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???「今日は久々に一人で帰る〜ふんふふんふん〜」
「雨花」は独りで帰っていた。


雨花「……やっぱり独りが楽だな」


ザワザワガヤガヤ


雨花「ん?何か人だかりができてる……」


雨花は何やら人が集まっているのをみつけた。その中心をみている。


「なぁなんだこれ」「化け物だ……」「早く地区の人呼んでこいよ!」「早く処分しねぇと」


集団の中心にいたのは……


雨花「あなたは……」


「「牛鬼」」


妖怪だったのだ。


雨花「(このままだと牛鬼が捕えられる……何で凶暴化してるんだろう……?)」


牛鬼は普段と違い、獣の如くうなり、威嚇していた。


雨花「…………」


雨花は少し考えると……


雨花「皆さん〜この子はうちで飼ってるペットなんです!」

「これがペット!?」

雨花「そうなんですよ〜この子はまだ躾がなってなくて暴れて出ていってしまったんです。なのでわたしがお預かりしますね」

「その制服……『トウヒガ学園』の生徒だな」

「それならこんな変な生き物を飼っていても不思議じゃないな」

「ちゃんと躾しろよ」

雨花「はぁーい」


そういうと集団はいなくなった。


雨花「……さてと、雫さんに報告して保護してもらわなきゃ」


雨花は雫に連絡し、牛鬼は無事保護された。


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雨花「それで何で妖怪が凶暴化したんです?」

???「何でそんなことに……」

???「雨花はいっつも事件に巻き込まれるのね」

???「妖怪が凶暴化してるってことは自分の意志でやったわけじゃないんだな」

???「雫さん説明して下さい」


「橙」、「桃時」、「兎白」、「瑠璃人」も雫に呼ばれ、理事長室に集まった。


雫「おそらく『トウヒガ学園』を廃校化させる気なんだ」

橙「それはどういう……?」

雫「町内会でもこの学校は、得体の知れない生き物がいるという噂がある。妖怪を凶暴化させ、妖怪の出処である『トウヒガ学園』を廃校化させる……そんな作戦を妖怪の売買主は考えているんだ」

雨花「じゃあわたしたちがその根源を倒すべきなのでは?」

雫「それは君たちに任せることじゃない。我々妖怪側の人間がやるべき事案なんだ」

雨花「……そうですか」

雫「だがもう少し協力して欲しい。町から妖怪の気配がする。『トウヒガ学園』のすぐ近くだ。まだ凶暴化された妖怪が配置されているんだ。その妖怪を保護して欲しい。この札を使って……」


雫は十枚札を出した。


雫「これは妖怪の凶暴化を沈静化させ、睡眠状態にする札だ。そして、『トウヒガ学園』に移動させられる。しかしとても貴重なもので十枚しかない。君たちには二枚ずつ持って保護してきて欲しい」

橙「分かりました」

桃時「はい」

兎白「了解です」

瑠璃人「へーい」

雨花「…………」


雨花たちは妖怪たちをみつけに行った。


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雨花「すぐ近くたって範囲は広いんだよ……」


ガォォォォ!!!!


雨花「あっいた」


目の前には獅子舞がいた。


雨花「…………ごめんね」


雨花は、獅子舞のあごを下から蹴り上げてると、怯んだ獅子舞に札を貼った。


雨花「あと一体しかできないな……」


ピッピッ


『妖怪たち全員保護完了。『トウヒガ学園』に帰還せよ』


雨花「雫さんからのメッセージ……はぁ」


雨花は少し苛立っていた。その理由は……


雨花「戻ろう」





雨花「……はい。全員戻りました」

雫「お疲れ様。雨花、橙、桃時、兎白、瑠璃人」


雨花たちのすぐ横で妖怪たちは眠っている。


雫「君たちには感謝している。本当にありがとう」

雨花「……これでもまだわたしたちに任せないつもりですか?」

雫「え?」

雨花「こんなにあなたのせいでわたしは巻き込まれてきたのに、それでも任せないと?無関係だと?ふざけないでください。わたしは自分の手で事態を収拾してみせます。他人に任せっきりにはできません。それに……」


「「散々こき使われて一番美味しいところを持っていかれるのは癪に障ります」」


橙・桃時・兎白・瑠璃人「…………」

雫「……しかし」

「……んぅ……?」

橙「あっ牛鬼さんの目が覚めましたね」

「うっ……うぅ……また俺は人を傷つけてしまった……あれほど人との共存を目標にしてきたのに……人と関われるようになって嬉しいのに……どうしてこんなことに……」

雨花「牛鬼さん」


「「人を傷つけても良いんですよ」」


「……は?」


雨花は真っ直ぐ牛鬼をみる。


雨花「よく人を傷つけてはいけないと言いますよね。人を傷つけるのが良くないんじゃなくて、それを無駄にするのが良くないんです。そして、無駄にすることもあると想います。そういう時は、少し後悔する。自分の優しさを大切にする。それで充分すぎるくらい充分なんです。優しさは贖いの原動力です。その周りに後悔がこびり付いている。だから後悔をして、優しさを守る。優しさを守る余裕がないなら、一時的に放してしまっても構わない。人を傷つけながら、人を大切にしながらそうやって生きていけば良いと想います。人を傷つけて苦しめて、そうしないと分からない気持ちや気づけない気持ちもあります。そういう分かり方や気づき方かあった方が良いとわたしは想います」

「……っ!そんなの人を傷つけた経験がないから言えることだろ!!!!お前みたいなお綺麗な存在には分かりっこない!!!!」


牛鬼は雨花の胸ぐらを掴む。しかし……


「……!」

雨花「…………」


雨花は笑った。今にも泣き落ちそうなほど脆い笑顔で。


「…………すまなかった」


この子は、「黒い彼岸花」と言われていたな。

この子もそうなんだろうな。


誰よりも色々なものを傷つけ続け、

誰よりもそれを悔いている人。


今の目はとても優しく、

そして、とても……悔やんでいる、後悔している。この世に自分があることすらも。

少女の目ではなかった。


雨花「大丈夫ですよ」


雨花はニコッと笑う。


雫「!、……雨花…………」


雫はしばらく考えると……


雫「分かった。認めるよ」

桃時「え?何をです?」

雫「君たちには……」


「「妖怪の売買主を倒してもらう」」


橙・桃時・兎白・瑠璃人「!」

雨花「何故その気に?」

雫「今の雨花なら、おそらく傷つけた側の者の気持ちを真摯に受け止められると想った……ということかな」

雨花「は、はぁ……?」

雫「ふふっ君には分からないかもしれないね。……明日君たちに、妖怪の売買主の元へ行かせる」

橙「え?!もう分かってるんですか!?」

瑠璃人「何で早く捕まえないんすか?」

雫「極めて慎重に動かなくてはいけない。だから出し惜しみしていたんだ。相手が相手だからね」

兎白「誰が相手なんですか?」

雫「会えば分かるよ」

雨花「じゃあまた明日。約束破ったら理事長室をめちゃくちゃにしますから」

雫「ふふっ分かってるよ。また明日」


雨花たちは妖怪の売買主を倒すことが出来るのか!?


【続く】

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