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【能力者名】半田緋色
【能力名】 パンダヒーロー
《タイプ:擬態型》
【能力】 何もないところから金属バットを取り出す能力
【以下、細菌達の記録】
「パンダ殿とは旧知の間柄、《パンダヒーロー》の弱点が塩であることは知っているでござる。」
剣を構え、神経を研ぎ澄ましながら川中島は
言った。
「故に拙者は塩を使わず、己の剣術のみで
パンダ殿に勝ってみせるでござる。」
鋭い目で半田緋色を見ながら川中島は言った。
「優しいね、川中島は。」
半田緋色はそう言って全身に紫色の煙を纏いながら 目尻を下げて笑った。
「後悔しないでね。」
半田緋色はフードを纏い金属バットを構えた。その構えには一部の隙もなかった。
「ほんっと男ってのはどうしていつの時代も
チャンバラごっこが好きなのかしら?」
心底呆れながら悪夢ちゃんが少女のような声で言った。
斯くして半田緋色と川中島練度の一騎討ちが
始まった。
先に動いたのは半田緋色だった。
半田緋色は素早く跳躍した。
「《パンダヒーロー》流儀
酩酊する鳥。」
半田緋色がそう言うと空中に金属バットが 現れた。
半田緋色は金属バットを足場代わりにして軌道を変えながら緩急をつけつつ川中島に襲いかかった。
それはさながら空中で行う酔拳のようであった。
川中島はその攻撃を冷静に剣で捌いた。
川中島の狙いは半田緋色のスタミナ切れであった。
《パンダヒーロー》はとてつもなく強力な能力だが燃費がものすごく悪い。
活動限界を超えてしまうとパンダはガス欠を起こし眠ってしまう。
故に川中島は無駄に攻めずに半田緋色の攻撃を的確に剣術で受け流し続けた。
そして当然百戦錬磨の半田緋色は
川中島の狙いに気付いていた。
故に半田緋色はまだ川中島に見せたことのない技を使った。
「《パンダヒーロー》流儀、
《KICK BACK 》。」
突然半田緋色の持つ金属バットがチェンソー型金属バットに変わった。
半田緋色のチェンソーは攻撃を受けようとした川中島の剣をぶったぎり川中島のハチマキを捉えた 。
川中島はこれをぎりぎりで躱して半田緋色から距離を取った。
半田緋色は再び金属バットを構えた。
「チィッ!!」
舌打ちをしながら川中島は使い物にならなくなった剣を捨てた。
剣は影に吸い込まれていった。
「あんなのズルじゃんね!!!!卑怯じゃんね!!!!」
自分のことを思い切り棚にあげて黒小場じゃんねが叫んだ。
「じゃんね君、いいことを教えてあげます。
能力者同士の戦いに卑怯なんて言葉は存在しません。」
彼らの戦いを見守っていたロカ先生が冷ややかにそう言った。
その時、川中島が居合切りの構えを取った。
川中島の股間が光り出した。
「《ギガンティックO.T.N 》……抜刀!!!!!」
川中島が叫ぶと川中島の男性器が日本刀に
変わった。
それは川中島練度が空を飛ぶクマに襲われ
失ったはずの能力、 《ギガンティックO.T.N 》だった。
「嘘でしょ…..私今からアレと鍔迫り合いしないといけないの?」
めちゃめちゃ嫌そうな声で金属バットが言った。
「能力戻ったんだね川中島、よかったぁ。」
半田緋色は友の能力が戻ったことを素直に喜んだ。
「たった今戻った。いざ、参る!!!!!」
川中島と半田緋色緋色が物凄い速度で
切り結び合った。
どちらも本気である。両者の得物から激しく火花が散った。
半田緋色は時々流儀《KICK BACK 》で川中島の男性器ソードを破壊しようとしたが川中島はそれをうまく躱し半田緋色のハチマキを狙い続けた。
「サイアク…..ほんっとにサイアク…..!!!!」
悪夢ちゃんが時々ものすごく嫌そうな声を出した。
「《ギガンティックO.T.N》!!!」
「《パンダヒーロー》!!!」
二人は同時に叫んだ。
両者のハチマキが同時に切れた。半田緋色の
額がほんのちょっとだけ切れ、川中島のおでこに金属バットがほんのちょっとだけ掠った。
「《パンダヒーロー》、《リビングデットユース応用編》。」
半田緋色は《パンダヒーロー》の能力を応用し、切れたハチマキを悪夢ちゃんの力で無理矢理繋ぎ止めた。
決着である。
「無念…..!!!」
川中島は膝から崩れ落ちながら影に吸い込まれ退場していった。
パンダヒーローの金属バットに触れたものは
皆とてつもない悪夢を見る。
川中島はしばらく影の空間の中で悪夢を見ることになるだろう。
「あっぶなかったー。殺し合いだったら多分殺されてた……。」
心臓をバクバクさせ汗をだらだらながしながら半田緋色はそう言った。
「何ボーッとしてんのよバカパンダァ!!!!
