洞天へ着くとまず、アヤックスの身体を清め、それから服を用意した。離月の服だからか、自分の身につけている服をジッと見つめていた。
最後に食事を用意してやり、一緒にだべることにした。好みが分からなかったので、出来るだけ多くの料理を用意した。
初めてみる物ばかりなのだろう。目の前に置かれている料理をキラキラした目で真剣に覗いていた。モラクスは、アヤックスが特に見ていた肉料理をとってやり、目の前の皿に置いてやった。目線は自分の皿に移り、口を少し開けた。が、食べようとしない。
(箸の使い方が分からないのか?)
そう思ったモラクスは、アヤックスを持ち上げた。突然の事にアヤックスは飛び跳ねるように驚いた。そして、固まってしまった。ぽすっと、モラクスの膝に乗ったところでハッとしたアヤックスは、状況を理解しようと必死に脳を回していた。
「コレで食べられるか?」
その言葉で我に帰り、目の前にあるものを見る。そこには、箸に挟まれたさきほどの肉料理があった。橋をたどっていくと、そこにはモラクスの顔があった。食べないのか?という様な顔でこちらを見つめていた。
「どうした?ん?食べないのか?ほら」
そう言って目の前いある美味しそうな肉料理が迫ってくる。
「ほれ、アーンだ」
言葉と一緒にモラクスも口を開ける。それに合わせる様にアヤックスも口を大きく開けた。
すると、口の中いっぱいに香ばしい香りが広がった。思わず声が出そうな旨さにアヤックスは、顔の緊張が解けていた。
美味いか。そうか。と言って少し嬉しそうに次の料理を目の前まで持ってきた。それも同じ様に口を開け、食べ、食事を終えた。
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