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「待ってくれ、ソフィア!」
カイルが慌てて後を追おうとした、その時だった。
「殿下! お待ちください殿下!!」
興奮した大臣たちが、壁のように行く手を封鎖した。
「あの『左右で挟み撃ちにする』という革命的発想……! 震えましたぞ!」
「これぞ我が国の光! 殿下、あのような深い見識のあるお方を妃に迎えられたこと、国民を代表して感謝いたしますぞ!」
「っ、どけ! 今、それどころでは――」
「これからの予算編成について、ぜひ殿下からも妃殿下へ進言を……!」
「左(り)と、右(し)……! 覚え方まで、教えていただけるなんて。なんと慈悲深いお方だ……!」
カイルは波に揉まれ、遠ざかっていくソフィアの背中を、悲痛な表情で見送った。扉がパタンと閉まる非情な音が、彼の心に虚しく響いた。
(……ソフィア。……そんなに、俺と話すのが嫌なのか? ……いや、彼女は極度の照れ屋なのだな。……そうだ、きっとそうだ。(涙))