綾世 優海っていいます。 対応班の最高責任者です。 まぁ何でも屋って感じのことしてます。カイ って呼んでね。 よろしく」
カイは少し気まずそうに視線をそらす。
「おー。その子が噂の未緒?」
少し後ろで見ていためろんを小突いて出てきたのは、身長が180以上あると思われる男だった。黒髪に青い瞳。グレーのトレーナーに黒いズボンという、特に何も考えてなさそうな服装だ。狼冥さんよりも年上に見える。20歳前半くらいだろうか。
「お嬢ちゃん。俺は田中 駿。 この国の秘密調査員、、、じゃなくて特殊作戦部隊指揮官やってんだー。みんなからは田中って呼ばれてるけど呼び方とか気にしてないからなんでもいいよー。俺は変装とかが得意なんで、だいたい他の国の偵察してるからほとんどあわないと思うけどよろしく」
そこまで言うとたな田中は思い出したかのように振り向く。
「誠ー。さっき怒鳴ってて怖い兄ちゃんだなって思われてるぞ。挨拶したらどー?」
するとチッと舌打ちが聞こえ部屋の中から怖い雰囲気の人が出てくる。さっき怒鳴ってきた人だ。銀色のショートカットに吊り目で猫のように瞳孔が縦長。瞳は暗い緑色で笑う様子が想像できない。服も全体的に暗くてまるで893・・・いやなんでもない。のんと並ぶと少し小さい。
「銀龍 誠だ。 軍事指揮官をやっている。 先輩がお前を気に入っているのだとしても、俺がお前を信用できるようになるまで仲良くやろうと思ってない」
怖い、、、。視線が鋭いし、口調も強い。
「おーw辛辣ー」
田中は狼冥さんの肩に掛けていた腕をどかし、私の方に近づいてくる。
今度は私の肩に手を掛け「あの兄ちゃんツンデレなだけだから気にするなよ」と耳打ちした。
すると、さっき誠がいた場所からガンッと壁を蹴飛ばしたような音が聞こえる。今田中に隠れていてそっちの様子は見えないが100%誠がしたのだろう。
「こわいこわい。だから子供達に怖がられるんだぞw」
誠は何も言わない。
「お前誰かと会話してれば仕事から逃げ切れると思ってるのか?」
そういきなり狼冥さんが言いながら田中の襟を後ろから引っ張った。
「グェー」と大袈裟に反応しながらたなかは狼冥さんの方を向く。
「いきなりなんの話?」
「今日の朝、調査内容まとめて提出するって言ってなかったっけ?」
「あ」と、田中が小さく呟く。
「今日たなかを会議室に呼んだのってそのためなんだよね」
にがい顔をしながら、田中がもう一度こっちを向いた。
「お嬢ちゃん。俺急用が入ったからもう行くね」
そういうと、田中はすくっと立って廊下を少し歩いてこっちを振り向く。
「、、、ロゥ、、、鬼ごっこするか。期限3日延長を掛けて」
「お前は何を掛けるんだよ。」
「ごめん。前言撤回。俺は仕事とロゥから逃げるぜ」
そう言い、田中は一目散に廊下の先へと消えていった。
「追わないん?」
呆れたような目で廊下の先を眺めている狼冥さんにのんが話しかける。
「めんどくさいから後で叶に頼むわ」
「なるほど」
グーとお腹が鳴った。
慌ててお腹を抑えた私に狼冥さんは一瞬目をやり、またのんの方を向いた。
「ごはん食べにいくんじゃなかったっけ?」
「そうだね。未緒!ご飯食べに行くか!」
そう言った、のんに手を引かれて私は会議室を後にする。
「・・・さっきは”ギン”がごめんね〜」
唐突にのんに話かけられた。
初めて聞く名前に頭をかしげる。
「ギン?」
「・・・あー誠のこと」
「根はいい子なんだよ」と笑う。
「口が達者なだけで、、、」
のんがなんか言った気がするが気のせいだろう。
「・・・せんぱーい!」
唐突に、後ろからとても高いふわふわした声が聞こえた。
「せんぱい!るいが暇になったら来てほしいって言ってた!」
振り返ると薄茶色のサラサラな短い髪が目に映る。 咲き誇る花のような笑顔を浮かべて、のんに話しかける少女。
誰だろう。
「おーありがとうね”ハル”。 本当にかわよいな」
