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~アクアマリノ 中心街~
アクアマリノの武具屋で装備を整えた進たち一行は、引き続き本日泊まる宿を探していた。
「いい買い物でしたね!」
と、マリーが笑いながらオレに言ってきた。
「確かにいい装備だと思うし、お金もちょうどよく支払うことができたと思う」
「マリーはもっと、近接戦闘の訓練をしないといけないからな」
「敵の急所を的確に狙う練習とか対人戦の訓練とか明日からまたやろう」
とオレはマリーに返した。
「ははは…また厳しい指導になりそうですね…」
と、マリーは頬を指で擦りながら言う。
進にはこの街に来てから気になることがあった。
「この街に来てから、街の人たちがよく口にしている神殿騎士って連中が気になるんだが」
フラムさんが神殿騎士について知っているようだった。
「神殿騎士っていうのは、この聖王国の教会に所属していて教皇の命令によって出兵を行う騎士団のことさ」
「で、さらにその神殿騎士団ってのは、かなりのエリート揃いで世界各地から白魔法の適性を持つ者を厳選して指揮官クラスに置いているらしい」
「へぇ~流石は長年冒険者をやっているだけあってこの世界のことに関して詳しいですね」
「神殿騎士はかなり有名だからそれなりの知られているよ」
「聖王国ってことはフラムさんが前に言っていた”聖女様”っていう人もいるんですよね?」
「そうだね。白魔法における治癒を行使できるのは、この世界でも聖女様の一族だけとされているんだ」
「ススム君、君を除いてね…」
フラムさんがこちらに眼差しを向ける。
「自分がこの世界にとってイレギュラーな存在なのは感じています」
「でも未央を見つけるまでは、この力を使って一人でも多くの人を救うつもりです」
オレは力強く拳を握った。
「うん!いい心掛けだと思うよ」
「ススム君ならそれができると信じているよ」
と暫く進たちが街中を歩いていると人混みが出来ていることに気付く。
「なんだ喧嘩か?」
オレたちはそれが気になり人混みの中の間から中心をのぞき込む。
とそこには一人の少年が白い鎧を身に纏った男に殴られていることが分かった。
男の鎧の胸のあたりには十字架のような紋章が刻まれていた。
「アレは神殿騎士だな!」
フラムさんがそう呟く。
「あれが神殿騎士ですか」
「ああ、あの鎧に刻まれている胸の十字の紋章がその証だ」
「あの少年の様子が気になります」
「多分あのままではあの少年はあの騎士に殺されてしまいます」
「ススム君!君が行ってどうする!?」
とフラムさんはオレの腕を掴む。
「行って助けるに決まっているじゃないですか!」
「あの少年を助けるってことは神殿騎士全体を敵に回すかもしれないんだぞ?」
「それでも助けるのかい?」
「ここであの暴力を唯黙って傍観しているってことは、その傍観しているオレたちも同罪です」
「ここの傍観している人たちの中にはこう思っている人もいるでしょうね」
「”早くあの少年を助ける救世主が現れないのか”と…」
「だけど、オレはそんな救世主の登場を唯待つなんて真っ平御免です」
とフラムさんに対してオレは真っすぐに見つめて返答した。
「そうか、君はそういう奴だったよな」
「よし俺も行こう!ここであの少年を見殺したらエリアに怒られそうだしな!」
「待ってススムさん!私も行きます!」
「村を出る前よりずっとずっと強くなったんで絶対お二人のお役に立ちます!」
こうして、オレ達は少年を神殿騎士の手から救うことにした。それが神殿騎士全体を敵に回したとしても…。