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こんにちは!!まつりです。
完結が迫ってきました、、、残り3話です。
この話を書き始めたのが9月28日の土曜日で、目標の更新日は明日です。ここからの展開は好きなのでいけるばず。
ちょっとはやめに更新します。最終話を更新から1周年の日に間に合わせたい、、、!!!
最初に比べて読んでくれている方もかなり減ったのでは?
キャラ募の子が11人くらい、、?いたのですが、親の中にはもう随分無浮上な方もいるし、そもそも絡まなくなったって方もいるし、、1年で結構変わりますね。
私が読者として把握してるのは、殆ど毎話感想くれている3人、たまにコメントしてくれている2人、あともう2人くらい、、??誰が読んでいて誰が読んでいないのか全然把握してませんが、新作にキャラくれた方は少なくとも途中までは読んでくださっている方々なのかなと。じゃなかったらちょっとショック。
ここまで続いたのも、本当に皆様のおかげです。
いってらっしゃい!!!
私の記憶の中に、母の顔はない。
物心がつく頃には、私は田舎の小さな一軒家に、兄と2人で暮らしていた。
兄はいつも夜遅くに出かけて、早朝、大金を抱えて帰ってくる。そのままの格好で帰ってくることもあれば、ボロボロになって帰ってくる日もあった。
兄は帰ってくると、いつも嘘寝している私に寄って、「ごめん」と謝った。
いいよ、私のために、お金を稼いできてくれたんでしょう。
変わらなかった。兄は朝、私より先に家を出て中学校に行って、夜になったらまた出かける。
そしてお休みの日は、私といっしょに遊んでくれる。
私は、そんな兄が大好きだった。
もっともまだ幼かった私には、なぜ私たちに母親が居ないのか、夜の外出で兄は一体何をしているのか……考えもしなかったし、知る由もなかった。
兄は器用な人間だった。
私が友達に洋服を破られた時には、綺麗に縫って元通りにしてくれたし、友達に怪我をさせられた時には、きちんと治療をしてくれた。
でも、兄は忙しそうだったので、そういうのはあまり見せないようにした。兄に見つかった時には、私は毎回「転んだ」と言った。友達にされたって言ったら、兄はきっと怒る。
兄は私のことを「転びやすい妹」なんだと、たぶん思った。
「チェリー。服が破れたり、怪我をしたりしたら、俺に言え 」
ちょっと焦ったように、兄は私に言った。
「……わかった」
今まで隠していた服や傷を見せると、兄は元々真っ白な顔をさらに青くして、私に抱きついた。
しばらくそのままにしてから、突然顔色を戻して、兄はいつもの調子で笑って言った。
「痛いだろ。もう我慢とか、絶対にするな」
傷を全部消毒し終えた頃には、容器の消毒液はなくなっていた。
私たちが住んでいた家は、たぶん、法律的に良くないやつだ。
世界のあちこちで戦争が起きて、何百年も前は日本も治安が良かったのに、今では全部がぐちゃぐちゃだ。
この家も前の持ち主が交通事故で死んでから、管理されなくなったものを、兄さんが見つけたんだとか。
だから電気も水道もなくて、私たちは、いつか兄が持ってきた懐中電灯と川の水を使っていた。生活必需品とか学校の集金とかは、兄がたくさんお金を持って帰ってくるので、困らなかった。病院には行けなかったけど、兄が治療をしてくれた。
お父さんとお母さんはどこにいるの……兄に聞いたら、兄は「海外にいる。海を越えた、向こうの、アメリカってとこだ」と、きっとアメリカがあるのだろう方向に指をさした。
「帰ってくるの?」
「いや。もう、きっと、帰ってこない。だから母さんや父さんを名乗る大人がいても、ついてくんじゃねぇぞ」
「お、か、し、も……」
「違う。い、か、の、お、す、し。言えるか?」
「知らない人について「いか」ない、車に「の」らない、「お 」お声で叫ぶ、「す」ぐ逃げる、人に「し」らせる………」
「完璧」
兄は眼鏡の奥にある目をいつもより細めて、笑った。
四角い眼鏡。よく似合ってる。
「私は……兄さんがいれば、それでいい」
返事は返ってこなかった。ちょっと恥ずかしくて、小さな声で言ったから、きっと聞こえなかったんだと思った。
私は学校が嫌いだった。
所謂「いじめ」ってやつだ。みんなは私を貧乏だと思ったので、私をいじめた。私には二本の角がはえていたから、それも気味が悪かったのか、寄って集って私に暴言を吐き、暴力を振るった。
本当に嫌いだったけれど、休むだなんて言ったら、兄に迷惑をかけてしまう。行かなければいけない。
兄には秘密にした。どうしても迷惑と心配をかけたくなくて、傷は長袖を着て隠した。隠せない傷は「転んだ」と言って誤魔化した。
当時の私には、この選択が兄の心にどう影響するのか、よくわからなかった。
ある日、学校で、角を折られた。
