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「えっと? 武器持ってますけど?」
「……職業持ちだね」
エクス達と依頼をすることになって目撃された場所にやって来た。街道を早歩きで半日やってきたところ。
森の中から煙が上がっていたので行ってみたらオークが火を使っていた。
僕らに気が付いたオークが戦闘態勢になる。各々装備を持って襲い掛かってくる。
別々の武器を持っているのでエミさんに聞いたら職業持ちだということが分かった。フラグはこの世界にもあるみたい。
「はぁ!」
「ちぃ!」
大きな斧で襲い掛かってくるオークが2匹。ジャネットとエクスがそれを受け止めて相手の武器を切り捨てる。
それに反応して後方で弓を構えているオークが4匹、矢を射かけてくる。僕はジャンの後ろに隠れた。
そして、剣を持つオークが10から20襲い掛かってくる。凄い数だ、完全に集落の規模。
「ワンワン!」
「はは、ルドラと俺のコンビもいいな」
ルドラが吠えて敵の群れの中に入っていく。ルーザーさんもついて行くと見えないところで大暴れ。楽しそうでいいけどなんでそんな余裕なんだ。
「おい! ムラタ! ルーザーさんを気にしてないで前を気をつけろ! 仲間に頼るな。この間みたいになるぞ」
「あ、はい」
ルドラとルーザーさんのコンビに見とれているとエクスが𠮟りつけてくる。
確かにこの間みたいにみんながいなくなる可能性もある。しっかりと戦わないとな。
でも、この間は一人でコボルトを倒したんだ。僕だってやれるんだ。
「やぁ!」
「ブヒ!」
ジャンの横からオークへと切りかかる。僕の剣はオークの腕を切り落とす。
「流石ですマスター!」
「よし!」
僕も戦える。まだまだ気圧されることもあるけど、やれるぞ。
「きゃ!?」
「エミ! この野郎! ルーザーさん、弓持ちを」
エミさんの肩に矢が刺さる。
後方から矢を射かけてくるオークをルーザーさんがエクスの声で始末していく。ルドラも一緒でほんとにいいコンビだな。
「傷を治します。【光よ。癒しを】」
「わぁ!?」
エミさんへ駆け寄るルーン。光が彼女の傷口に集まって一瞬で治していく。ルーンは回復魔法が使えるのか。
「ありがと」
「お礼はマスターに。皆さん、ルドラとルーザーさん以外は集まってください」
エミさんのお礼に僕を一瞥してから答えるルーン。彼女の言葉に首を傾げながらも近づく僕ら。少しすると彼女は杖を握りしめて目を瞑る。
「【光よ。我らを守りたまえ】」
彼女を中心に光が広がる。僕らを包むと一人一人に光が集まって球体を形作る。
「これで矢程度の攻撃なら防げます。剣などの攻撃は通すので気を付けてください」
「ええ!? 凄い……」
ルーンの説明を聞いて驚いてしまう僕。
みんなも驚愕している様子。魔法は結構珍しい物みたいだから普通の人はお目にかかれないんだろうな。
「おお!? 本当に矢が落ちてく! 私の矢は止まらないし……凄いな~」
エミさんが矢を射かけながら感心してる。一方的に攻撃できる。凄いな魔法って。
そうか、僕もルーンみたいに魔法を覚えれば……。彼女は杖で魔法を使ってるように見える。
僕も杖を使えば? トネリコの杖も手に入っているし……教えてもらえば出来るかな?
「マスター! 来てます! 集中してください!」
「あ! ごめん! ありがとうジャネット」
ルーンを見つめて考えているとオークの攻撃が激しくなってきた。ジャネットが防いでくれて注意してくれる。
オークの群れは風前の灯火。最後の抵抗は激しくなったけど、すぐに鎮火する。ルドラとルーザーさんが活躍しすぎだな。
「みんなお疲れ様」
「ん、まあ、ここからが一仕事」
エンシャさんの声にエミさんが苦笑いで周りを見回す。
オークの死骸が散乱してる。一か所に集めるのも大変だ。
「魔石を取ってから一か所に集めていくぞ。ルドラはムラタの手伝いだな」
「ワンワン!」
ルーザーさんの声でみんな動き出す。ルドラは彼に撫でられて僕の傍へやってくる。
僕も撫でてあげると嬉しそうに尻尾をフリフリ、可愛すぎて思わず彼の頭の匂いを嗅いでしまう。犬吸いは飼い主の特権。
「ふう、大変だ……」
1、2……8とオークの魔石を取る。魔石を取るとルドラが運んでくれて、オークの集落の中央へと集めていく。
「質のいい武器だな。バンゲルに見せるか」
「ルーザーさん。これって王都の兵士のじゃないですか?」
「紋章付きか。職業持ちのオークに襲われたのか? この数と戦ったらひとたまりもないかもな」
オークの持っていた斧を持ちあげて呟くルーザーさん。
エクスは剣を見ながら声を上げる。剣には虎の紋章が描かれていた。
「まあとりあえず冒険者ギルドに報告だな」
ルーザーさんはそう言って武器を拾い集めていく。
他にも有用なアイテムがあるかもしれない。彼は集落の部族のテントみたいな建物を見ていく。
「マスター。全部終わりました」
「ん、僕も終わったよ。みんなも終わったみたいだね」
ジャネットがジャンと一緒に報告してくれる。
魔石がどっさりと手に入った。コボルトの魔石も凄かったけど、オークも凄い。
「んふふ。凄い凄い。やっぱりムラタさんを誘って正解」
「ほんとほんと。ムラタさん達がいなかったらこんなに早く終わらないよ。偵察してから搦め手で時間かけないと倒せないからね」
エミさんが目を硬貨にして魔石を見つめる。クナさんも嬉しそうに僕らを見つめてくる。
普通は戦略で倒すってことかな? 毒とかそういってものも多用するんだろう。魔法がある僕らには時間がかかるだけといった感じだ。
『赤い夜がやってきました。防衛者を雇ってください。【赤い騎士ジャネット 100ラリ】【青い剣士ジャン 100ラリ】【緑の狼ルドラ 100ラリ】【金色の魔法使いルーン 100ラリ】』
「あ……。ああ~……」
嫌な声が聞こえてくる。するとジャネット達が村スキルのウィンドウへと消えていく。
「……これから埋めるんだけど」
ジャネット達が消えるのを見て驚きながらも呟くエミさん。みんなため息をついて黙々と穴を掘っていく。
なんだかごめんなさい。