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#怪異
イキリ火の玉
946
二台の車が止まっているトンネル出口すぐの広場に戻ってくるとミニバンの前で携帯電話をいじっていたパンチパーマの沢村が梶に気づいて駆け寄ってきた。
「梶さん、おかえりなさい」
「どうだった?」
「大滝は確かにここに来ているはずなんですが……トンネルを抜けたら普通に道が続いていたそうです」
「そうか……仲間に連絡してここに来るように言った。結果はいま聞いたとおりだ」
梶は目だけを努に向けて簡単に説明した。
「道を間違えたとか……」
たぶん梶はその辺のことも確認しているとは思ったけど念のため訊いた。
「カーナビもスマホの地図も同じ場所を指している。どちらもまだ道の途中だ」
自分でも確認しようとポケットに手を突っ込んだ努だがスマホは昨日奪われたことを思い出した。
ブーッ!! 突然クラクションの音が鳴り響いた。クラクションは連続で鳴らされて梶は小走りで外車に向かっていく。
「梶、てめえ! いい加減にしろ!」
梶が近づくと外車の後部ドアが開いて親分が出てきて怒鳴り声を上げた。
「どうなってんだ? いいから説明しろよ」
親分はしばらく怒鳴って落ち着くとようやく声を落として訊いてきた。
「……信じられないかもしれませんがこの村に閉じ込められました」
「ああ?」
親分は周り睨みつける。努は思わず目を反らした。
「誰かに妨害されているわけではありません。不思議な力で出られなくなっているのです」
「なーにわけのわからないことを言ってんだ?」
「……長岡、ついてこい。おやじさん、実際に見てもらうほうがわかりやすいと思いますので。木村、お前はここに残って見張っていろ」
梶は外車の運転席に乗り努を助手席に座らせた。親分と愛人のミサは後部座席だ。親分は不機嫌そうだがミサのほうはどこかワクワクしている。
「これからトンネルに入ります。まっすぐ進んでも村に戻ってきます」
これは昨夜もやったことだが親分は理解できなかったのだろう。後部座席の二人は半信半疑のまま窓の外を見ている。
「入ります」
朝になったからもしかしたら脱出できるかも、そんな望みが少しあった。しかし昨夜と同じく真っ直ぐ進んでトンネルを抜けると車を停めた。
「なんだこりゃ? おい、もう一度トンネルに入れ」
「はい」
親分は窓を開けてずっと見ていた。しかし、また元の場所に戻ってくる。念のためトンネルの中でUターンしたけど結局また村に戻ってくるだけだった。
親分の怒りはすっかり消え失せ、その顔に恐怖が浮かんでいた。
「梶、こ、こりゃあ、どうなってんだ?」
「なにか不思議な力でこの村から出られなくなっているようです」
「ど、どうすりゃ出られるんだ?」
「わかりません。これから調べます」
実際に見せたのが効果的だったのか親分はすっかり大人しくなっていた。ミサは多少顔色が悪くなっていたが、まだ好奇心は残っている様子で何かと梶に質問をしていた。
ミニバンの横に車を停めると親分は疲弊した様子でミサと車内に残る。努と梶は車を降りて沢村達の所へ行った。
「これから村をまわる。お前らはここで待て。木村、オヤジさんがなにか言ってきたら一時間ほどで戻ると答えろ。長岡はついてこい」
梶は手早く指示をすると再び努を連れて村に戻っていった。
「なにか忘れ物ですか?」
「いや、あそこ、寺かなにがあるだろ?」
梶が指差すほうを見上げると小高い場所に古いお堂が建っているのが見えた。
「はい。あ、もしかしてあそこから村を見渡すんですか?」
「ふっ、そうだ」
梶はニヤリと笑う。どうやら正解だったようだ。
コメント
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わあ…第9話、一気に不穏な空気が濃くなったね…!😳💦 親分が実際にトンネル体験して「怒り→恐怖」に変わっていく描写、めっちゃリアルでゾッとしたよ…🥶 しかも梶さんのあのニヤリ笑い、なにか企んでる感じがして続きが気になりすぎる!!お堂から何が見えるんだろ…!?🏯💭 このループからの脱出方法、一緒に考えたい…!!次話も楽しみにしてるよ〜🔥🌸