それからも3人でたわいの無い話をした。
まさか2人ともショーユニットを組んでるなんて初耳だな。
🌟「あ、オレはこっちだ」
🎈「僕達はこっちだね」
🤖「ふっ」
🌟「なんだ、寧々!!!」
🎈「じゃ、天馬くん、またあした」
🌟「っ!!!、またあした!!!!!」
🤖「私もいるけど」
🌟「ん、またな」
🤖「なんか違くない?」
🌟「うるさい!」
全力で手を振ってくれている。何か可愛い。ほんとに、子犬みたい。
🤖「なに、ニヤニヤしてんの」
🎈「いやぁ、寧々にも友達かぁと思って」
🤖「え、急に親目線????」
🎈「ふふふ、冗談だよ」
こうやって帰るのも全てが全て懐かしく感じてしまって。
🤖「でも少し元気そうでよかった」
🎈「え?」
🤖「学校で会った時、体調悪そうだったし」
🎈「まさか、見られて!?」
🤖「見た感じ発散できてないんでしょ」
な、。やはり昔なじみというのか。
🎈「そんなこと…」
🤖「大丈夫、昔からの仲でしょ?」
🎈「……そう…だけど、。」
僕の方が2つも上なのに。ここら辺は彼女に敵わないな。
🤖「薬の飲みすぎもやめてよね、また倒れられたら困るし」
🎈「あの時はすまなかったよ…」
中学2年生に進級する頃。なかなか合うDomも見つからず倒れたことがある。僕はSub性がでるのが誰よりも速くて困っていた。それを薬で対応していたため気分が悪くなって倒れてしまったのだ。
🎈「僕も十分ダイナミクス性の症状がでるのが速かったけど寧々も言えたもんじゃないだろう?」
🤖「うーん、Switchは仕方ないからね。その分、症状軽いし。」
🎈「そうなのかい?羨ましい」
症状には個人差がある。軽いものもいれば重たいものもいる。こればかりは仕方ないのだ。
🤖「だけど大丈夫なの?」
🎈「え?」
🤖「類が分かってるか知らないけど、司Domでしょ?」
🎈「寧々もそう思うかい?」
🤖「思うも何も見ればわかるじゃない…..。はぁ、発散したのはいつ?」
🎈「んー、中3の夏かなぁ、」
🤖「はぁ!?!?」
発散出来た判定は多分中3の夏。引っ越さなきゃいけなくなった時に寧々にPlayしてもらった、あの日くらい。あの日からは…思い出したくもない。
🤖「類、死んじゃうよ!?」
🎈「そうなのかい??」
🤖「えぇ、逆に体に違和感ないの??体が重いとかだるいとか。頭痛がするとか。普通の人なら症状出るレベルよ!?、それを3年間って…。」
そんなに酷いものなんだ。僕には分からないな。
🤖「ねぇ、ほんとに言ってる?」
🎈「嘘なんてつかないさ」
🤖「真面目な話なんだけど」
少し笑って見せれば怒られた。身内に等しい寧々から怒られれば、やばいことを少しだけ自覚する。
🤖「ねぇ、パートナーいないの?」
🎈「いやぁ、特には」
とく…には。
“「神代先輩〜!!」”
🎈「…….体の一部に触れた時に相手のダイナミクスがわかるって本当なのかい?」
🤖「あ、え?、あまり聞いたことないけど」
🎈「そっか、」
静電気か何かだったのかな…。
🤖「まさか、そんなことあったの?」
🎈「いやない…」
🤖「嘘でしょ」
あぁ、もう。完全に寧々のペースにのまれてる。
🤖「隠し事禁止。前言ったでしょ?」
🎈「いやもう、中2の頃だし…」
🤖「類、あのね、」
夕日を背景に寧々がこちらを向く。その姿は何よりも美しく、心を奪われるほどだった。
🤖「私は類のことが心配。幼馴染とかじゃなくて、1人の人として。このままじゃ取り返しのつかない事になるよ。前の高校で何があったかしらないけど。私は力になりたい。パートナーが見つからないんなら、考える覚悟だってあるしCommandだってだせるよ」
🎈「寧々…」
🤖「お願いだから頼ってよ。昔から1人で抱え込んで1人で解決してさ。せっかく居場所が出来たのに失ってからじゃ遅いんだよ」
寧々の言葉がチクリと刺さってくる。何も間違ったことは言ってない。むしろ大正論だ。だけど、だけど、
🎈「僕はもう…迷惑かけないって…」
🤖「もーう!!!何度言えばわかるの!」
🎈「っ、」
🤖「心配なの!私に限らず、司も類のお母さんも!!」
🎈「天馬くんも?」
嘘…だ。彼は何も…。
🤖「はぁぁ、やっぱり司でしょ。さっき言ってたの。」
好きとか恋とかそんなんじゃない。恋愛感情も抱いてなんかい。本能的に彼に引かれている。
🤖「聞いたよ。類が困ってるって」
🎈「いつだい?」
🤖「放課後かな、類がトイレ行ってる時」
🎈「…そう」
🤖「名前は教えてくれなかったけど聞いてたら大体分かった。ちょっと出したGlareにも、よろめいてたんでしょ?」
🎈「え、」
🤖「はぁぁ、うちの座長はよく見てるからね。少しの変化でも気づくのよ。」
まさか気づかれてたなんて。どれほどの観察力があるんだ??
🤖「すごく焦ってたし心配してたわよ。自分になにか出来ないか、なんてずっと言ってたし。誤魔化すのが大変だったんだから。」
🎈「それはすまない。」
🤖「別に謝ることじゃないから。でも良かったんじゃない?」
すっと前を見る。気づいたら下を向いていた。見たくなかった。聞きたくなかった、。だけどその言葉に
🤖「やっと目が合った」
自然と前を向いてしまった。寧々はにっこりと笑っている。
🤖「自分のことを気にしてくれる人が出来てさ。もう1人じゃない。私にもパートナーができたみたいに類にも大切な人ができたんじゃない?」
🎈「たい…せつな、人…」
🤖「類じゃないから分からないけど、きっとうちの座長…いや司なら何とかしてくれるよ。頼ってみたら?」
あまりにも優しい言葉に涙が溢れていく。
🤖「えぇ!?」
あぁ、情けないな。止めたいのに止められない。
🎈「グスッ…寧々のせい…だからぁッッ」
🤖「…はいはい」
ハンカチをそっと手渡される。こんなにも暖かい事なんてあるんだろうか。
🤖「信じることは怖いことかもしれないけど勇気を出さなきゃ一生変わらない。そうやって言ってくれたじゃん。未だに覚えてるんだから。」
🎈「…..ヒック…」
🤖「私を変えてくれたように今度は私が類を支えて変えてあげるから」
どうしてこんなにも心強いんだろうか。
僕の知らない間にこんなにも成長していたのか。
🤖「さ、帰ろ。遅くなる。」
2人並んで歩いた公園も道も全てが小さく見えた。
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