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35 ◇ゴールデンウイークは日曜
ゴールデンウイークの日曜のことだった。
この日も息子たちは朝から美代志くんの家へと出かけていったようだ。
俺が寝ぼけ眼でダイニングテーブルに座ると、すぐに由香がピラフと
ポタージュスープを並べてくれる。
この時間だから、ブランチだ。
由香は俺のブランチの準備を終えると、なにやらパタパタと和室に入り
次に洗面所に行き、少しするとまたパタパタと和室に入っていった。
これは、大抵彼女が出掛ける時のパターンだ。
「出掛けるの?」
「ええ……ちょっと」
「もしかして、美代志くんのところ?」
「さぁ、どうかな。
買い物に行くんだけど、気が向いたら美代志くんの
様子を見にいくかも……」
◇ ◇ ◇ ◇
夕方になり、昼過ぎからはじめた水島まほりとのLINEでの会話も終わり、
ほっと、一息ついた。
『そっか、そういうことか』
最近感じていた違和感に俺は気付いた。
あの遠縁の美代志とかっていうヤツがいつ頃、由香の祖父の家に住むように
なったのか訊きそびれているけれど、きっとその頃からなんだな。
俺がLINEしている時も、時々息子たちが話しかけてくるのが常で、妻の由香も
どことなく、俺の様子を伺っていたように思うのに……。
気が付くと、俺に構いたがってもらいたい素振りが息子たちからも妻からも
なくなっていたのだ。
いやまあ、自由にできて自分としては万々歳なんだけど、何故か気付いて
しまった。
そんなことにふと気づくと、俺は美代志という青年がどんなヤツなのか
無性に気にかかるようになった。
どうせ、1人で家にいても暇だし、ちょいと散歩がてら電車に乗ってその子の
住む家とやらに出掛けてみようじゃないか。
みんな驚くかな……。
『迎えにきた』と言ったらどうだ?
それは、かなりおかしいじゃないか。
車で行くなら、いいけどアレだぞ――――
買い物から帰ってこない由香はたぶん美代志くんのところだろ?
車と自転車で出掛けてる息子たちと妻に向かって――――
『迎えにきたよ』なんて台詞は、どう考えてもおかしいだろ。
じゃあ……『なんとなく、美代志くんに会ってみたくてきたよ』
っていうのはどうだろう?
まっいいさ。
出たとこ勝負で、とにかくお互い挨拶は大事だろ?
俺だって親戚のはしくれなんだしさ。
なんだかんだと、蚊帳の外に置かれている正義は、由香と息子たちを迎えに、
美代志の家へ行くことにした。