テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
翌日
ご飯でも作ろうかと早く起きたが、そんな必要はなさそうだった
叶さんが用意したのか、俺の分の朝ごはんが食卓に並んでいる
「叶さん達の分は‥‥」
「僕はもう少しで出るし、葛葉は自分の部屋に運んでもらってるから大丈夫。こやも自分の部屋が良かったら部屋に運んでもらうけど?」
「いえ‥‥自分で買って来ますから」
「だったら冷蔵庫に入ってるの勝手に食べな?食べなかったらどうせ捨てるだけだし」
「‥‥はい、ありがとうございます」
お金持ちってこんな風に生活してんのかな
凄すぎてついていけない
「出かけるなら僕に電話してから行ってね。あとは自由に過ごしてて。僕仕事行ってくるから」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「言うことは聞いて欲しいけど、かしこまらないでよ、ね?」
「‥‥それは慣れて来てから考えます」
「ハハっ、考えなくてもそうしてよ、じゃあね」
叶さんが家を出ると一気に静まり返る
葛葉さんはいるんだろうか?
俺は自分の部屋に戻りテレビを付ける
今頃だったら勉強してる時間だな
もう行くことはないけれど‥‥
でもこの時間に何もしていない事に申し訳なくなってくる
さっき食べ終えた食器も洗ったし‥‥
他に片付ける物も無さそうだし
まだ1日目だからなのか
1日目にしてもう‥‥なのか
俺はここでの過ごし方がわからない
部屋に閉じこもって数時間過ごしていると、叶さんからもらったスマホがなった
「こや、何してる?」
「いえ、何も‥‥」
「そう。だったら葛葉の部屋に行って」
「葛葉さんの部屋 ‥‥ですか?」
「うん、ただ行けば良いよ」
「行くだけ?‥‥何かするんだったら‥‥」
「言われた事だけしてれば良いよ。今は行くだけ。あとは葛葉の言う事に従えばいい。わかった?」
「‥‥はい」
言う事に従うだけ
逆らうなって釘刺されたよな、今
割り切って考えよう
これは俺の仕事なんだ
どんな雑用だって暇な今なら出来そうだし
俺は自分の部屋を出て葛葉さんの部屋の扉をノックする
あれ?
返事がない
もう一度ノックしてみる
「‥‥はい」
気怠げに返される返事
葛葉さんってちょっと苦手かも‥‥
まだ何も知らないんだけども
「失礼します」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
何、この時間
俺はどうすれば良いんだ?
スマホをテーブルに置き、葛葉さんが俺を見る
俺は慌てて視線をずらした
「何してんの‥‥こっち来れば」
「え‥‥‥‥」
こっちとは‥‥?
葛葉さんの側まで行けば良いのか?
先に何するのか言って欲しいけど‥‥
俺は言われた通り葛葉さんの近くまで行き、次の指示を待った
「なんだよ‥‥面倒くせぇな」
「は?」
「どうせ遊ばれに来たんなら、手間かけさせんなよ。いつも叶が拾ってくる奴なんて俺達と関係持ちたいか、金が必要な奴らなんだから」
そう言うと俺の腕を掴み歩き出す
「えっ?‥‥あのっ‥‥!」
「何ここまで来て純情な振りしてんの。いらないって、そう言うの」
「く、葛葉さんっ?」
俺って叶さんとするんじゃなかったの?
なんで葛葉さんが‥‥
葛葉さんってパートナーいるって言ってなかったか?
「ふわっちの店の前で彷徨いてたんなら、叶に声掛けて欲しかったんだろ?澄ました顔してやってんだな」
「そんな‥‥」
「‥‥早く脱げよ」
「‥‥‥‥」
逆らう事が出来ない
俺は震える手で自分の服に手をかけた
.
コメント
2件
こ、こや~ 勘違いされてる... ど、どうなるんだ(꒪𖦹ࡇ𖦹꒪)