※背景を黒色・白文字にするとより夜の雰囲気がでます。
夜が来る。
暗闇が街を覆い尽くす。
煌びやかなネオンの灯りが目を蝕む。
良い子は眠り、悪い子が動き回り始める。
おいで、おいで。
夜の街へ。
全て、忘れるほど、狂え。
いつか、暗闇に安堵を覚えるほど。
寝静まった時間帯に。
自分の心音と足音と呼吸音だけが響く世界で。
車も通らない細い道で。
薄明るい街灯のスポットライトの真下で。
まるで好きな歌を呟くように。
まるで映画の主役になったように。
まるで心のまま踊るように。
まるで塗り潰した本心を吐き出すように。
月明かりも見えないような、明るすぎる夜の街で。
あるいは、星明かりしか見えないような、くらい漆黒の村で。
あるいは、その中間で、どちらも見える場所で。
そして、誰も知らない場所で。
影が主役になった闇世の中で、そこにいる本当の自分を、隠すしかなかった感情を、奪い返せ!
太陽のありがたさを忘れ、夜風の涼しさに身をまかせ、化けの皮を自分で剥ぎ取ってしまえ!
丑三つ時の短い間に、この世の汚さを、バレないように捨て去ってしまえ!
そして、誰かに、気付かれる前に。
もう一度。
良い子に化ける。
家に戻り、夜風を遮り、空気の停滞を感じながら、布団に潜り、暖かさを知り、瞼を落として、太陽の光を待つ。
僕は、夜に、二度化ける。
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