「これがなくなれば、お前に対する差別もなくなるんじゃねーの」……本気で嫌がる私を無視して、男子数人で、ボキッと折った。少しだけ痛かった。
私たち兄妹は、角を二本とも折られたら、死ぬ。詳しい理由はわからないけれど、小さいとき、兄に言われた。気を付けろって。
勿論彼らは、そんなこと知らない。今さら言ったとて、角は返ってこないし、私は国からの支援も受けられない。
どうしよう…………今回はさすがに、「転んだ」では誤魔化せない。
兄が中学校から帰ってくれば、バレてしまう。バレたくない…………私はもう、兄に迷惑をかけたくない。
私は小学校を出てから、兄が夜に出掛けるまで、公園で待つことにした。勿論、明日になったら、兄は帰ってくるけれど…………せめて朝になってから、ちゃんと話したい。
三時間くらい、ブランコで揺れていた。どうやって説明しよう、兄さんは怒ると怖いから怒られたくない…………また嘘をつこうか、正直に話そうか…………そんなことを考えているうちに、空はすっかり暗くなっていた。
もう、大丈夫かな。私はブランコを降りた。
兄が、家にいませんように…………そんなことを願ったのは、生まれて初めて。お腹がいたくて、心臓が鳴って、手が震えた。
家の前についた。そーっとドアを開けて、リビングのある二階に向かった。
リビングを見ると、兄がいた。
「……チェリー…………!」
兄は一瞬、安心したような表情をしたけれど、私の頭を見るなり、息を止めた。
「兄、さん…………」
途端に、色んな感情が溢れてきて、私は泣いてしまった。
兄さんは目をぱっちり開けて、低い声で言った。
「…………誰に、やられた」
被害者気分になっていたのだろう…………私は、男子の名前を五人、口走った。
「そうか、そうか。チェリー……ごめんな、兄ちゃん、気付かなくて」
兄は私に近寄って、私をぎゅっと抱き締めた。私は兄の肩に顔を埋めて泣いた。
「……もう遅いから、ゆっくり休め。晩御飯は、買っておいたから、それ食って待ってろ」
兄は立ち上がると、いつもの眼鏡を机に置いてから、パーカーのついた上着を羽織った。
「兄さん…………どこか、行くの?」
「ああ。すぐ、帰ってくるよ」
やめて、行かないで。今日は、一緒にいてほしい…………出しかけたこの言葉を飲み込んでいなければ、私たちは、ずっと幸せだったのかもしれない。私の我が儘で迷惑をかけたくない……私は、そればっかりだ。
冷めきったコンビニの弁当を食べながら兄の帰宅を待ったけれど、いつまでたっても、兄が帰ってくることはなかった。
「兄さんはあの日からずっと、私の目の前に現れなかった…………今日まで」
「ああ…………そうだなぁ。悪かったとは、思ってっよ」
「理由が知りたい。…………私が間違っていたのはわかってる。嘘をついて、ごめんなさい。でも、兄さんだって…………」
言いかけたチェリーを遮って、ルナはまた煙を吐く。
「あのなぁ、じゃあ俺からも言わせてもらうとさ……おめぇ、何も知らねえのよ」
「……どういうこと?」
「おめぇの思い出話は、俺の思い出たぁ、ちょっと違ってるってこった」
ならば、教えてほしい…………そう言おうとしたチェリーより先に、ユヅルが声をあげた。
「ねえ、ルナ…………!!ルナは、俺のでしょ……そんな女と話してないで、さっさとやっつけてよ!でなきゃキビアイ、潰れちゃうよ…………」
玉座に座りながらギャンギャン喚くユヅルに、ルナは面倒くさそうに返事をする。
「…………はいはい。てことだ、おめぇは死ね」
言い終わらないうちに、パァン……と大きな銃声が鳴った。
ユヅルはにっこり笑う。
迫る弾丸を前に、チェリーは真顔のまま、すっと手を前に出した。
そのまま弾丸は音もたてずに、チェリーの手のなかに収まる。
「…………兄さん、忘れたの?私に、銃は効かない」
そのまま投げたかと思うと、今度はとんでもないスピードで、弾丸はユヅルが座る玉座に刺さった。
ユヅルの顔から笑顔が消える。
「…………あぁ、そうだったな。なんだっけ、物の速さを変えられるんだっけかぁ?」
「正解…………つまり、銃や剣などの攻撃は私に効かない」
「へぇ、思ったより強ぇなあ」
「それほどでもないよ。まあ…………兄さんの妹だから、ある程度は強いのかも」
チェリーは「でも」と、顔を緩ませる。
「………私は、兄さんと戦いに来たんじゃない。話をしに来た」
「帰れ。お前と話すと、どうも調子が狂うわ」
「せっかくここまで来たのに、もう帰るだなんて嫌だ」
チェリーは、ルナに近づく。
「ねえ……兄さん。私はまた、兄さんと二人で暮らしたい」
ルナは表情を変えることなく、続きを待つ。
「だから……教えてほしい。あの日、私のせいで…………兄さんに、何が起こったのか」
「教えねえよ」
「どうして」
「そーゆーとこだわ。いいから帰れ」
「帰らない」
「あぁ?駄々こねてんじゃねーよ」
