テラーノベル
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涼さんが英語で何が人気なのか尋ねると、アボカドレインフォレストという飲み物や、ブラウンシュガーパールタピオカティーが人気だと分かった。
そのメニューには赤いハートマークがついていて、どうやらそれが目印みたいだ。
「尊さん……」
私は彼の半袖をクイと引っ張る。
「みなまで言うな。好きなだけ飲め」
「アイアイサー!」
心強い返事をもらった私は、アボカドとブラウンシュガーを攻める事にする。
恵はチーズフォームを加えたマンゴーティー、尊さんは普通のタピオカミルクティー、涼さんはアボカドレインフォレストだ。
さすがオーストラリアサイズというか、M、Lサイズの他にB……はビッグなのかな。漢字で『桶』と書かれた、一リットルのサイズもあった。
私はLサイズにしておいたけれど、勿論恵に「一リットルいかんのか?」といじられた。
お店の看板には『Meet Tea』と書かれてあるけれど、何だか見た事のある鹿の角のイラストもあり、もしかしたら東京にもある『ジ・アレイ』なのかもしれない。真相は闇の中だ。
「美味しかった」
お店を出たあと、恵はうんうんと頷く。
「朱里、ステーキもシーフードも、ワニもカンガルーもある店あるけど、行くか?」
「行きます!」
即答すると、ホテルからすぐ近くの川沿いにある、『ダンディーズ・ウォーターフロント』というお店に向かう事になった。
どうやら人気店らしいけれど、尊さんがウェブ予約してくれたお陰で、少し待っただけで入る事ができた。
おまけにラッキーな事に、川沿いのテラス席に案内してもらえた。
店内はウッド調で統一され、黒い椅子と正方形のウッドテーブルが並んでいる。その席数、三百席あるそうでびっくりだ。
テラス席は思っていた以上に広く、頭上に大きくせり出た屋根があるので、雨が降っても安心だ。
「わーお、メニューが英語だ。ヘイ、ミコ。翻訳して!」
尊さんに全振りすると、彼はガクッと項垂れた。
「俺はSiriか……」
それを見て悪ノリした恵が、涼さんに言う。
「リョウクサ、翻訳して」
「分かりました、恵さん。……って、ちょっと待って? もう少しネーミング考えない? リョウクサって、ちょっと俺が臭いみたいだよ?」
「語呂悪いですもんね」
「ミコクサ……」
私が隣を見ると、彼は再び項垂れて言った。
「部屋に戻ったら朱里のSiriに質問してやるからな」
「うわっ、発言がおっさん臭っ、さすがミコクサ!」
尊さんのセクハラを聞き、恵がドン引きしている。
彼はとうとう、「敵わん……」とテーブルに突っ伏してしまった。
「尊~。おニャンコ様たちに逆らっちゃ駄目よ~。俺たちおっさんが、若い女の子に敵う訳がないんだから」
「だな……」
すっかり言い負かしてしまった感じになったので、私は慌ててフォローする。
「うそうそ、嘘ですって。やり過ぎました。ごめんなさい。ホテルに戻ったら、私のお尻貸してあげます。太鼓の達人していいですよ」
「ぶふぉっ!」
それを聞き、三人が噴き出す。
その時、「すみません!」と日本人スタッフが来て、メニューを差し替えた。
「こちら日本語メニューになっております。どうぞご覧ください」
スタッフが去って行ったあと、私たちは顔を見合わせ、ブハッと噴き出した。
「わー、ホントにカンガルーとワニあるんですね」
「私、肉もいいけど海鮮もいきたいです」
「おっ、いいね~、恵ちゃん。じゃあ、シーフード盛り合わせはマストだね。あとサラダも頼もうね。朱里ちゃん、海鮮たっぷりのシーフードチャウダーもあるけど、どう? ムール貝入ってるよ。パスタもどう?」
「いただきます!」
「涼さん、朱里は勧められた分だけ食べちゃいますよ」
「だって後悔したくないもんねー?」
「イェーイ!」
周囲からは現地の人たちの陽気なお喋りや、ハッピーバースデーの歌も聞こえてきて、一杯引っかける前からご機嫌になってしまった。
「オーストラリアンビール、飲む?」
「飲みまーす!」
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