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雪の部屋は俺の部屋とは違い、毎日使われているだろうと思われるキッチンとシングルのベッドにローテーブルの上には閉じられたノートパソコンが置かれている。テレビボードには本が綺麗に並んでいてビジネス書はそのままだが、隅の方にはカバーがかけられたままの本が並んでいた。
カバー付きの本の中身が気になるがそれを見るのは悪い気がする。
ふと見るとローテーブルの上にカバーが外れかかった本が置いてあった。
外れかかっているカバーををめくってみると『俺様CEOの溺愛がとまらない』というタイトルが目に入った。
俺様・・・
パラパラとめくっていくと俺様な男が主人公である女性社員に深夜のオフィスで愛撫をするというもの。
コレって、パワハラとかセクハラにあたらないのか?
好き合っているならOKということか?
こういうのを求めているのか?
初めて見た本に思わず関心してしまい声が出てしまった。
「へ~これが雪の好きな小説かぁ」
「何見てんの!」
両手にコーヒーカップを持って慌ててキッチンから出てきた。
「夜のオフィスね、了解」
「か、勝手に見ないでよ」
「だって、恋人が何を望んでいるのか予習しておきたいしね」
慌てる雪が可愛いと思うし、なによりビジネス書やノンフィクションとかを読んでそうな雪が甘々で少しエッチな本を読んでいるというところに無性にそそられた。
「思ったより、元カレの存在感のない部屋だね」
「まぁ、そんなにはここに来てなかったから」
あまり来ていないという言葉に少しだけ気持ちがスッキリする。思いのほか俺はヤキモチ焼きなのかもしれない。
雪は来ないと言っていたが案の定というかインターフォンが彼が来たことを伝えた。