「駄々をこねている訳じゃない。教えてくれるまで帰らないと言ってるだけ……キビアイアジトは、別にもう危険な場所じゃないと思う」
チェリーの言葉に、ルナはそろそろキレそうになりながら、「どーゆーことだよ」と訊いた。
チェリーは答える。
「だって……下の三人は、もうじき私の仲間が制圧する。残るは部下に任せっきりの弱いボスと、兄さんだけ」
「その兄さんに、おめぇは今から殺されんだぞ?」
「……何を言っているの。兄さんは、私を殺せないでしょ」
自信満々に言うチェリーに、冷たい風が吹いた。
「おいおい、冗談はよせよ。試してみるか、あぁ?」
ルナはそのまま、人差し指を地面に向ける……するとチェリーに、とんでもない重さの空気がのしかかった。
「…………!!」
「お前こそ、俺の能力を忘れちまったか?勝てるとでも思ってんのかよ、クソ笑えるな」
するとユヅルが、またもや叫んだ。
「ねぇ、ルナ……楽しそうなところ悪いけど、早く、そいつ殺してよ…………!!ねえ、殺せるよね?俺とルナの間にわって入る奴は、全員死ぬべきだよ……!」
ユヅルのヒステリックがきいたのか、ルナはついに大声をあげる。
「わぁったから!ボス、おめぇちょっと黙っとけ!!」
「………………うん。ごめん」
今にも泣きそうなユヅルを見て、チェリーは、笑って言った。
「兄さん…………また、子供の世話してるんだね。大変、だね」
凄まじい皮肉に地雷を踏まれて、ユヅルはとうとう泣き出した。
「なんで!!なんでみんな、俺を虐めるの……!?」
「チッ…………うるっせぇってんだろうがよぉ!」
「なんでそんなこと言うの!!うるさくないよ……!ぅえぇえええん!!」
そんな二人を見て、チェリーは重力に耐えながらも、考えた。
(まるで5歳児…………なにか、障害や疾患でも持っているのかな)
持っていないにしても、情緒不安定すぎる…………情報を引き出すチャンスだ。
チェリーは泣き喚くユヅルに向かって、大きな声で言った。
「ねえ、ユヅル。あなたは、兄さんのことを洗脳しているの?」
洗脳しているのかしていなのかで、救い方が大きく変わる…………だが恐らく、答えはNOだろう。
妹に嫉妬してしまうほどにルナのことが好きで、ルナもそこまで盲信している感じはないので、洗脳なんてしているはずはない。
「……おめぇはバカなのか?ボスに限って、俺のこと、洗脳してる訳ねえだろ」
ルナは笑った。
「なぁ、ボス」
ルナが振り返ると、ユヅルは、ばつの悪そうな表情で下を向いていた。
その表情に焦ったのか、ルナは笑ったまま、ユヅルに近づく。
「…………おいおいおいおい、冗談はよせ。返事しろよ、ボス。さっきまで喋ってただろうが」
「………………」
チェリーは静かに、その場を見守る。
ルナはチェリーを振り返ってから、今度は真顔で、ユヅルに訊いた。
「なぁ、おい…………、ボス………………」
ユヅルは、なにも言わない。
嘘だろ。
あれだけ好きと言ったのに。あれだけの信頼があったのに。
「全部……全部、つくりモンだったんか…………?」
小窓から差し込む冬の月明かりが、そっと、三人を照らしていた。
続く
まさか一日のうちに書き終わるだなんて、思ってませんでした。
でもなんだろう……なんかすごく、すごく面白くない。でもこれ多分時間かけてもかわらない。
次回はクオリティ上がるように努力します、、ごめんよ。
チェリーちゃんの過去回でしたー!!角折った奴らの骨、みんなで折ろう。
開いたとは言え、ルナも言っていたように「チェリりの知らない情報」が多すぎて全然謎ばかりなので、本人の口から語られるまたはルナの過去回があるまで、完全に開いたとは言えませんね。
そう!ルナの謎が解けた瞬間、ルナのあの発言にもこの発言にも、すべての発言に意味と意図がつくんです!!楽しみに待っててね!!
今回ほのめかされたのは、ルナがハルイヌの復縁に固執していた理由だね。。ハルカがイヌイの親代わりであったのと、ルナがチェリーの親代わりであったのにはなにか関係がありそう!!(ほぼ答え定期)
いつかも言ったけど、上層部って、本当に伏線とか対比とかが多いのね。まぁ上層部というか、上層部+ムニカちゃんって感じかな、、、やっぱムニカちゃんって、今までで唯一死んだキャラであるが故に、上層部と同じくらい重要なキャラクターなんだよね、、
楽しみにしててください。
ユヅルさんのイメージが変わってきたかな、、、
最初の方は余裕のある合法ロリだったけれど、今では情緒不安定ヒステリック合法ロリ。メンヘラってやつ。
頑固な妹とメンヘラ上司に挟まれて、ルナはいつになっても苦労人すぎる。
ていうか、なんかギャグっぽくなっちゃった。シリアスです、シリアスに読んでください。
色々な設定変更を快く承諾してくれたチェリりの親の方、どうもありがとうございました。
残り二話です!!やばい。
じゃあね!すぐ更新します。