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#世界が私を嘘という
EP.8 檻の中の心理戦
「瑞希、そこにいるの?」
ドアが開く寸前、瑞希はタブレットをベッドの下へと滑り込ませた。何事もなかったかのようにクローゼットから顔を出すと、息を切らせた健太がそこに立っていた。その手にはスマートフォンが握られ、画面には自宅のネットワーク管理画面が表示されている。
「健太くん……どうしたの、こんな時間に」
「ネットワークに、僕の知らない古い端末が接続されたって通知が来たんだ。瑞希、何か隠してない?」
健太の目は、鋭く瑞希の表情を観察している。一瞬の動揺も許されない。瑞希はわざと肩をすくめ、あきれたような笑みを作ってみせた。
「隠すわけないじゃない。急に家のWi-Fiが切れたから、ルーターの様子を見てみようと思っただけ。ほら、私のスマホもないし、何もできないよ」
健太はしばらく瑞希を凝視していたが、やがて小さく息を吐き、いつもの穏やかな表情に戻った。
「そっか。疑ってごめんね。でも、瑞希が僕に隠れて何か悪いことをしようとしてるんじゃないかって、不安になっちゃうんだ」
健太はそう言って瑞希の頭を撫でたが、その目が部屋の隅々を警戒するように泳いでいるのを、瑞希は見逃さなかった。完全に見破られたわけではないが、この部屋にこれ以上タブレットを隠しておくのは危険だ。
その夜、健太がシャワーを浴びている隙に、瑞希はベッドの下からタブレットを回収した。
バッテリーは残りわずか3%。Wi-Fiは健太によってパスワードを変えられたのか、もう繋がらなくなっていた。
(データは85%まで送れていた……。あと少し、あと一瞬だけ外のネットに繋がれば、すべての証拠が私のメールボックスに届くのに)
外のネットワークに繋ぐには、この家を出るしかない。
だが、玄関の鍵は健太が持っている。力ずくで奪うのは不可能だ。
瑞希は、健太がリビングのテーブルの上に置いたままにしているキーケースに目を留めた。
そこには玄関の鍵だけでなく、健太が普段使っている車のスマートキーも付いている。もし、健太が油断する一瞬の隙を作ることができれば、鍵を奪って外へ飛び出し、車のWi-Fiか近隣のフリーWi-Fiに端末を繋ぐことができるかもしれない。
勝負は、健太が最も油断する「明日」だ。
翌朝、瑞希はキッチンに立ち、健太のために朝食を準備した。
これまでの拒絶するような態度を一変させ、健太が席につくと、瑞希は努めて穏やかな声を絞り出した。
「健太くん、今までごめんなさい。私、本当に疲れてたみたい。お医者さんの言う通り、少しお仕事を休んで、ここで健太くんと一緒にのんびり過ごすね」
健太は一瞬、驚いたように目を見開いた。しかし、すぐにその顔に、瑞希を完全に支配できたという満足げな、恍惚とした笑みが広がっていく。
「気づいてくれたんだね、瑞希。本当に嬉しいよ」
瑞希は笑顔を返しつつ、テーブルの上のキーケースへと視線を走らせた。
健太の油断を誘い、すべての証拠を世に放つための、命がけのカウントダウンが始まった。
ハンバーガー食べたい
めっちゃお腹すいた
腐ったはんどくりーむ
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耀聖(ようせい)
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コメント
1件
みぅです🤍🥀 第8話、瑞希が健太に気づかれないようタブレットを隠して、命がけの演技を始めるところ、すごく緊張しました。バッテリー残り3%って…ラスト数分の追い詰められた感じがゾクゾクします。明日を“勝負の日”にするところ、瑞希の覚悟が伝わってきて、本当に心臓がバクバクしました。この心理戦、めっちゃ引き込まれます…!続きが待ちきれないです🌙