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1 - 夜に化ける

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2022年10月05日

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※背景を黒色・白文字にするとより夜の雰囲気がでます。


夜に化ける



夜が来る。

暗闇が街を覆い尽くす。

煌びやかなネオンの灯りが目を蝕む。

良い子は眠り、悪い子が動き回り始める。



おいで、おいで。

夜の街へ。

全て、忘れるほど、狂え。

いつか、暗闇に安堵を覚えるほど。



寝静まった時間帯に。

自分の心音と足音と呼吸音だけが響く世界で。

車も通らない細い道で。

薄明るい街灯のスポットライトの真下で。



まるで好きな歌を呟くように。

まるで映画の主役になったように。

まるで心のまま踊るように。

まるで塗り潰した本心を吐き出すように。



月明かりも見えないような、明るすぎる夜の街で。

あるいは、星明かりしか見えないような、くらい漆黒の村で。

あるいは、その中間で、どちらも見える場所で。

そして、誰も知らない場所で。



影が主役になった闇世の中で、そこにいる本当の自分を、隠すしかなかった感情を、奪い返せ!


太陽のありがたさを忘れ、夜風の涼しさに身をまかせ、化けの皮を自分で剥ぎ取ってしまえ!


丑三つ時の短い間に、この世の汚さを、バレないように捨て去ってしまえ!



そして、誰かに、気付かれる前に。

もう一度。

良い子に化ける。



家に戻り、夜風を遮り、空気の停滞を感じながら、布団に潜り、暖かさを知り、瞼を落として、太陽の光を待つ。



























僕は、夜に、二度化ける。

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