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前回までのあらすじ。
手術。痛いよ。割れる。頭が。割れる。助けて。助けて、助けて。雲になりたい。雲になりたい。虹が真っ暗。助けて助けて。
「助けて」
目が覚めた私の口から無意識にそう呟いた。
目の前には現実味を帯びた手術室が見えた。
私は手足をピンクのリボンで縛られている。
「おねーちゃん、いまからユメとおままごとするの!」
私は何も言わなかった。
ウサギ頭の看護師たちが私の上半身を起こし手に革の鞄のようなものを持たせた。
「ユメはまぁまやるから、おねーちゃんはぱぁぱやってね?」
縛られていたリボンが解かれた。
それを好機に私は逃げようとした。
しかし激痛が走り、そこまで身体は動かなかったから諦める。
「なにしてんの」
ユメちゃんの冷たい目。これ以上言うことを聞かなかったらどうなるかわからない、といった目で私を睨む。
つくづく、ここは思い通りにいかないと感じる。
私が座り直すとユメちゃんは声色を変えてこう言った。
「ぱぁぱ、あさごはんができたわよ」
もう始まっているようだ。
「ああ、そう…かい」
私もとりあえず話を合わせる。
すると、
ユメちゃんが近づきピンク色の鈍く光るメスで私の頬にピッと赤い線を描いた。
そこがズキズキと痛む。
「ぱぁぱはそんなんじゃない!やりなおし!できなかったらいっぱいしゅぢゅちゅするわ!」
ユメちゃんのその目は狂気というか何か強い意志を感じた。
2回目。
「ぱぁぱ、あさごはんができたわよ」
「ああ、そうかい」
先程よりもはっきりと私は言った。
しかし
「ちがうの!」
ユメちゃんはまたメスを振った。
頰の傷が二つ重なりバッテンを作っていた。
ユメちゃんは泣き出した。
「もう、あといっかいよ!これでだめだったらおっきいしゅぢゅちゅだからね!」
そう言った。
私はユメちゃんに恐怖を感じるしかなかった。そして、同時に何がダメなのか冷静に考えた。
私はこういう時ほど冷静に考えてしまうクセがあったな…。
あれ?
どうしてだろう?
先程までなかった記憶が蘇る。
私の名前は「相葉 叶音」
普通の家に生まれた高校生だ。
「カノちゃん、ご飯よ」
本当に普通。優しい母に仕事を頑張る父。幸せだった。
私には5歳で亡くなった妹がいた。
名前は
「夢芽」
夢芽は病気で入院していた。脳に腫瘍ができてしまったから。
私は夢芽が大好きで毎日お見舞いに行っていた。
「あたまが…われる」
私が夢芽の言葉として覚えているのはこれだけだ。
それ以外は喋らず動かず、たまにお絵描きをしてるくらいだった。
その絵は◯と×が折り重なった模様。
それを笑って見せてくれたのを覚えている。
覚えている、というか忘れていた自分が恥ずかしい。
…ユメちゃん…君は。
「夢芽だったんだ」
私は夢芽をじっと見つめる。
おままごとの最適解はわかった。
「私、お姉ちゃんなら得意だよ」
コメント
1件
うわあ…第5話、めっちゃ重くて心臓ぎゅーってなったよ…😭💦 手術室の描写とユメちゃんの冷たい目が怖すぎるのに、最後の「お姉ちゃんなら得意だよ」で一気に切なくなった…。妹の夢芽さんだったんだね…。思い出せたカノンちゃんが、おままごとを通して応えようとしてるのが胸に刺さる…次が気になりすぎるよ〜!🌸