「なんで俺なんだよ」
首領と、探偵社の社長が同時に海外に行くことになったらしく、直ぐに司令を出せるようにということで、所謂、シェアハウスをしておけと言われた。期間は二週間。誰の家でもいい、との事だったので誰にするか、と話し出した時、太宰さんが言ったそれに素早く反応した中原さんを横目で見る
「そりゃそうでしょう、敦くんは先客が居るし」
「手前でもいいんだぞ?」
「私の部屋入りたい?」
先輩二人の喧嘩に、日常茶飯事であるというのに何も口を挟めなかった。
「……チッ」
「さ、行こっか」
「おい!待て糞太宰!」
早足で歩き出す太宰さん、それを追いかける中原さん。圧倒されながらもぼんやりと二人を見ていた人虎と歩き出すのは、ほぼ同時だった。
「はぁ…、芥川!」
結局、上手く丸め込まれて、家に上げてしまった内、信頼でき、尚且つ一番普通に近い(であろう)芥川の名前を呼ぶ。かなりの声を出したがびくりともせずに振り向く
「はい、」
「三階。奥から人虎、お前、二階。手前から三番が太宰、一個づつ空けてな」
「…鍵、ですか?」
渡された鍵をまじまじと見つめる。本来、一部屋づつに鍵を掛けることは無いのだが、つい最近、鍵をつけたので試してみようと思い一人一部屋にすることにしたのだ。
「太宰と同じ家に居るならそれでも足りねぇよ」
「…渡しておきます」
「ありがとな、」
鍵を三つ、芥川に渡す。人虎のは白、芥川は灰色、太宰のは蒼。自分のは紅の、小さいキーホルダーがついている。
「次は……」
「ちゅーうや」
「っ?!今本気で気配消してただろっ!!」
晩御飯、掃除、当番、決める事が多いので一つ一つ、頭の中でスケジュールを立てる。が、急に横から名前を呼ばれ、思わず体が跳ねる。途端に睨みつけ、大声をあげるが全く気にしていない様子にため息をつく
「そんなこともないけど…、今日の夜何?」
「まだ決めてねぇ、何がいい?」
「初日だし、疲れてるでしょう?即席麺とかでいいんじゃない?…それ位なら私がやっておくよ」
本当は、初日だからこそ色々作りたいのだが、ここは太宰の言葉に甘える事にした。とりあえず、これで一つクリアだ。次は掃除かと思い、太宰に手伝わせようと目線を上げる
「…だな、じゃあお前らの部屋片付けんぞ」
「そこから?」
「だって基本使わねぇし…、今日は一部屋で寝るか」
「………」
「雑巾取ってくる。お前は部屋行っとけ」
「はぁーい、」
腑抜けた声を出す太宰を横目に、バケツと、雑巾が纏めてある場所に向かう。バケツに水をいっぱいいれると流石に少し重かったが、重力操作で軽くして、二階に運ぶ
「中也、此処?」
「手前はな、彼奴らは三階。」
「なら敦くんも呼ぼうか、」
「…あぁ、助かる」
「敦くーん!ちょっとこっちー!!」
空いてる部屋を指さしたので、とりあえずそうだと言っておく、正直、二人で明日迄に終わらせるのはキツいかと思ってたが、よく知らない相手を使うのも申し訳無い気がしていたので、正直助かった。
「はい!……何かしますか?」
「君と芥川くんの部屋の掃除、宜しくね」
「分かりました、雑巾とかって、」
「一階の突き当たりを右…でしょ?」
「は?……あ、まぁ、」
愛想よく笑い、雑巾の在り処を問う。答えようと口を開くと、横から声が掛かる。なんで知ってるのかなんて、ある程度予想がつく。知らない内に入られていたか、さっき見ていたのか、恐らく後者だろう、そうだと信じたい。
「さ、、片付けよっかな」
「先やってろ。俺は芥川と買い出し行く」
「荷物持ちなら私の方が持てる」
「そんなんじゃねぇよ、掃除してろ」
「…まあいいけど。」
「サボんなよ?……芥川!!」
「…どうかしました、か」
「買い物、付き合え。芥川」
「………はい、」
暫くの沈黙の後短く返事をする。そんなに嫌か、とは思うが、話さないだけで何か思う所があるのだろう。
第二話!
芥川くんと中也のお買い物!!晩御飯は何にする?太宰さんの束縛暴走?!一話よりは影が濃くなることを願う敦くん!お楽しみに〜☆
コメント
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予告のセンスとストーリーのセンスがめっちゃある‼️✨ 続きが出たら、また見させていただきます!
続き楽しみです!