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霧切side

日向)なえぎぃ〜!

いきなり日向君が入ってきたかと思ったら、走って苗木君にしがみついた。日向君の方が背が高いから押し倒されるように後ろに倒れた。

苗木)ひ、日向くん…?

日向)ゔぅ…狛枝がぁ〜!

また狛枝先輩…あの人、日向先輩の事が放っておけない癖に、当たりが強いし素直じゃないから誤解されるのよ。

苗木)お、落ち着いて日向くん!あっちで話そう?

日向)ん……

苗木)って事で、その……

日向先輩が返事をしたのを確認してから、苗木君は申し訳なさそうにこちらを振り向いた。そんな顔をするなら、最初から断っておけばいいのに。苗木君は優しいし、日向先輩にも色々お世話になってるから断れないのよね。実際に私たちも先輩方には助けられている訳だし。

霧切)今日はそんなにやる事もないし、日向先輩のことは任せたわ

十神)好きにしろ。日向をこっちに近づけさせるな

苗木)2人とも、ありがとう!

私と十神君がそう言うと、苗木君は安心したように笑い、日向先輩の手を引いて出て行った。

朝日奈)日向先輩、何かあったのかな?

葉隠)汚いくらいに顔がべちゃべちゃだったべ!

十神)汚いのはお前の顔面の方だろ。そのドーナツの欠片を拭け

朝日奈)あー!葉隠、私のドーナツ食べたよね!

葉隠)お、俺じゃないべ!犯人は霧切っちだべ!

霧切)私ドーナツは嫌いなの。動機にはならないわ

朝日奈)霧切さんドーナツ嫌いなの!?

十神)お前らは遊んでないで仕事に戻れ!




【休憩所】

苗木side

僕と日向くんにとって、ちょっとした秘密基地に足を運んだ。ここの休憩所は滅多に人が入らないからこういう時によく2人で来るんだ。

苗木)日向くん、落ち着いた?

日向)あぁ。ありがとう、苗木……

自動販売機に売っていたコンポタージュをちびちび飲みながら、日向くんは呟くようにそう言った。

苗木)どういたしまして。それで、狛枝くんと何があったの?また悪口でも言われた?

できるだけ優しめに問いかけると、少し言いづらそうに口をもごもごさせていた。不謹慎かもしれないけど、可愛いと思ってしまった。

日向)いつもの決まり文句だな。慣れた筈なのに、なんか今日はいつも以上にキツく感じただけだ

苗木)…そっか

前に相談してくれた時よりも話してくれるようになったのを感じ、嬉しかった。心がほかほかする。ボクにできることは…あっ!

苗木)ねぇ、日向くん

日向)ん?

苗木)日向くんは、狛枝くんを目覚めさせたことを後悔してる?

日向)してないぞ

即答だ。日向くんにとって、狛枝くんはコロシアイ生活を乗り越えた大切な仲間の1人なんだと再認識する。まだこれから乗り越えるべき壁は沢山あるみたいたけどね。

苗木)つらい?

日向)まぁ、つらくないって言ったら嘘だな。それでも俺は他の仲間のように、狛枝とも未来を創っていきたいんだ

苗木)そっか。日向くんらしいね

日向)苗木みたいに、誰かに希望なれないけど、狛枝にも、未来に向けて歩いていって欲しいんだ。俺の未来にも、狛枝は必要だしな

苗木)希望って…まだ言われなれてないな

まだ幸運の方が合ってるかも…なんて、少し気分が落ち込んじゃった。

日向)希望じゃなくても、俺は苗木とも未来を創っていきたいぞ

苗木)日向くん…!

そうだよね。ボクは超高校級の幸運や希望の前に、苗木誠だもんね!

日向)うおっ、急に抱きつくなよ〜!

苗木)うぅ… 僕が日向くんを慰めたかったのに〜!でもありがとう!

日向)いつも苗木には助けられてるよ。お兄ちゃんみたいでかっこいいし

日向くんの発言にピシリと身体が硬直した。

苗木)お、お兄ちゃん…!?

日向)えっ、嫌だったか?

心外だと首を横にぶんぶん振る。何故か日向くんに頭を撫でられた。

苗木)嫌じゃないからもう1回言って!

ボクがそう言うと、日向くんは困惑しながらさっきの会話を思い出しながら口を開いた。

日向)『いつも苗木には助けられてるよ』?

苗木)そこじゃない!いやそこも良いけど!その後だよ日向くん!

日向)『お兄ちゃん』?

苗木)それ!!!!!

勢いよく言うと、日向くんは笑い始めた。そんなに面白かったのかな。流石に反応が大袈裟すぎて恥ずかしかったけど…。

日向)そう言えば、苗木には妹がいるんだっけ?

苗木)あれ、なんで知ってるの?

いきなり話が方向転換してボクが軽く混乱していると、日向くんは少し申し訳なさそうにしていた。

日向)朝日奈が苗木の妹について言ってたんだ。『弟とも仲良くしてくれた、可愛い子』だって

苗木)あっ……

日向)朝日奈の弟、死んだんだろ

ひゅっと息をのんだのは、日向くんかもしれないしボクだったのかもしれないけど、それよりもこのどろどろした雰囲気をなんとかしたい思った。

苗木)う、うん……

日向)ごめんな。苦しいことを思い出させて

へにゃっと、申し訳なさそうな表情を浮かべながら日向くんは謝ってきた。そうだ、今こそ日向くんを元気づけなくちゃ。

苗木)大丈夫だよ!世界に希望が芽吹いて来てるんだ!立ち止まってられないよ!

日向)そうだな。俺も絶望の残党としてやってしまったことを取り返さないと

苗木)日向くん!また何かあったら僕に頼ってね!お兄ちゃんするから!

日向)お、お兄ちゃんするってなんだよ…それに、俺の方が年上だし……

苗木)ボクの方が上司だよ!だから、ね!

日向)わ、分かったよ!だから近いって!

苗木)えへへ

少しずつ日向くんに笑顔が戻ってきた。意外ところころと表情が変わるんだなと思い、最初に会ったあのカムクラくんとは違うんだなと思い、この強くて暖かい日向くんを守ろうと誓った。

日向)じゃあ、そうさせてもらうよ。お兄ちゃん?

苗木)っ!うん!


終わり

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