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荷物の整理を終えて尊さんと寛いでいると、部屋のチャイムが鳴った。
「はーい!」
私は返事をし、パタパタと出入り口に向かう。
というか、待たせてはいけないと思うので、面積のあるスイートルームを真面目に小走りしている。これがほんまもんのパタパタだ。
「いらっしゃいませ、ようこそー」
ドアを開けて言うと、すかさず恵が「居酒屋か」と突っ込んでくれる。今日もキレッキレだ。
「お疲れ。とりあえずどうする? なんか食うか?」
遅れて歩いてきた尊さんに言われ、涼さんと恵は顔を見合わせる。
「私は食べなくても大丈夫だけど、朱里は現地飯いっときたいんだよね。付き合うよ」
「ありがとー!」
「それじゃあ、観光がてらその辺ブラブラするか」
尊さんに言われ、私たちはカードキーを手に部屋を出た。
市街地に向かう前にホテルの敷地内を見てみると、建物の角にカギカッコみたいな形のプールがある。
さすが南国という感じで、背の高いヤシの木が生えていて、こちらでは冬だけれど気分が上がる。
私たちは半袖にパンツスタイル、スニーカーという動きやすい格好で、ゾロゾロと連れだって歩く。
川岸まで行くと、遙か向こうに対岸が見える。
「向こうは森みたいになってるけど、マングローブが生えているんだ。あっちは海との境目で、この辺はトリニティ湾って呼ばれてる」
涼さんは川のほうを指さして説明してくれ、私と恵は写真を撮る。
「このすぐ近くにナイトマーケットがあるから、夜はそこで食べようか。色々あるよ」
「わー! 楽しみ!」
過去に恵と二人で台北に行った事があるけれど、その時の夜市も楽しかった。
「あ、俺ビコ行きたいけどいい? すぐ近くだから」
尊さんが軽く挙手して言い、彼が望みを言うのは珍しいので、私はビコが何なのか分からないながらも頷いた。
「行きましょう!」
そのあと、本当に歩いて五分ぐらいの所にアボット・ストリートがあり、尊さんのお目当てのアクセサリーショップがあった。
すぐ隣にタピオカミルクティーのお店があり、ショッピングのあとに飲み尽くす事を決意した。
「わぁ、面白い。格好いい」
店内に並んでいるのはシルバーアクセサリーで、系統で言えばクロムハーツとか、ああいうゴツイ系に分類される。
でもどちらかというと、ハワイとかにありそうな、一つ一つの形に意味があるアクセサリーで、曲線とトゲトゲを絶妙に表現した〝ペガサス〟や〝ワシの羽〟〝風〟とかが格好いい。
そして男性が好みそうなデザインが多いかと思いきや、意外とお花やハートモチーフもある。
お店には日本人スタッフがいて、ビコのアクセサリーが好きでここで勤めているようだ。
スタッフのお兄さんの話では、単品だけじゃなく、ペンダントトップを重ねてつけるのもアリみたいで、私は好みの形を探して組み合わせてみる。
それぞれの意味を知って選ぶのも素敵だけれど、身につけるなら気に入った形がいいなと思ったからだ。
「へぇ……、いっすね……」
恵は女性的なアクセサリーよりは、こういう感じが好きみたいで、珍しく興味を持ったらしく色々見ている。
ペンダントトップ一つにつき、一万円少しなので、尊さんが買い与えてくれるハイジュエリーみたいに、バカ高い訳じゃない。
かといって安い訳でもないけど、長く使える記念のアクセサリーならほしいと思えた。
結局、尊さんは〝風〟と〝ペガサス〟の合わせ技、私は〝花束〟、恵は〝牡鹿〟、涼さんは〝ドラゴンフレイム〟と〝サンクティ〟を買った。
それぞれ、割と太くてしっかりめのチェーン、またはレザーネックレスも買った。
現地らしい物を買ってホクホクした私たちは、タピオカミルクティーを飲みに行く。
お店はとてもお洒落で、カフェとかドリンクスタンドというより、アーティスティックな雰囲気だ。
カウンターのある側は白い壁で、その向かいはレンガの壁になっている。
木製のテーブルセットがあり、明るい雰囲気の店内の壁には、沢山のアートが飾られてあった。
メニューは英語と中国語で書かれてあって、残念ながら私たちはパッと理解できない。
けれどイラストが描いてあるのと、人間翻訳機が二人いるので、オーダーには困らなかった。