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《神話を超える双星の勇者》
第8話:「リナの覚醒」
滅びの兆しが空を覆い始めた日から、リナは胸の奥に潜む「黒い力」と戦い続けていた。
あの戦いで自分が無意識に放った黒き力――それは、自分の中に確かに存在していた。
だが、それでもリナは「努力して自分を変える」と誓っていた。
兄カイや仲間たちの信頼が、彼女を支えていたのだ。
■ さらなる試練の地へ
次に訪れたのは、古代神殿**「ティルナの塔」**。
そこには、「滅びの力」を制御する鍵が眠っていると伝えられていた。
「リナ、大丈夫か?」
カイは何度も問いかける。
リナは小さく頷く。
「うん。絶対にこの力を制御してみせる。」
レオンは冷静に警告する。
「ただし、油断はするな。お前の力は…もう自分の意志だけじゃ抑えられないかもしれない。」
セリアも同意するように頷く。
「でも、リナの努力ならきっと乗り越えられるわ。」
リナは強く剣を握りしめた。
「みんなが信じてくれてる。だから、私も自分を信じる。」
■ 迫る影と暴走
ティルナの塔の中、彼らは強大な魔獣**「ヴァルゼル」**と対峙する。
「リナ、無理はするなよ!」
カイは前に立ち、魔獣に立ち向かった。
だが、戦いの中、リナの胸の奥で「黒い力」が再び暴れ出す。
——このままじゃ、みんなが危ない。
——もっと…もっと力を使えば…。
「いや…ダメ、これは…私の力じゃない!」
リナは必死に抗おうとしたが、力は彼女の意志を超え、制御を失い始める。
その瞬間、リナの剣が漆黒の輝きを放ち、ヴァルゼルを一撃で葬り去った。
「リナ!」
カイの叫び声が響く。
だが、リナの目は黒く染まり、力の暴走に支配されかけていた。
■ 抗う意志
「リナ!目を覚ませ!お前はこんな力に屈する奴じゃない!」
カイはリナの肩を強く掴み、必死に呼びかける。
「リナ…お願い、自分を信じて!」
セリアも祈るように声をかけた。
だが、リナの瞳は苦しげに揺れていた。
「私は…滅びの存在…なの…?」
それでも、カイは強く抱きしめ、叫んだ。
「違う!お前は、俺の妹だ!どんなに力が暴走しても、お前は努力してきた!そんなお前を…俺は信じる!」
その言葉に、リナの心の奥で何かが弾けた。
■ 光の覚醒
リナの中に溢れ出す「黒い力」。
だがその奥には、彼女が努力し続けた「白き光」が確かに存在していた。
「私は…私自身の努力を…信じる!」
リナは自らの胸に手を当て、黒い力に立ち向かう。
「私は…兄さんと一緒に未来を切り開く!だから、この力に負けたりしない!」
その瞬間、リナの身体から白い光が溢れ出し、漆黒の力を押し返した。
「リナ…!」
カイは驚きと喜びの声を上げた。
リナの剣は白く輝き、彼女の瞳には確かな決意が宿っていた。
■ 自分の力として
「私は…この力に勝った!自分の意志で、努力で!」
リナは新たに覚醒した剣を握りしめ、言葉を紡ぐ。
「もう私は、滅びの影じゃない。この力は…私自身のものだ!」
レオンは微笑みながら頷く。
「やっとお前らしくなったな。」
セリアも静かに微笑む。
「これが、リナの本当の力ね。」
カイはそっとリナの肩に手を置いた。
「お前の努力が、ついに実を結んだんだ。」
■ 神託の変化
その瞬間、ティルナの塔の奥に光の道が開いた。
そこには、新たな神託が刻まれていた。
「努力の光、滅びの闇を打ち破りし時、勇者は真に運命を超える。」
リナはその言葉を胸に刻み、静かに頷いた。
「私…絶対に運命を超える。兄さんと一緒に。」
■ それぞれの決意
塔を後にする四人。その背中には、確かな決意が宿っていた。
「これからが、本当の戦いだな。」
レオンは静かに剣を見つめる。
「でも、私、もう負けない。」
リナは力強く答える。
「努力と絆で、未来を切り開こう。」
カイは優しく微笑んだ。
セリアは静かに呟いた。
「リナの努力が報われた時、世界はきっと変わる。」
リナは己の力を自らのものとして受け入れ、滅びの影から光の勇者へと覚醒した。
彼女の努力と仲間の支えが、確かな未来への一歩を導いたのだった。
第8話・完