もう時間ないんだからさっさとじゃんねとかいうカスぶっ飛ばして終わらせるわよ!!!そんでさっさとシャワー浴びるわよ!!!!」
ものっすごく怒りながら悪夢ちゃんは言った。
先ほどまで男性器で出来た刀と鍔迫り合いさせられてたのだから無理もない。
「そうだね。ここからはヒーローの時間だ。」
半田緋色が《クローバー同盟》の大将である黒小場じゃんねの方を向いた 。
「ぜ、全員ポップコーンを投げるアル!!!!!」
転々が急いで叫んだが遅かった。
半田緋色はすでに黒小場じゃんねの背後に瞬間移動していた。
「ごめんね。」
そう言いながら半田緋色は金属バットを振り下ろした。
凡人の黒小場じゃんねに半田緋色の攻撃が
避けれるはずはなかった。
その時だった。
転々が半田緋色にタックルをした。
転々は読んでいた。活動限界の近づいた《パンダヒーロー》は《クローバー同盟》のリーダーのじゃんねを倒しに来るだろうと。
転々は予感していた。
もし《パンダヒーロー》を じゃんねが食らえば《クローバー同盟》は負けると。
転々の予感は正しかった。
悪夢ちゃんに触れたが最後、そのものは地獄のような 悪夢を見せられる。
そして悪夢ちゃんは悪夢を見せた人間に取り憑き支配することが出来る 。
つまり悪夢ちゃんがじゃんねに触れた時点で《クローバー同盟》の敗北は確定する。
ポップコーンでは避けられるかもしれないしポップコーンに付着するわずかな塩だけでは悪夢ちゃんを倒せないかもしれない。
故にじゃんねの側に居た転々は反射的に
じゃんねを庇った。
頭の回転の早い転々らしい英断である。
しかし、それは地獄の選択肢だった。
「ぐ…あぁ!!??があああああああ!!!!!!」
転々が苦しみもがき地面にのたうちまわりだした。
「悪夢ちゃん!!???駄目だ!!!戻って!!!!!」
半田緋色が悪夢ちゃんにそう叫んだ。
《パンダヒーロー》には致命的な弱点がある。
暴走した悪夢ちゃんを、完全には制御できないことである。
しかし悪夢ちゃんは先程の川中島との戦いで最大限に気が立っていた上に転々はわざとではないとはいえ半田に抱きつくという悪夢ちゃん にとっての 逆鱗に触れてしまった。
こうなった悪夢ちゃんはもう止められない。
「パンダにッ…….触るなァァァァッ!!!!!!!!!!!!」
悪夢ちゃんは転々に取り憑き、地獄のような悪夢を見せ続けた。
《クローバー同盟》の無能力者達が転々を助けるためにポップコーンを投げた。
しかし転々を完全に乗っ取った悪夢ちゃんはとてつもないスピードでポップコーンを躱し続けた。
ロカ先生は万が一《パンダヒーロー》が暴走した時に備えて用意していた塩を転々に向けて素早く投げつけた。
しかし怒り狂った悪夢ちゃんの取り憑いた転々はものすごい速度でロカ先生の攻撃を避け、更にはロカ先生に向かってものすごいスピードで殴りかかった。
ロカ先生はそれを円を描くように躱した。
「邪魔をぉぉするなぁぁぁぁ!!!!!!」
とてつもない殺意と憎悪を込めて悪夢ちゃんは叫んだ。
「くっ……!!!那野彦先生!!!!」
ロカ先生は空に向かい叫んだ。生徒達の生死に関わる事件が起こった時の万が一の時の最終手段、無量大数那野彦先生の《ガランド》を使用するためだ。
その時、不思議なことが起こった。
世界が、時が、止まった。
これは無量大数那野彦先生の能力
《ガランド》ではない。
これはロカ先生の能力でも、転々の能力でもない。
これは、転々の双子の姉。独絵三十九秒の
《アンハッピーリフレイン》が引き起こした
世界のバグである。
止まった世界の中で独絵三十九秒はずんずんと妹の転々に近づいていった。
大量の塩味のポップコーンを持った独絵三十九秒は 眉間に皺を寄せ、鼻血を垂れ流しながら悪夢ちゃんに取り憑かれた転々にずんずんと近づいていった。
悪夢ちゃんに取り憑かれた転々は助かるのか?そしていよいよ終盤戦へと向かいつつある悪鬼退治の行方は如何に??
BioTOPE (CROW OVER NIGHT)編は、
次回へ続く。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)