喧嘩しても大好き②
彼と離れて俺は近くのベンチに腰掛ける。
特にすることもないので溜まった仕事の連絡を返事していたりすると後ろから声をかけられる。
その声の主は俺の待っているもののではなく、全くもって知らない人のものだったため無視をする。
…それでもしつこく声をかけてくる。これは紛れもなくナンパとかいうやつだよな。
この世に第二の性が誕生したのはつい最近のことだ。
ウイルスみたいに身体の中に取り込まれ人類皆第二の性を持つようになった。
最近はもうそのことに慣れてしまい、皆当たり前のように生活を送っている。
…が、前までは俺が男にナンパされることなんてなかった。
これも全部、第二の性。そして俺がSubの体になってしまったせいだ。
「………」
「ねー、お兄さんSubでしょ? Glare、当たってるのわかんない?」
Glare《グレア》
DomがSubに対して使える威圧感の感とかじゃないくらい恐ろしくなったものみたいな。
これは立場が強いDomが使えば使うほどSubは当然くたばるわけだ、…まぁ生憎にも相手のDomは対して強くないみたい。
…比べるのは良くないとわかっていてもまろの方が立場的には強いDomだったみたいだね。
それでも俺は正真正銘SubであってSwitchでもなんでもないから結構身体的に来るものはある。
でも俺ってえらこだから、主人以外の言うことなんて聞きたくないし本当は主人以外の目なんて見たくもない。
「…はぁ、Look《こっち見て》。」
「っ…、」
Commandを使われたら抗えるわけ無いじゃないか。俺はSubだし…
嫌々彼の目を見つめると俺の表情に興奮したのか加虐心が煽られたのかよくわからないが瞳孔にハートを浮かべてこちらを見つめてくる。
にやにやと笑ってるその顔はとても気持ち悪くて吐き気がしてくる。
「Com《おいで》」
身体が言うことを聞かない。嫌だ、彼に抱きつきなんてしたくない。
ていうか街中!!めちゃくちゃ大勢の目を浴びているっていうのに知らないSubによくCommand出せるな??
本当、常識ねぇこいつ…
「ん、人目のないところに移動しよっか?♡」
「っ…」
血の気が引いていくのがよくわかった。
このまま彼について行ったら間違いなく襲われる。きっと挿入もされるだろうしなんならヤ✗捨てされるかもしれない。
そんなのトラウマに鳴るに決まってる。…でもまろとするのは好きだから身体が拒否反応示すようになってしまうのは嫌だ。
「…ま、ろ…っ」
そう呟いた時俺の肩がぐいーんと引っ張られる。
すぐに落ち着く俺の大好きな匂いに包みこまれる。
嗚呼、これはまろだ、助けに来てくれたんだ…
「お前、こいつの何者やねん。」
「えー?恋人だけど〜?」
「は?ないこが??」
「そー、俺ないこの恋人…!♡」
気持ち悪い、そんな嘘つかないで。嘘だったとしてもこいつの恋人だとか言う肩書き着せられるのは勘弁だ。
それにまろとこいつのGlareで大分身体がしんどい。
…だめ、だめだよ俺。ここで意識手放したらまろに怒られちゃう。
迷惑だからって言って捨てられちゃう。
……捨てられちゃう、そっ、か…捨てられちゃう…?
「っ…ぅ、」
「しょーもねぇ嘘ついてんじゃねぇよ、とっとと失せろ(睨」
「っあ”? …んだよこいつッ…!」
まろが一層強いGlareを放つとあいつはすぐに逃げていった。
でもそのGlareに耐えきれず俺は意識を手放してしまう。
…意識を手放す最後に見た彼の表情はとても苛ついていて怖かった。
「…ん?」
「ないこ、おはよ」
たったその1言なのに俺は彼の気持ちを読みとってしまった。
やばい、怒ってる。怖い。
「ないこ、あいつはお前の恋人?」
「っ、ちが…!!」
「だったらなんで抱きついてたん」
「…ちが…っ、」
「なにが違うねん、なんで抱きついてたん。見つめ合ってたのも見えてたで」
「つか他のDomのCommand聞いちゃったら言うべきことがあるんやない?」
怖い、怒ってる。Glareがとんでもなく強く放たれてる。
口が動かなくなっちゃた。ぱくぱく音を発せなくてただただ口を動かしてるだけの変なやつになってる。
なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで…!!
なんでおれがせめられてんの、……そっかまろにあいされてないからだ。
そんな考えにたどり着いた途端、今度は視界が真っ暗になった。
くらい、こわいなにもきこえない。
またここだ、Spaceはいったときとはちがう、しあわせじゃないこんなとこきらい
…でもまろにあいされないのもきらい
たすけてよ、たすけてまろ…ごめんなさい、おれがわるかった。おれがわるかったからたすけてよ…
ーー……ーー
あかん、Subdropしてもうた。
俺のせいや、Glareに当たりまくったないこをCareすることなくずっと責め続けた俺のせいだ。
「…っ、ごめん。ごめんなぁ…ないこ…目を覚まして…っ」
「………」
無視をされる。いや、なにも聞こえないのが正しいのだろうけどなにも反応無くただどこを見つめているのかわからないその彼の瞳を見つめるたびに涙が溢れ出てきそうになる。
「戻ってきてからもCareをしような、早く戻ってこい」
「暗くて怖いってよく聞く、そうなんかどうかはわからん。けどそんなとこよりも俺と一緒に居たほうが絶対に幸せやで。」
「保証する。」
「…今回は俺が悪かったよ。そうよな、絶対にあいつがCommandを出して無理やり抱き寄せられてしもうたんよな…」
「ないこがあんなやつを恋人にするわけ無いし、俺のことが大好きなないこが浮気なんてするわけ無いよな。俺のことが1番で俺のことしか考えてないないこならそんなことするわけないってちょっと考えなくてもわかるはずやのにわかってやれなくてほんまにごめん。」
「ないこはなんにも悪くない、俺が一方的になにもわかってやれないまま責めたのが悪かった。」
「戻ってきてくれたらもうそんな事も忘れてしまうぐらいCareしよう。そして買ったCollarをつけてPlayとかしようや」
なにを言っても反応しない。
それだけで心細くなる、諦めようという考えにはならないが今すぐ泣きじゃくりたくなる。
「っ…、こっちに戻ってきて…謝らしてや…っ、」
「ないこ…ばかなりあほなり罵詈雑言に言って結局許してくれるんやろ…なぁ、ないこ…っ」
「大好き、愛しとんで…っ…」
彼の肩に頭を埋めてそう放つと体がぴくりと跳ねるのがわかる。
「…おかえり、ないこ…っ!」
「…ただぃま…まぁろ…」
へにゃりと笑う彼の唇に押さえきれず俺は噛みついた。
end
コメント
4件
ドムサブかなり色んなのみた気がするけどGlareとCollarって初めて聞いたよ…私の知識はまだまだってわけか…🤔🤔 すっごいにこにこしながら見てたよ…どうやったらこんなにてぇてぇストーリーが出来ちゃうんだろ、ブクマしてるから何回でも読み返すね🥹🫶🏻️💓
💪( ᐛ )ハァァァァァァァァァ!やばい尊い○ぬ○ぬア゙ア゙ア゙ア゙ア゙(←こいつは水泳おわりで死んでいます)モブはちょっとこっちで私とお話しよっかぁ( ^∀^)ニコォ...今回も最高すぎました!😭😭やっぱdomsubは至極ですねぇ…😭