テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
流星:「やっほー真理亜ちゃん、おはよう〜」
朝のダイニングに入ってきた真理亜に、軽やかな声で手を振ったのは大西流星だった。
パジャマのままクッションに埋もれながら、スマホをいじっている姿はいつも通りの’’かわいい担当’’
けれど、真理亜は気づいていた。
__その笑顔の奥に、ほんのわずかな「影」があったことを。
真理亜:「……おはよう、流星くん」
シェアハウスの空気も、みんなの会話も、少し前のあの騒動を乗り越えて、ようやく戻ってきたようだった。
だがその日の夜__
流星は自室で、布団の中からスマホの画面を見つめていた。
「大西流星=あざとかわいいぶりっこw」
「男子なのに媚びすぎ、見てて吐きそう」
「シェアハウスのアイドル気取りかよw」
SNSの匿名アカウントに、毎晩投稿される悪意。
写真を勝手に撮られたもの、嘘のエピソードをでっち上げたもの。
そのどれもが、彼の心を少しずつ削っていた。
流星:(……誰なん、こんなん投稿してるの)
何度も報告しても、投稿は消えず、増え続けていく。
学校では直接言われることはない。むしろみんな笑顔で話しかけてくる。
だからこそ、余計に怖かった。
流星:(誰が本心で、誰が嘘なんかわからん)
画面に表示された自分の顔は、いつものように笑っていた。
でも、それを見ている’’自分’’は、もう笑えていなかった。
次の日の放課後__
真理亜が学校から帰ると、リビングにいた流星が一人、黙ってソファに座っていた。
真理亜:「……あれ、流星くん、今日クラブは?」
流星:「うん……なんか、休みたくて」
真理亜は、流星の隣に静かにこそを下ろす。
真理亜:「流星くん、最近……ちょっと元気ない気がする。気のせい?」
流星:「……え?全然そんなんないで〜」
流星は笑顔で誤魔化そうとしたが、その声はどこか軽すぎた。
そのとき、流星のスマホに通知が入った。
一瞬だけ画面が光る。
『死ねばいいのに^^』
真理亜は、横目でその通知を見てしまった。
真理亜:「……流星くん、それ……」
流星:「っ……見んといて!!」
流星が、思わずスマホを隠した。
その目には、涙がうっすらと滲んでいた。
流星:「なにが’’かわいい’’やねん……もう、笑ってるのもしんどいんや」
その一言に、真理亜の宗がぎゅっと締め付けられた。
真理亜:(これは……ただごとじゃない)
真理亜はそっと、流星の肩に手を置いた。
真理亜:「ねぇ、流星くん。ひとりで、抱え込まんといて」
彼は初めて、真理亜の前で顔を伏せて、涙を流した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!