テラーノベル
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#世界が私を嘘という
EP.7 死角のハッカー
監視カメラの赤いランプが、まるで生き物の目のように瑞希をじっと見つめている。
このリビングには2台、寝室に1台。
健太が仕掛けたカメラの画角を思い浮かべながら、瑞希はごく自然な動作を装って寝室へと歩を進めた。クローゼットの扉を開け、その影に隠れるようにしてしゃがみ込む。ここなら、リビングのカメラからは完全に死角になるはずだ。
埃を被った段ボールの奥底を手探りで探る。指先に硬いプラスチックの感触が触れた。
――あった。健太が昔使っていた古いタブレット端末だ。
画面に触れると、バッテリーは残りわずか12%だったが、奇跡的に電源が入った。画面の上部で、家のWi-Fiの電波マークがゆっくりと点滅し、やがてアンテナが最大まで立った。
(繋がった……!)
心臓が早鐘を打つ。SNSのアカウントはすべて健太にパスワードを変えられている可能性が高い。ならば、誰に、どうやって助けを求めればいいのか。亜美にはもう信じてもらえない。警察にメールをしても、精神的な錯乱として処理されるリスクがある。
そのとき、画面に表示されたブラウザのブックマークに、見覚えのある名前を見つけた。
『前尾 拓海・共有クラウド』
それは、2年前に亡くなった元恋人、前尾の遺品とも言えるデータフォルダのリンクだった。健太がかつて前尾を監視するためにアクセスしていた履歴が、この端末に残っていたのだ。
瑞希は震える指でそのリンクをタップした。
暗証番号を求める画面が出る。前尾の誕生日、あるいは二人の記念日――思いつく数字を打ち込むと、フォルダが開いた。
そこにあったのは、前尾が亡くなる直前まで集めていた、健太に関する大量の記録だった。
『○月○日、健太から届いた脅迫メールのスクショ』
『興信所に依頼した、健太の過去の経歴調査報告書』
そこには、健太が過去にも別の街で、同じように一人の女性をガスライティングで追い詰め、精神科に強制入院させて戸籍や財産を奪い取っていたという、おぞましい事実が記載された公的な書類のPDFが含まれていた。
健太の狂気は、ただの「歪んだ愛」などではない。
計画的に人間の心を破壊し、すべてを奪い去る、冷酷な犯罪のサイクルだったのだ。
(これなら……この書類と、あの5話の音声データがあれば、警察も動かざるを得ない!)
瑞希はタブレットの画面を操作し、そのすべてのデータを自分のフリーメールアドレス宛に転送しようとした。
プログレスバーが『送信中:40%……60%……』と進んでいく。
そのとき、ピピッ、と静かな電子音が寝室に響いた。
タブレットの画面が突然暗くなり、代わりに赤い文字で一つのメッセージが浮かび上がった。
『不審な端末からのアクセスを検知しました。回線を遮断します』
「あ……」
画面のWi-Fiマークが消え、送信は85%のところでストップした。
同時に、リビングの方から、ガタガタと玄関の鍵が慌ただしく開けられる音が聞こえてきた。
健太のスマホに、ネットワークの異常検知のアラートが飛んだのだ。
足音が、まっすぐに寝室へと向かってくる。
高校祭の打ち上げあるかも!
楽しみ!
けどお腹痛い
コメント
1件
うわっ……もう、心臓バクバクした😭💦 カメラの死角でタブレット見つけて、データ転送してる間の緊張感がヤバすぎた…! しかも85%で止まって、健太が戻ってくるとか、読んでるこっちまで息止まっちゃったよ…。前尾くんが残してた記録、伏線回収っぽくてゾクゾクした。続き気になる…!!
腐ったはんどくりーむ
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耀聖(ようせい)
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