のんはそう言ってその子の頭を優しく撫でる。
目の前の少女はは嬉しそうにする反面恥ずかしそうにして 「せんぱいの方がかわいいもん!」としきりに言っている。
そうすると少女がこちら見た。 私より少し高い位置にある目が不思議そうにこちらを見ている。
「せんぱい・・・この子がみお?」
「そうだよ。ハル より年下だから優しくしてあげるんだよ?」
のんが少女にニヤッとしながら話す。
「・・・せんぱいが言うならしょうがないな。 んと、、、おれは千流羽華飛。 医療班救急部隊長でこの国の幹部で最年少。 よろしくね」
華飛は礼儀正しくお辞儀をしたので私も慌ててお辞儀を返す。
その姿に何を思ったのか、のんがニコニコしながらこちらを見てきた。
とりあえずのんに笑顔を返す。
「・・・せんぱいッ!」
華飛がいきなり大きな声を出したので振り返る。
さっきまで笑顔をたたえていた顔は少し涙目になっていて頬を膨らませている。
のんは「はいはいはい」と優しく声をかけながら華飛と視線を同じ位置にして頭に手をポンと置いた。
華飛と目が合う、、、 顔をそむけられてしまった。
私は何か良くないことをしたのだろうか。
そう思ってのんの方を見るとなにやら苦笑いをしている。
ハテナを浮かべていると、 華飛はまだ仕事が残ってるからと言って 来た道を戻っていってしまった。
誠と華飛。
この2人と打ち解けられるようになるまではまだ時間がかかりそうだ。
2、3分歩いた先に開けた食堂があった。
食堂の壁の左側は全てガラス張りになっていて、 暖かい日差しが木漏れ日となって入ってきている。
のんは食堂に入ると「さくら〜」と誰かを呼んだ。
「はいー?」
奥のキッチンから黒色で長い髪の人が出てきた。瞳は水色で涼しい感じがする。黒色でカラフルな装飾がされた帽子を被っていて、服は同じく黒色のパーカーを着ている。長めの白色ブーツがキリッとした雰囲気を醸し出している。
この人は”桜“というらしい。
桜はのんが何も言わなくてもわかったらしい。「おっけー」と言いながらキッチンの奥へ戻って行った。
「ご飯できるまでもう少しかかるから席に座って待ってようか」
のんに連れられ窓側の席の一角に座った。私が席に着くと、のんも横の席に腰をかける。
するとどこからともなくコップとマグカップが宙を飛んできて、コップは私の前へ、マグカップはのんの前へと移動し、テーブルに並べられた。
コップが空を飛んでてびっくりしている私を横目に、のんはマグカップに口をつける。
私のところへ来たのは水だが、のんが飲んでいるのは水ではなさそうだ。
「ミルクティーだよ」
じっとマグカップを見ていた私の視線に気づいたのか、のんがこちらを見て笑う。
「飲みたいのあったら今度桜に言いな。次回からは用意してくれると思うよ」
「自分のおすすめはやっぱりミルクティーかな〜」とのんが話していると
「できましたよー」
と声がかかり、後ろから桜が料理を持って歩いてきた。
そう言ってテーブルに置かれた丸くて白いお皿の上には、食べやすいサイズにカットされたバタール2切れと目玉焼き、ベーコン、ブロッコリー、そして3つのイチゴが綺麗に盛られていた。
「朝ごはんの時間終わっちゃってたから適当なのしか作れなかったけど召し上がれ」
桜が作ってくれたご飯を口に運ぶ。
それは私が今まで食べてきたものの中でも最上級においしくて、ちゃんと残さず食べた。
ご飯を食べ終わった時にのんが「これから用事があるから」と食堂を出ていってしまった。のん は出て行く前にとても小型のインカムを渡してきて
「この後、自分は用事があるから未緒と一緒に入れない。だから、一人で部屋に戻ってて。城を探検してもいいけど、迷ったら人に聞くこと」
わかった?と聞かれたのでとりあえず頷いておいた。
部屋に戻ることもできるけどやっぱり探索でしょ!
二宮御 叶:にのお かな
綾世 優海:あやせ うみ
田中 駿:たなか しゅん
銀龍 誠:ぎんりゅう まこと