テラーノベル
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エリオットの手。
さっきまでネクタイを掴んでたはずなのに。
今は——
俺の手を握っている。
指を絡めるみたいに。
ぎゅっと。
それだけで少し落ち着いたみたいに息を吐いた。
「……あ」
小さな声。
さっきまで散々煽ってきたやつとは思えない。
顔を見る。
エリオットはソファに沈んでる。
金髪がクッションに広がって。
目が少しぼんやりしてる。
頬がほんの少し赤い。
そして。
俺の手を握ったまま。
「……これ」
小さく言う。
「落ちない」
……何言ってんだこいつ。
そう思うのに。
胸の奥が変な感じになる。
さっきまで。
俺を煽って。
余裕そうに笑ってたくせに。
今は。
完全に力が抜けてる。
そのまま見上げてくる。
その顔。
——やめろ。
心臓が変な跳ね方する。
俺は思わず言う。
「……エリオット」
「なに」
声が少し掠れてる。
俺は眉を寄せる。
そして低く言う。
「そんな顔するな」
エリオットが少し瞬きをする。
「……どんな」
俺は少し目を逸らす。
言葉を探す。
でも結局。
正直に出る。
「その顔」
もう一回見る。
さっきより少し落ち着いてる。
でも。
まだぼんやりしてる。
俺の手は。
まだ握られてる。
「……危ない」
エリオットが少し笑う。
弱い笑い。
「チャンスのせい」
俺は小さく息を吐く。
「お前が煽るからだ」
エリオットは少しだけ指を握り直す。
ぎゅ。
それだけで。
胸がまた変に跳ねる。
こいつ。
本当に分かってないのか。
それとも。
分かってやってるのか。
俺は少し顔を近づける。
距離がまた縮む。
そして低く言う。
「……その顔で」
少し間を置く。
「また煽るなよ」
エリオットは数秒黙る。
それから。
少しだけ口元を上げる。
あ。
これ。
絶対また何か言う。
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