テラーノベル
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お父さんの目は潤んでいた。
きっと、泣くのを我慢してるんだ。
涼香姉さんに自分の思いを伝えたいと頑張っている姿を見ていたら、私まで泣けてくる。
どうか……姉さんに届いてほしい。
「確かにあの頃は私も必死だった。家族が増えた分の生活費を確保しながら、従業員も少し増えて、色々いっぱいいっぱいだった。自分では涼香と琴音には同じだけ愛情を注いでるつもりだったのに、それはただの自己満足だったのかも知れない」
「パパ……」
「結局、私が……お前のことを苦しめていたんだな。気づかなくて……本当にすまなかった。だけどわかってほしい、涼香のこと、私には誰よりも大切なんだ。お前はかけがえのない存在なんだよ」
「う、嘘よ……」
「嘘なんかつくもんか! お前は、涼香は……私の大切な大切な子どもなんだ。いくつになっても大事な娘なんだよ」
お父さんの心からの訴えに、涼香姉さんの気持ちが少し揺らいだように見えた。
「お父さんね、涼香がいない寂しさを紛らわすために、それはそれは仕事に打ち込んでたわ。私と琴音も、ちょっと寂しかったくらいよ。確かに、本当の母親がいない悲しみは口では語れないと思う。私は、あなたをどれだけ思っても……本当の母親には絶対になれない。ごめんね、涼香」
お母さんは、頬を流れる涙を拭った。
「姉さん。私もね……本当のお父さんがいなくなってすごくつらくて悲しかった。だからね、新しいお父さんができて、嬉しくていっぱい甘えてしまったと思う」
「……琴音? あなたも……寂しかったの?」
涼香姉さんは呆然としていた。
相手のことを思いやれないくらい、姉さんは心を閉ざしていたんだ。
「当たり前だよ。私も寂しかったんだよ。だけど、お父さんの体は1つしかないから、年下の私を構うしかなかったんだと思う。私、子ども心に、どんなにお父さんに甘えても、涼香姉さんには敵わないって感じてた」
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